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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-11
2007年03月07日 (水)
 昨日まで、いや、ついさっきまで自分はどこにでもいるごく普通のOLで、それで充分だと理香は思っていた。理香にとって仕事は日々の糧を得るためのものでしかなく、学生時代の友人たちのように仕事が恋人だと言うような心構えはない。出世や昇進にも興味はない。思いがけないおめでたで不本意な退職をした親友の家に遊びに行ったとき幸せそうな彼女らの様子を見て、いつかは自分も家庭に入ってと、そう思ったこともあるほどだ。
「え、あ、あのでもあたし、総務の人間で。それに、秘書検定とか全然……」
 書類を受け取ることを拒否するように理香は両手のひらを達也に向けたまま、一歩後ずさった。
「異動はすでに完了しています。あなたの私物も、もうこっちに届いていますよ」
「そんなこと、勝手にしないでください!」
「勝手にというか、命令ですから」
「そんな勝手な命令、誰が出したのよっ!」
「それは……」
 理香から目をそらすように達也のまなざしが執務机へと投げかけられた。誘われるように理香もそちらへと顔を向ける。大騒ぎする理香を尻目に書類に目を落としていた亮治は、二人の視線を受けてわずかに顔を上げ、そしてにっと厭味に笑った。
「ん、ああ、そう。俺だ」
「な……っ!」
 わなわなと震える両手を握り締めながらかかとを鳴らして理香は亮治のデスクに向かい、涼しい顔で書類にサインを書き込むそのすぐ上に手のひらを叩きつけた。山になった書類の一部が風圧を受けて崩れる。
「なんで、あたしっ?」
 秘書と受付嬢は女性社員の花形だと憧れるように思ったことはあったが、だからと言って実際にその仕事に就きたいと考えていたわけではない。経験も知識もない自分にできるような簡単な仕事ではないと、混乱した頭で理香はそんなことを考えていた。
「最初からそのつもりだった。おまえを手元に置くことを条件に、伯父の手伝いをする承諾をした」
「さ、最初っからって……」

 -つづく-
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この指を伸ばす先-12
2007年03月08日 (木)
「喜べ、理香。俺にここまで愛される女はそういないぞ。自慢していい」
 言いながら、亮治は再び視線を手元に落とした。右脇に置かれた最新式のラップトップ型パソコンに手を伸ばし、ピアノ曲を奏でるようにキーボードを叩いて必要な資料を呼び出し、山になった書類を次々と処理して行く。
「そんなの、自慢になるもんですか! 先輩なに考えてんですかっ!」
「いろんなこと、だ」
 おかしそうにくすっと笑うと亮治は自分の左のこめかみを指先で軽く叩いた。
「常に、いろんなことを考えている。勿論、おまえのことも」
 痛む手のひらをぱたぱたと振りながら、理香は回り切らない頭で、それでも思いつくままの断り文句を並べた。
「あっあの、あたし、簿記も筆記も苦手で書類書くのも遅いし、電話掛けるのも苦手で、勿論英語もできないし、だから秘書なんて全然勤まらないと思います。それに、やっと総務の仕事にも慣れてきた頃で、ええと、その……」
 総務の仕事にこだわりがあったわけでも総務課に愛着があったわけでもないが、いきなり異動だ秘書だと言われても喜ぶことはできない。その相手が亮治とあっては戸惑うばかりだった。亮治が何を企んでいるのか、そして自分がどんな状況に置かれているのかまで理解できていない理香には、自分の発言がややずれていること、それに対して達也と亮治がちらりと顔を見合わせて苦笑を浮かべた事情などは気付くはずもない。
「そうなのか? そりゃ困ったな」
「人員増やしますか? 状況はマズくなりますけど」
「いや、余計な人間はいないほうがいい」
「だから、あたし役立たずですし、その『余計な人間』だと思うんですけどっ!」
「まあ、仕事のほうはな、なんとかなるだろう」
「そうですね」
「聞いてよっ!!」
 わめく理香には目もくれず、男二人は軽く頷きあった。

