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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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あたしの彼はご主人さま-11
2005年12月16日 (金)
 それからもあたしたちは、憑かれたように何回もセックスをした。汗まみれの身体をすり合わせて貪欲に快楽を貪りあった。
 彼氏はいつも正常位でのしかかってくるだけだから、あたしは他の体位を知らない。ソファの背もたれに捕まって、後ろから激しく攻められるのはすごくよかった。後ろからされると、ぐちゃぐちゃになった顔を見られる心配もないから、そのことを全然気にしないで思いっきり乱れられるってことに気付いたのは、思わぬ収穫だった。でもそれ以上に、動物の交尾みたいなあの体勢が本当に犯されてるっぽくて、あたしこんなことされちゃってると思うと興奮した。
 騎乗位のときの腰の使いかたなんかも教えてもらったけど、あたしは言われたように全然動けなくて、結局は彼に下からガンガン突き上げられて一人でイっただけだった。あたしってホントに何にも知らない上に、ヘタ。
 それに比べて、テクニックをいっぱい持ってて何回でも相手をイかせることができるユーキさんが羨ましい。そうユーキさんに言ったら男と女の違いだって笑われた。
 男はそんな何回もイけないんだよ。そう言っておかしそうにユーキさんは笑ったけど、ユーキさんを見てる限り、そうは思えない。出した直後でも、ちょっと舐めてあげるとすぐに回復する。肩幅とかは広くてお腹も締まってるけど、でもどっちかというと細身で、すごい筋肉な身体じゃないのに、疲れ知らずっていうか、本当にタフ。
 だから、二時間の休憩時間を一時間以上延長してホテルを出たときには、もうあたしはヘロヘロになっていた。彼の支えがないと立ってられないぐらいで、助手席になんとか乗り込んだあとは記憶がない。起こされたときはもう家の近くの公園前だった。
「着いたよ、千紗ちゃん」
「え、あ。あ、はい」
 目を開けて口元をこぶしでこすりながら慌てて起き上がると、ユーキさんは笑みを残した目であたしを見ていた。音楽とかはかかってなくて、エアコンが温風を吐き出す微かな音だけが聞こえる。ふんわりとオレンジみたいな柑橘系の香りが漂っている。多分、ユーキさんがつけている香水か整髪料の匂いだと思う。爽やかで少し甘い。
「千紗ちゃん。また、俺と逢ってくれる?」
 寝起きのボケた頭にストレートな言葉は、逆に意味がわからなかった。黙ったまま何回かまばたきをした。

  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま-12
2005年12月17日 (土)
「千紗ちゃんに彼氏がいるのは知ってる。今日、俺と寝たのだって物の弾みってヤツで、俺のことが好きだからじゃないのもわかってる」
 彼は寂しそうに笑っていた。いつのまにかシリアスになってた車内に、まだ半分以上脳の眠っているあたしは、返事をすることもできなかった。
 なになに。なにがどうしたの。さっきまであんなに二人っきりですごいことしてたのに、なんで急にこんな話題になってるの? なんでユーキさんはそんな目をしてるの?
