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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-15
2007年03月12日 (月)
「ホントもう、なんだってこんなことに……」
「そろそろあきらめてください、今西さん」
 ブツブツと呟き続ける理香の様子に、困ったように曖昧な笑みを浮かべながら達也はエレベータのボタンを押した。重い扉がゆっくりと閉まり、そしてわずかな重力が脚にかかる。けれど理香は達也の言葉も全く耳に入らないまま、首から下げた大きなプラスティックの名札を睨みつけていた。
「だってーっ」
「まあ確かに急のことでしたし、お気持ちはわかりますけど」
「だったらさーっ」
 頬を膨らませ唇を尖らせたまま、理香は名札の左斜め上に貼り付けられた自分の顔を見つめた。
「こんなの、やだー」
 小さく呟く理香を不機嫌を絵に描いたようなしかめっ面が見返していた。まさかその場で名札用の写真を撮られるとは全く思っていなかった理香は、いきなりの写真撮影に精一杯の笑顔を作ったつもりではあったが、顔面の筋肉は気持ちとはうまく連動してくれなかったらしい。かろうじてルージュの色は残っているものの、先ほどの亮治の暴挙のせいでグロスはすっかり剥げ落ちている。
 せめて、お化粧を直す時間くらいくれてもよかったのに。
 自分の写真写りが悪いことを今までも気にはしていたが、それにもしてもこれはあんまりだと理香顔をしかめた。気に入らない写真をこれから毎日首から下げて歩き回るのかと思うと、理香の機嫌もどんどん斜めになって行く。
「私もいますから。最大限の協力をお約束しますよ」
「だったら、あの場でそう言ってくれればよかったのにー」
「あ、いや、その……。私には、その権限がないので……」
 恨めしそうに見上げてくる理香のまなざしが、まさか名札の写真が気に入らないことが原因だとは気付かない達也は、曖昧な慰めの言葉だけを繰り返す。
「今西さんにとっては災難かもしれませんが、でも、私は嬉しいですよ」
「なにがよっ!」
 自分の写真のことを揶揄されたのかと、くわっと逆襲の牙を剥きかけた理香に、達也はにっこり笑いかける。
「これから私は今西さんと毎日一緒に仕事できるんですからね、だから嬉しいですよ」
「……は?」
 いきなりの達也の言葉に、理香はぽかんと口を開けた。

 -つづく-
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