 -つづく-
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この指を伸ばす先-13
2007年03月09日 (金)
「仕事内容に関しては、おいおい覚えてくれればいいです。今すぐにこれをやれとか言いませんから、安心してください」
 言いながら理香の脇に立っていた達也は、わたわたと暴れる理香の手を取った。
「え、ちょ、ちょっと、なに……っ?」
「なにって、辞令書は本人に渡さないといけないので」
 その体躯に似合わないほどの優しい口調と困ったような笑みが理香に頷きかけてくる。遠慮をする子どもにお菓子を握らせるかのように、達也は理香の手のひらに書類を押し付けた。
「会社に居る限り辞令は絶対ですから。あきらめてください」
「やだーっ! あたし、できないって言ってるのにーっ」
「あなたなら大丈夫ですよ」
「無責任な保証しないでくださいよーっ」
 曖昧な笑顔を続ける達也を理香はハの字眉で見上げる。母親に怒られた小学生のような情けない表情に、漏れかけた本気の笑みを頬を引き締めて堪えながら、達也は理香の小さな手を放した。
「まあそう、いつまでも駄々をこねるな、理香。達也が困っている」
「あたしだって困ってますっ!」
 亮治から向けられたからかいの言葉に、理香は牙を剥くように怒鳴り返し、そして手の中の命令書に目を落とした。
 初めて見た辞令は、思っていたより紙が薄く作りも安っぽい。いくつか並んで押されたハンコの中に、榊原が二つあった。片方は代表取締役の枠内に押されているから、もう片方が亮治のものだろう。肩書き欄には何も印刷されておらず、先ほど達也に聞いた『マネージャー』の書き込みがボールペンでされてあった。全てが印刷された紙面の中で、その手書きの文字だけがまるで理香に自分が特別な存在だと主張しているかのように、妙に浮き上がって見えた。
「言っておくが、辞めようとしてもムダだぞ」
 不意に向けられた言葉に理香は顔を上げ、楽しそうに細まったまなざしを睨みつけた。面白がっていることを隠そうともしない亮治の表情に理香の柳眉が逆立つ。けれど亮治は悪びれもせず、逆に挑発するかのように右手のボールペンを理香の鼻先に突きつけて唇の端を歪めた。
「おまえの上司は俺だ。俺がおまえの辞表を受け取らなければ退職は成立しない。そして俺は、絶対に受け取らない」

 -つづく-
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この指を伸ばす先-14
2007年03月11日 (日)
「な……っ!」
 思わず言葉を失う理香に亮治は勝ち誇った笑みで応える。理香には、その口の端から白い牙が見えたような気がした。
「この鬼、悪魔っ! 変態っ! サディスト!」
「変態と言われるほど特別なことをした記憶はないが……」
「充分でしょっ! このゴーカン魔っ!」
「それはさすがに人聞きが悪いぞ、理香。あれは愛ゆえの暴走だ。おまえだって気持ちよかっただろう?」
「なっ! こ、この……っ! あれはそっちがムリヤリ……」
 卑猥な笑みを含んだ亮治の言葉に理香の頬が燃え上がる。さらに怒鳴りつけようとして、けれどこの場に居るもう一人――達也の視線に理香は声を止めた。
 先ほどの、隣室に服を持ってきたときのあの状況の理香を見て全く動揺しなかったということは、達也も多少の事情を知ってはいるのだろう。だが譬えそうであっても、初対面の相手に聞かれていることを承知の上で、男女間の性的なもめごとに関する赤裸々な言葉を口に出せるほどには理香もまだスレてはいない。仕方なく声を飲み込み、その代わりのように視線に力を込めてその鼻先に指を突きつける。
「この詐欺師っ! 犯罪者っ!!」
「そう照れなくてもいいだろう?」
「照れてんじゃないわよっ!!」
 子どものようにばたばたと手足を振って暴れながら怒声を上げる理香と、そんな理香の様子を楽しみながらもあくまで冷静に対応する亮治のどこかズレたやり取りに耐え切れず、達也がぷっと吹き出した。声を上げて笑いかけ、間近からの怒りを含んだ強いまなざしに、慌てて顔をそらし咳ばらいでごまかそうと試みる。
「まあ、とにかく、辞令は出た。手続きも済んでいる。おまえは今日から俺の秘書だ」
「わからないことは私に訊いて下さい。なんでも相談に乗ります」
 巧みに話題を変え、異動がすでに決定事項であると話す二人の男に、理香は底なし沼に引きずり込まれて行くような眩暈を覚えた。