「でも、千紗ちゃんにとっては物の弾みでも、俺はすごく嬉しかった。千紗ちゃんがイく顔見てるだけでイきそうだった」
 そう言うと、彼はおそるおそると言った感じで、あたしの手に触れた。大きな手のひらで包み込むようにして、ぎゅっと一瞬だけ力を入れて、そしてゆっくりと離した。
 ユーキさん、どうしたんだろう。さっきまで平気であたしの身体に触ってたのに。えっちなとこ触ったり舐めたり指入れたり、恥ずかしくてすごいこと、いっぱいしてたのに。なのに。
「また逢ってくれるかな。俺だけにしてなんて言わないから。友だち扱いでいいから」
 急に、どうしたんだろう。
「あ、あの。ユーキさん……」
「うん?」
 でも結局続ける言葉も見つけられなくて、あたしは俯いて、なんでもないと呟いた。彼はちょっと寂しそうな笑みを浮かべたまま、それ以上は追求してこなかった。
 物分りのいいおとなはそうなんだろう。まだまだ子どもな彼氏とは違って、ユーキさんはムリに聞き出すようなことは絶対にしない。スマートで優しくてカッコよくてえっちが上手で、でもちょっと可愛いところもある。素敵だと思う。いいなって思っている。彼氏よりずっといいかもとも思ってる。
「今日は、本当にありがとう。すごく、楽しかった」
「あ、う、うん。あたしも……」
 楽しかったです、ありがとうございますと言いかけて、言葉を飲み込んだ。
 ユーキさんのセックスが気持ちよくて楽しかっただなんて、いっぱいイかせてくれてありがとうだなんて、絶対に言えない。あんな嬌態を晒しておいて、なにを今さらと思われるかもしれないけど、でも、いやだった。
 誰の誘いでも乗っちゃうような子だと思われたくなかった。
 誰とでもホテルに行くような子だと思われたくなかった。
 誰でもよかったからユーキさんでもよかっただなんて、思われたくなかったのに。
「また、連絡する」
 あたしの前髪を指先で片側に軽く寄せると、空いた隙間にそっと唇を押し当てて、彼と彼の車はキラキラした夜景の中へ帰って行った。

  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま-13
2005年12月18日 (日)
 思っていた通り、ママはまだ仕事から帰ってなかった。
 まあ、もしもママがいても、自称他称真面目な優等生は信用されているから大丈夫なんだけど、でも女の第六感とかでわかったらと思うとドキドキする。
 ママはのんびり屋さんっぽく見えるけど、ゆっくりしゃべるのは外向きの演技で、本当はとてもしっかりして賢い。勘も鋭い。
 実はあたしに彼氏がいることも、もうバージンじゃなくなってしまっていることも、とっくに知っているんじゃないかなと思うことがある。知ってて、知らないふりをして気付かない顔で、ちーちゃんにもきっとそのうちいい人が見つかるわよ、なんて言ってるのかもしれない。そう思うとちょっと怖いときがある。
 ユーキさんのオレンジの匂いが移ってるかもしれないから、とりあえず着て行った服はシャツもショーツも全部洗濯カゴに放り込んだ。部屋でいつものパジャマに着替えてからリビングに戻って、あたし用のピンクのタータンチェック柄の座椅子の上で、帰りを待ってくれていたタヌキのぬいぐるみを抱きしめた。
「おとなでかっこいいけど、バカだよね、ユーキさんって」
 定位置の座椅子に座り込むと、あたしはタヌキを胸の前に抱え込んで話し掛けた。ふわふわした手触りのタヌキはあたしのお気に入りだった。
「まあ、一回しただけで俺の女だ、って言うような人じゃないだろうけど」
 わかんないけど知らないけど、でもかなり慣れてると思う。高校に入って初めて彼氏ができたあたしなんかとは比べ物にならないくらいに、いろんな人と付き合っていろんな人とえっちしてきてるんだろう。だから、いろんなことを知っているんだろう。そんな人がどうしてあたしを誘ったのかはわからない。最初に電話がかかってきたときもわからなかったけど、今もわからない。あたしより綺麗な人はいっぱいいるのに。あたしよりスタイルのいい人だってゴロゴロいるのに。
 だってあたし、胸ちっちゃいし脚もちょっと太めだし指は短いし、髪は真っ直ぐ伸ばしてるだけだし。顔も綺麗だって人に褒められるほどのものじゃない。せいぜいが可愛いねって言ってもらえるくらい。化粧するのも面倒で、口紅とマニュキュアくらいしか自分じゃ持ってない。どうしても必要なときはこっそりママのを使ってる。こんな女子高生いまどきいないって自分でも思う。
「それとも、弾みで誰とでも寝ちゃうような尻軽に見えるのかな、あたし」
 確かに、ちょっと弾みっていうか気の迷いっていうか流されたっていうか、そういう雰囲気だったのは否定しないけど、それもユーキさんが素敵だなあって思ったから。
 でも思い出してみると、バージンをあげた彼氏とは付き合い始めて半年以上なにもなかった。勿論、手くらいは握ったけど頬にキスくらいはされたけど、それだけだった。それ以上になったのは随分経ってからだった。
