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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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情愛キュビズム‐1
2016年08月13日 (土)
 その名前には魔力があるようにさえ思う。一般大衆に埋没するように生きていた凡庸な私の二十代の最初の夏には、国籍年齢を超えて誰もが知る、非凡な才能を持ったスペイン人の画家の存在が深く刻まれていた。
 あるいは、彼を敬愛していた、魅力的なエゴイストの思い出として。


「ピカソって言ったら、やっぱりゲルニカかなぁ」
 美術部でもなんでもない私にとってピカソの知識はその程度だった。子供の頃に教科書で見て、変な絵だと素直に思った。横顔なのに両目がこっちを見てくる奇妙な顔が、曖昧な記憶の中から浮かんでくる。
「ゲルニカねぇ……。ふむ」
 気取った仕草で肩をすくめると、彼はすっと立ち上がった。下着一枚のまま散らかった床へ下りると壁際の本棚へ歩き、いくつも並んだ分厚い画集の中から一冊を抜き出す。重そうな本を片手に、ぱらぱらとページをめくる広い背中を見つめていると、ふいに彼が振り返った。
「ほら、これ」
 ひょいと目の前に降りてきたのは、丸々一ページ見開きの異様な絵だった。
 牛や馬、頭部のみが強調された人と宙に浮く腕、折れ重なるように倒れ込んだ人間の姿が描かれていた。天を仰ぐ人の大きく開いた口が激しく何かを訴えている。小学生か、あるいは中学生の頃に見たときには気付かなかった迫力が、画面全体からゆらゆらと立ち上っているようで、差し出された本に手を出すのをためらった。
「怖い絵だろ?」
 低く抑えられた笑い声が降りかかってくる。そっと目だけを上げると、息詰まるような絵画の向こうから楽しげな笑みがあった。それは私を苛立たせ、そして悦ばせる笑みだった。意地悪なまなざしの奥に妙にキラキラした光があった。それはいつもの事だった。彼は私を苛めて歓び、困らせて笑う。
「この絵は反戦とか平和運動の象徴と言われてるんだけど、これの製作背景にピカソを巡る三角関係があったってんだから、面白い話だよな。戦争には反対だけど、女の争いは起こしてもいいって、どんな道徳家だよ」
 呆れたような口調の底に憧れがにじみ出るが、当の本人もその辺りはあまり褒められたものではない。今までこの部屋で見つけた他の女の痕跡は、ピアス、ヘヤピン、ゴミ箱に捨てられていた破れたパンストの三つだが、きっと私が気付いていない物もあるだろう。なぜ今もこの部屋にいるのか、自分が不思議だ。
「それでさ、実は頼みがあるんだけど」
「やだ」
 間髪を入れず拒否すると、にやっとその目が笑った。
「そんな事言わないでさ、レイちゃ~ん」
「やだったら、やだーっ」
 身をかわしたつもりだったのに、それよりも早く伸びてきた手につかまってしまう。薄いガーゼのワンピースを一枚はおっただけで、まだ下着も付けていない素肌を、彼の繊細な指先が這う。残り火を掻き立てられるような巧みさに息が詰まる。
「ね、お金貸して」
「だから、イヤだって言ってるでしょ、この甲斐性なし! ダメ男!」
「そーだよなー。ダメなんだ、オレ。レイちゃんがいないと」
 哀しそうな口調のくせに、くしゃくしゃのシーツの上に簡単に私を引き倒してしまう。捨てられそうな子犬の風情と遊び慣れた表情が覆い被さってくる。睨みつけるように真正面から見上げた私の唇にちゅっと音を立てて軽いキスをすると、彼は思ったよりもまじめな顔をした。
「スペイン行きたい。もう一回絵の勉強をしたいんだ」
 ピカソと同じ空気を感じたいんだよ、オレ。
 その顔に一瞬見とれたのが私の不覚だった。入り込んできた大きな手のひらが左胸をつかんだ。きゅっと先端をつまみあげられる鋭い痛みと、それとは別の感覚が流れ込んでくる。さっきまで散々に弄ばれていた部分の熱がぽっと熾って、身体の支配権を彼に譲ってしまう。
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情愛キュビズム‐2
2016年08月27日 (土)
「やだ、ホントにもう、イヤ!」
「さっきもそんな事言ってたけど、レイちゃんすごい気持ちよさそうだったじゃん」
 遠慮のない仕草が細いリボンをほどき、ボタンを外す。両肩からひじの辺りまで引き下げられて上半身が剥き出しになった。押し返そうとした腕はあっという間に片手で一掴みにされて、抵抗の手段もなくなってしまう。
「キレイなおっぱい。まだ乳首勃ってるね」
「や、やだぁ……っ」
 長く伸ばした舌で見せつけるように先端をつつく。もどかしいくらいの刺激にぞわっと肌が粟立つ。口の中に含まれて軽く歯を当てられると、奥の方から溢れてくる。乱暴に揉みしだかれる痛みに悲鳴が出てしまう。
「だからっ、もうやめてって!」
「なんでさ。ね、もう一回だけ。バイトの時間まで」
「自分の都合ばっかり言わないでよっ」
 本当はそこまで嫌ではないけれど、でもこんなに簡単に流されてしまっている自分が悔しいから、虚勢を張るしかない。心の奥ではもっとして欲しいと思ってしまっている事実にはめまいがしそうだった。
「レイちゃんの上の口は嘘つきだね。こっちはこんなに……素直なのに」
「ぅ、くっ……あぅっ」
 節の目立たない、男にしては繊細な指でも、やはり女とは根本から違う。探るようにゆっくり抜き差しされると、それだけでおかしくなる。
「やっぱり、一本じゃ物足りない?」
 笑みをにじませた声を首筋に吐きかけながら、揃えた二本分の幅で、さらに強く深く侵入してくる。くちゅくちゅと卑猥な水音をまとわせた指に頭の中まで掻き回される。
「こっちも可愛がってあげないとね」
「あっ、ぁあ……っ」
 外側の萌芽にぬめった親指を擦りつけられると、さすがに理性は保てない。抜き差しと同じリズムで円を描かれて、強くつむった目じりに涙が浮かぶのがわかった。明るい緑色の闇の端に小さな火花が散る。指の動きに併せて身体がくねった。もっと奥までと誘い込むように腰が浮いた。
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