 -つづく-
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この指を伸ばす先-15
2007年03月12日 (月)
「ホントもう、なんだってこんなことに……」
「そろそろあきらめてください、今西さん」
 ブツブツと呟き続ける理香の様子に、困ったように曖昧な笑みを浮かべながら達也はエレベータのボタンを押した。重い扉がゆっくりと閉まり、そしてわずかな重力が脚にかかる。けれど理香は達也の言葉も全く耳に入らないまま、首から下げた大きなプラスティックの名札を睨みつけていた。
「だってーっ」
「まあ確かに急のことでしたし、お気持ちはわかりますけど」
「だったらさーっ」
 頬を膨らませ唇を尖らせたまま、理香は名札の左斜め上に貼り付けられた自分の顔を見つめた。
「こんなの、やだー」
 小さく呟く理香を不機嫌を絵に描いたようなしかめっ面が見返していた。まさかその場で名札用の写真を撮られるとは全く思っていなかった理香は、いきなりの写真撮影に精一杯の笑顔を作ったつもりではあったが、顔面の筋肉は気持ちとはうまく連動してくれなかったらしい。かろうじてルージュの色は残っているものの、先ほどの亮治の暴挙のせいでグロスはすっかり剥げ落ちている。
 せめて、お化粧を直す時間くらいくれてもよかったのに。
 自分の写真写りが悪いことを今までも気にはしていたが、それにもしてもこれはあんまりだと理香顔をしかめた。気に入らない写真をこれから毎日首から下げて歩き回るのかと思うと、理香の機嫌もどんどん斜めになって行く。
「私もいますから。最大限の協力をお約束しますよ」
「だったら、あの場でそう言ってくれればよかったのにー」
「あ、いや、その……。私には、その権限がないので……」
 恨めしそうに見上げてくる理香のまなざしが、まさか名札の写真が気に入らないことが原因だとは気付かない達也は、曖昧な慰めの言葉だけを繰り返す。
「今西さんにとっては災難かもしれませんが、でも、私は嬉しいですよ」
「なにがよっ!」
 自分の写真のことを揶揄されたのかと、くわっと逆襲の牙を剥きかけた理香に、達也はにっこり笑いかける。
「これから私は今西さんと毎日一緒に仕事できるんですからね、だから嬉しいですよ」
「……は?」
 いきなりの達也の言葉に、理香はぽかんと口を開けた。

 -つづく-
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この指を伸ばす先-16
2007年03月14日 (水)
「えーと、なにが?」
「一番最初に、マネージャーにあなたの写真を見せてもらったときに思ったんです。可愛い人だなって」
「えー……、えー、えーと……?」
 状況が飲み込めず落ち着きなくまばたきを繰り返す理香とは対照的に、達也の態度は先ほどまでと全く変わらない。
「実際に会ってみて、想像していたよりも小柄で、そして想像していたよりもずっと可愛くて驚いたくらいなんです。だから、あなたとこれから毎日一緒だと思うと、私はとても嬉しいです」
「あ、えーと……。それは、どーも」
 驚くほどストレートな褒め言葉に、理香は曖昧な笑みを浮かべながら半歩だけ達也から離れた。
 理香は取り立てて美人と言うわけではない。癖の強いネコっ毛と頬の丸い童顔と、そして標準より十センチ近くも低い身長とボリュームの足りない身体のせいか、高校生と間違われることさえある。褒められるときは『きれい』ではなく『可愛い』と言われるのがお決まりだった。子どもっぽい顔と丸みの足りない自分の身体にコンプレックスはあったものの、どちらかというとのんびり屋の理香は神経質に言葉の裏をさぐるタイプではなく、褒め言葉は褒め言葉として素直に受け取っていた。それでも、ほぼ初対面の異性とエレベータ内で二人っきりという状況下では、戸惑いがある。
 なんか、ちょっと意外だけど。
 長身巨躯で体育会系な達也の外見は、どちらかというと口下手そうな印象がある。だが先ほどの、言われた方が気恥ずかしくなるほどの真っ直ぐな褒め言葉は、明らかに言い慣れたものだった。
 ナンパとかしてるのかな、この人。あんまりそういうタイプには見えないけど。
 内心で首をかしげながらも、それでもやはり褒められるのは悪い気はしない。無意識に髪を直しながら理香は隣へ立つ達也をちらりと見上げた。理香の視線を真正面から受けた達也がにっこりと笑う。
「あ、勿論、あなたとマネージャーの関係は聞いています。恋人同士なんでしょう? だから私の入る隙間なんてないかもしれないですけれど――」
「誰が誰と、恋人よっ!」