 なのに。
「あたし、浮気しちゃったよおーっ!」

 -つづく-
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あたしの彼はご主人さま-14
2005年12月19日 (月)
 たった三回会っただけでえっちしちゃっただなんて、嘘みたい。あんなに自分がいやらしかっただなんて、嘘みたい。えっちがあんなに気持ちよかったなんて、嘘みたい。
 でも、あんなに気持ちよかったって知って、なんか得した気分。そりゃあれだけ気持ちいいんなら、みんなだってしたがるわよね。あたしの今までの経験ってなんだったんだろう。ホントに全く、バカバカしいったらありゃしない。
「あのヘタ男が悪いんだ。あたし、不感症じゃないもん」
 そう、あたしは不感症じゃなかった。ちゃんと感じてた。いっぱい濡れてた。締まりがいいって褒めてもらった。ユーキさんの指があたしのあそこをぐちゅぐちゅって音を立てながら触ってくれて掻き回してくれて、すごく気持ちよくて、だからあたし……。
「あ、やだ」
 思い出しただけで濡れてきちゃった。どうしよう。
 替えたばかりのショーツがじわじわと湿ってきてるのがわかる。そっと触ると、もう信じられないくらいにそこは熱くなっていた。布越しに軽く押してみただけで、にゅるっと滑って勝手に指が埋もれて行く。強く押さえてこすると、じーんとした淡い快感が広がった。ユーキさんがしてくれたみたいに指でゆっくりなぞると、偶然にも一番感じるところに当たった。身体がびくっとする。
「あんっ」
 手をそっとショーツの中に入れて直接さわると、にゅるにゅるといやらしい液体がまとわりついた。指を動かすと、にゅちゅっとえっちな音が聞こえる。
 やだ。あたし、もうこんなになっちゃってる。
「あ、はあっ、はあっ」
 ぬるぬるしたのを指ですくうようにして、ひだひだの前後にすりつけた。小さなぽっちりに当たると背中に電流が走る。このちっちゃな尖ったとこがクリトリス。すごくいいところ。挿れられたまま触られるとすごくて、狂っちゃいそうにイイところ。
 あたし、ここをユーキさんに見られてイジられて舐められて、逃げようとしたけどユーキさんはあたしを押さえ込んだまま、イくまで放してくれなくて。恥ずかしくて恥ずかしくて、でもそれがすごくよくて……。
「あ、はあっ、あんっ」
 自分でも気付かないうちに、あたしはそこに指をこすりつけていた。

  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま-15
2005年12月20日 (火)
「あ、あっ、ああっ」 
 いつのまにかあたしはパジャマのズボンもショーツも脱ぎ捨てて、体重を座椅子の背にかけるようにして、脚を広げて喘いでいた。
 クリトリスが一番いいけど、それ以外の場所も気持ちいい。ユーキさんは第二関節くらいまで浅く挿れて素早く抜き差しして、あたしをイかせてくれた。深く入れたときは中で指を曲げるようにして圧しながらずりずりこすられるのがよかった。今日はユーキさんにいっぱいしてもらったからヒリヒリするけど、でもこのヒリヒリの痛みもいい。
「んあっ、あっあっ」
 ユーキさんがしてくれたことを思い出しながら、ユーキさんの手を真似て自分でイジるなんて、あたしはなんてえっちなんだろう。今日はあれだけ何回もイって、動けなくなるくらいにヘロヘロになっちゃってたのに。
 でも、もっと。もっと感じたい。
「ひ、ああ、やぁあー」
 右手の中指を押し込んでぐちゅぐちゅと出し入れしながら、左手で胸をつかんだ。ちょっと痛いのが気持ちいいのは今日わかったから、強く乳首をつまんでぎゅっとひねるようにしてくりくりと転がす。
「あ、あああ、ああ、んあっ」
 じーんじーんと胸全体が痺れた。苦しいような痛いような熱いような、どれも違うのに、いっぺんに感じると気持ちよくなってしまう。こんなのが気持ちいいなんて、あたしってヘンなのかもしれない。
「あ、ああん。ユーキさぁん、すごいっ。すごいよおっ」
 指を二本に増やしてじゅぶじゅぶと突き上げる。腰を振って、親指の付け根のところにクリトリスをこすりつける。
「ユーキさんのがあたしの中で、あううっ!」
 あたしの手はもうあたしの手じゃなくて、ユーキさんのアレになっていた。赤黒くておっきくて、咥えるのが大変だった。びくびくってあたしの中で暴れながら、何回も何回もイかせてくれた。上手だった。気持ちよかった。
「あ、ああっ。イきそうっ! ユーキさん、千紗もうイきそうだよおっ!」
 こんなところでこんなことするなんて、なんていやらしいの。ママが帰ってきたらどうするの。こんな格好をママに見られたらどうするの。
 もう一人のあたしが警告するたびにどうしようもなく快感が増して行く。びくびくとあそこが震えているのがわかる。
 もうすぐ、もう少し。もう、もう、イきそうっ!
