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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-13
2007年03月09日 (金)
「仕事内容に関しては、おいおい覚えてくれればいいです。今すぐにこれをやれとか言いませんから、安心してください」
 言いながら理香の脇に立っていた達也は、わたわたと暴れる理香の手を取った。
「え、ちょ、ちょっと、なに……っ?」
「なにって、辞令書は本人に渡さないといけないので」
 その体躯に似合わないほどの優しい口調と困ったような笑みが理香に頷きかけてくる。遠慮をする子どもにお菓子を握らせるかのように、達也は理香の手のひらに書類を押し付けた。
「会社に居る限り辞令は絶対ですから。あきらめてください」
「やだーっ! あたし、できないって言ってるのにーっ」
「あなたなら大丈夫ですよ」
「無責任な保証しないでくださいよーっ」
 曖昧な笑顔を続ける達也を理香はハの字眉で見上げる。母親に怒られた小学生のような情けない表情に、漏れかけた本気の笑みを頬を引き締めて堪えながら、達也は理香の小さな手を放した。
「まあそう、いつまでも駄々をこねるな、理香。達也が困っている」
「あたしだって困ってますっ!」
 亮治から向けられたからかいの言葉に、理香は牙を剥くように怒鳴り返し、そして手の中の命令書に目を落とした。
 初めて見た辞令は、思っていたより紙が薄く作りも安っぽい。いくつか並んで押されたハンコの中に、榊原が二つあった。片方は代表取締役の枠内に押されているから、もう片方が亮治のものだろう。肩書き欄には何も印刷されておらず、先ほど達也に聞いた『マネージャー』の書き込みがボールペンでされてあった。全てが印刷された紙面の中で、その手書きの文字だけがまるで理香に自分が特別な存在だと主張しているかのように、妙に浮き上がって見えた。
「言っておくが、辞めようとしてもムダだぞ」
 不意に向けられた言葉に理香は顔を上げ、楽しそうに細まったまなざしを睨みつけた。面白がっていることを隠そうともしない亮治の表情に理香の柳眉が逆立つ。けれど亮治は悪びれもせず、逆に挑発するかのように右手のボールペンを理香の鼻先に突きつけて唇の端を歪めた。
「おまえの上司は俺だ。俺がおまえの辞表を受け取らなければ退職は成立しない。そして俺は、絶対に受け取らない」

 -つづく-
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