 -つづく-
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この指を伸ばす先-17
2007年03月15日 (木)
「誰と誰がって、あなたとマネージャーですよ。お付き合いしてるんでしょう? 違うんですか?」
「違うに決まってるでしょっ」
 両こぶしを握りしめて思わず叫んだ理香に、達也が不審そうに眉をしかめる。
「でも、さっき、セックスしてましたよね?」
「えっ、み、見たのっ?」
「見たというか。私が部屋に入ったらちょうど、あなたとマネージャーが、その、ソファで――」
 見られてたんだ。
 知ってそうとは思ってたけど、でもまさか、見られたなんて。
 頬から血が引いて行く貧血に近い感覚に、理香の身体がふらりと揺れた。慌てて両足を踏ん張り体勢を立て直しながら額を押さえ、必死に思考を整えようとしたけれど、理香にはその次の言葉が思いつかない。
「あれは、えっと、そういうんじゃなくって、ええと、その……」
 ぴーん。
 否定とも言い訳ともつかない言葉を理香が咀嚼するように口内で転がしていると、奇妙なほどに涼しげな合成された鈴の音がエレベータ内に鳴り響いた。
「着きましたよ」
 促されるままに理香は四角い箱から降りる。続いて降りてきた達也が理香の手を取り、軽く引いた。
「え、なに? 部屋はこっちでしょ?」
「ええまあ、そうなんですけどね」
 進もうとする方向の反対を指して首を傾げる理香に優しい笑顔のまま頷くと、達也は理香の手を引いて歩き出した。ぱちぱちと忙しくまばたきを繰り返し、頭の上にクエスチョンマークを出しながらも、理香は大人しく達也の後を追う。
「こっちです」
 大きく一つ頷くと、達也は理香の手をつかんだまま重い鉄製の防火扉を押し開けた。

 -つづく-
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この指を伸ばす先-18
2007年03月17日 (土)
「え、なになに。なんですか?」
 軽い口調で問いかけながら、理香は達也の手に引かれて扉をくぐった。防火扉の向こうは、どこのビルでも見るような緊急時避難用の階段の踊り場だった。普段は殆ど人の通らない非常階段は、常夜灯のスポット照明がぽつぽつと天井にあるだけで他には何もない、薄暗い空間が広がっていた。
「えーっと?」
 見上げるように達也へと疑問の混じった視線を向けると、変わらず穏やかな笑みが理香に返ってくる。そのことに安堵した瞬間、理香は強い腕に引かれてバランスを崩した。引き寄せられるようにその頬が達也のシャツに押し付けられる。
「えっ?」
 思わず上げた声も、笑みを湛えた視線に途切れてしまう。
「今西さん。ひとつ、確認していいですか?」
「え、あ……はい」
 その落ち着いた表情に、達也はふらついた自分を支えてくれているのではないかとさえ理香は思った。大きな手が理香の頭を撫で、そのまま髪の中へと入り込む。耳の形を確認するようにゆっくりとなぞられ、理香は知らずひくりと身体を震わせた。
「あなたは、マネージャーとお付き合いしているわけではない、と?」
「はい」
 耳をなぞり終えた指先が耳朶のピアスを軽く弾く。ゴツゴツした太めの指が意外なほどの繊細さで首を這う。それと同時に背に回っていたもう片方の手が腰を強く抱き、パンツスーツの上から腰骨を辿った。
「じゃあ、あのセックスは?」
「あ、あれは、あたしは……あ、ぁっ」
 小さな悲鳴を飲み込み、理香は間近の表情を見上げた。理解できない状況に混乱する理香を安心させるように、達也の唇の両端が吊り上がる。けれどその手は止まることなく、ショーツのラインを追って後ろへ回った手がふともものあいだへと入り込む。服の上から脚の付け根をさわられ、理香は驚きに身体を震わせた。
「……っや、だめ! だめです、井出さん」
「マネージャーとはしてたのに?」
 穏やかなままの声が卑猥な笑みを含んで、理香の耳を甘く噛んだ。
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この指を伸ばす先-19
2007年03月19日 (月)
「な……っ」
 達也の口から出てきた言葉に理香は絶句した。
「あれは、違いますっ。あたしそんなんじゃ……!」
 両手で達也の胸を押し返し腕の中から逃げようともがく身体を抱きしめると、達也は場違いなほどに穏やかな笑みを浮かべた。
「誤解しないでください、今西さん。そういう意味ではないです。あなたが誰とでも寝る女だとか、そんなことは思ってもないですよ」
 達也はやわらかな頬に唇を寄せ、軽く押し付けた。暴れる身体を抑えるように強く抱き寄せながら低く囁く。
「マネージャーはあなたを愛していると言っていました。それは私も同じです」
「え? だ、だってあたしたち、今日会ったばっかで……」
「あなたと出会うずっと前から、あなたに恋をしていました。変ですか?」
「ヘンとかじゃないけど、ええと、でも……」
 驚きと戸惑いに理香の腕から反抗のための力が抜ける。その隙を狙ったように、達也の指が理香のあごを捉え、軽く押し上げた。背を丸めて屈み込み、子どものように無垢な唇を奪う。
「んんっ? ん、ん……!」
 わずかな抵抗を達也は左手一本で抑え、開いた右手で理香の上着のボタンを外した。普段よりもさらに控え目なふくらみは、パッドの入っていないブラのせいだった。黒のレースだけで構成された薄いカップの上を達也の指がゆっくりと這い回る。全体をつかむように撫ぜ、人差し指の先でその頂きを軽く押さえた。
「んっ」
 顔をそむけたまま自分の腕の中でびくんと震える細い身体に達也の頬が緩んだ。
「これだけで感じるんですか? 敏感なんですね」
「や……っ、ダメ、だって……」
 微妙な振動を加えながら乳首の周囲に円を描く達也の指に応えて、レースの内側から赤みを増した小さな突起がその存在を主張し始めた。それを親指と人差し指で軽くつまみ、こよりを作るようにやわらかくねじる。
「やっ! あ、はっ」
 耐え切れず喘いだ理香の頬にキスを落としながら達也はくすりと笑う。
「可愛いです、すごく。暴走したマネージャーの気持ちもわかるなあ」