 ああ、イくっ。イく、イくイくうっ!
「あ、ああっ、ユーキさん! ああっ、あああっ!!」
 ケータイが鳴ってたこともその相手がユーキさんだったことも気付かないまま、あたしは痙攣しながら彼の名を叫んで、自分の指を使って浅ましい絶頂を貪った。

  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま-16
2005年12月21日 (水)
「高見ー」
 放課後の教室で鞄に教科書を入れていると、名前を呼ばれた。振り返るとドアの向こうに見慣れた人影が立っていた。周囲を素早く見回して先生がいないことを確認してから、彼は教室に入ってきた。
 さらさらの前髪を綺麗に揃えてて、ちょっと細めであまり背は高くない。それほど目が大きいわけじゃないけど、どこか男になりきれてない感じの中性的な綺麗さがあって、美少年という表現が一番相応しい。あんな可愛い弟が欲しいと学園祭でアイドルに祭り上げられたこともある。もっとも、本人はかっこいい男に憧れているらしくて、自分の容姿について不満を漏らしていた。プロテインを飲もうかと悩んでいるらしい。前に一度、そんな話を聞いたことがあった。
「なに、安川くん」
 学校では互いに苗字で呼び合うこと。これが生徒間での暗黙のルールだった。
 あたしの通ってる高校はいわゆる進学校で、このご時世にも男女交際禁止を先生たちが堂々と言うようなお堅い学校だった。勿論、みんなそんなことを真面目に守っているわけはなくて、バレないように付き合ってるけど、でも公には誰も彼氏彼女はいないことになっていた。
「高見さ、今日このあと、予定ある?」
 訊かれてあたしは頷いた。
「図書館に行こうかと思ってたんだけど、なあに?」
 うちは片親でそんなに裕福な家じゃないから、塾とかは行ってない。貧乏なあたしが私立の高校に入れたのは、奨学生推薦枠のテストに運良く受かったから。奨学生はある一定の成績を維持することが義務付けられてたから、勉強は教科書と通信学習の教材でやってた。参考書はさすがに買うけど、それ以外は図書館で借りて済ませてる。雑誌なんかもできるだけ買わないようにしてる。ママはあたしが困らないよう気を使ってくれてて、お小遣いはそれなりにくれたけど、でも細々したものを買ってると、いつのまにかなくなっちゃう。
「あ、ああ、そうなんだ」
 彼氏はぱちぱちとまばたきをしながら頷いて、そしてちょっと意味深な眼をした。
「俺も、一緒に行くよ。ちょうど借りたい本があるから」
 言いながら、あたしの顔を覗き込むように笑った。
「そのあと、ちょっと付き合って欲しいんだけど」
 ああ、そういうことか。

  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま-17
2005年12月22日 (木)
「あ、くう、あぁ。いいよ、高見」
 じゅぶじゅぶと音を立てて吸い上げると、彼氏は天を仰ぐように喘いだ。
「もっと強く吸って、サオもしごいて」
 言われるままに軽く沿わせていただけのものを握って、ごしごしと上下させる。顔も動かしながら口をすぼめるようにして強く吸った。
「う、くっ、いいよ。ああっ」
 無意識なのか意識しているのか、ぐいぐいと顔に押し付けるように腰を動かしてくる。毛が鼻の下をくすぐってこそばゆい。くしゃみが出ちゃいそう。
「ああっ、出る、出るよ! もうイくよ、うううっ!」
 びくびく震えながらびゅくびゅくと弾けて、口の中に苦い液が叩きつけられる。はぁはぁ喘いでいる彼氏からゆっくり離れると、ちょっと顔をそむけるようにして、あらかじめ足元に置いてたティッシュをしゃりしゃりと数枚抜き出して口に当てた。口腔内に溜めてた、どろっとした白い液体をティッシュに吐き出す。
 口の周りを丁寧に拭いていると、視界の端に半裸の彼氏が近づいてくるのが見えた。上は制服のシャツとネクタイで、下半身は丸出しというのは間抜けすぎる格好だと思う。今出したばっかりだけど、でも半透明の黒いのを被せられたそれは、シャツのすそを突き上げてその存在をアピールしていた。いつもはピンクか薄紫のなのにと眉をひそめてから、ロングプレイ用の箱があったことを思い出す。