 -つづく-
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この指を伸ばす先-20
2007年03月20日 (火)
「違うわよっ。あの人はあたしのこと、そんなふうには……っ」
「まあ、マネージャーのことは今はいいです。また別の場所で話しましょう。今はせっかく私とあなたの二人っきりですから」
 言いながら達也は理香の肩から上着を抜き床へ落とした。次に、前面に細かなフリルが入った淡いピンク地のブラウスのボタンを外す。ブラウスの隙間から見える黒いレースのブラと、その下にわずかに透けて見える朱色の乳首に達也は目を細めた。
「いいなあ、すごく淫靡な感じで。こう、いけないことしてるって気分になりますよね?」
「だったら、もうやめて」
「もうってなんですか? まだ始めてもないですよ」
 くくっと意地悪く笑うと、達也は耳朶に吸い付いた。舌先でピアスを突付くように弄んだあと、唇はゆっくり下へ移動した。尖らせた舌が軟体動物を思わせる動きで、あごからのど元へと卑猥な唾液の跡を付けていく。
「首はだめ。跡……付いちゃう」
 逃げようとする理香の動きを利用して達也はその細い身体を壁へと押し付けた。いやいやと首を振る理香に構わず細いのどに唇を押し付け、執拗に舐め上げ何度も吸い上げる。同時にスラックスのポケットから、全長五センチほどのチューブ状のプラスティック容器を取り出した。小さな蓋を親指でひねるように器用にねじ切って外すと、理香に気付かれないよう手のひらに握り込んで隠す。
「大丈夫ですよ、マネージャーは自分が付けた跡だと思いますから。バレませんって」
「そういう問題じゃ……っ! あ、だめっ」
 ちゅっと音を立てて達也は薄いブラの上から乳首に吸い付いた。長く伸ばした舌を擦り付け、唇で軽く押し潰す。
「やぁん。だめ、ねえ、もう……」
 敏感なツボをつくような達也の攻撃に理香の声にわずかな甘みが混じる。限りなくレイプに近い状況だとは言え、穏やかに愛を囁かれながらの達也の愛撫に、感じやすい身体が反応しているのだった。

 -つづく-
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