 あれは箱も黒かったけど、中身も黒だったんだ。ああ、なるほどね。一応、気にしてることは気にしてるんだ。そんな醒めた目で見ていた。
 変だなあ。あたし、この人のこと好きだった筈なのに。バージンあげたくらいに好きだった筈なのに。確かに、彼のセックスそのものは好きじゃなかったけど、彼が求めてくるなら彼が気持ちいいのなら、別にあたしは感じなくてもいいかなと思ってた。彼に触れられたりキスされたりしただけでドキドキしてた。
 なのに、どうしてこんなふうに思ってるんだろう。どうして比べてるんだろう。
「なあ、もう挿れていい?」
 はぁはぁと荒い息を吐きながら訊いてくる。でも、あたしの意見なんか関係なく、もうすっかりその気なんだとわかっていた。だって、いつもそうだから。こっくり頷いて見せると、すぐにあたしに覆い被さってくる。これもいつもと同じ。胸を揉んでスカートをめくり上げて、汗ばんだ手がショーツの中に入ってくる。あそこをちょっとだけ触ってから、彼氏は溜息をついた。
「やっぱり濡れてないな。ローション取って来る」
 なんか、ムカつく。

  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま-18
2005年12月23日 (金)
「もしもし、千紗です。今から会えませんか?」
 そう告げると、電話の向こうの相手は簡単にオッケーを出してくれた。

 彼氏の部屋から出てすぐ。
 駅のそばのセルフサービスのコーヒーショップに、彼はあたしより先に来て待ってくれていた。
 こないだ、別れてすぐにケータイにかけてくれたのを無視しちゃったことも、そのくせ突然電話をかけてきた理由も、何も訊かずに、ユーキさんは黙って呼び出されてくれた。あのときはひとりえっちしてました、だなんて言えないし、だからあたしも何も言わなかった。気付いてないふりをした。
「あの。急にお呼び立てしてすみません」
 ぺこりと頭を下げるとユーキさんは驚いたようにちょっと目を見張り、そして優しく笑ってくれた。
「たった三日なのに見違えるね。服のせいかな。それ、学校の制服?」
「あ、はい。着替えてくるの面倒だったんで……」
「うんうん。すごく可愛いよ。よく似合ってる」
 頷きながら笑ってくれる。お世辞だろうとは思うけど、でもやっぱり褒められたら嬉しい。それが人間心理だけど、中でも飛びぬけて女の子はその傾向が強い。いつだって褒められたい、見て欲しい、気付いてくれなくちゃイヤ。
 ユーキさんみたいなおとなの人はそのこともわかってるんだと思う。わがままだなと内心で苦笑しながらも、それも含めて受け入れてくれる。
「えへへ。あ、ありがとうございます」
 照れながらお礼を言って、彼に指し示されるままに真正面の席に座った。
「で、今日は急にどうしたの?」
 カップを置きながら、ユーキさんはいきなり本題に入った。
「あ、やっぱりなんかご用事ありました? そりゃありますよね。ごめんなさい、あたし何も考えてなくって……」
 慌てて謝りかけると、彼はそうじゃないよと笑った。
「千紗ちゃんに呼ばれるんなら、俺はいつでもどこへでも」
 おどけた調子でそう言いながら、テーブルの上に立てられていたプラスティックの小さなメニュをあたしの前に置き、なんか飲む、と訊いてくれた。
「あ、ええと。じゃあ、カプチーノで」
「かしこまりました。千紗ひめさま」
 すっと立ち上って芝居がかった仕草で仰々しく一礼すると、ユーキさんはそのまま注文用のカウンターに向かった。その後ろ姿は背が高くて肩幅が広くて、かっこいいかも。店員さんと話している横顔も男臭すぎない男っぽさで、短めの髪や少しゴツめのあごのラインなんか、いいかも。柑橘系の匂いも大きな手のひらも切れ長の優しい目も、上手なキスもすごいえっちも、やっぱりあたしは好きかもしれない。
 彼のこと、好きかもしれない。
「はい、お待たせしました」
 考え込んでいると、目の前に小振りのプラスティックのトレイが置かれた。ふわふわに泡立ったミルクの中から、あたたかいコーヒーの香りが漂ってくる。
「あ、あの。幾らでした?」
 鞄から財布を取り出そうとしていると、彼の腕が伸びてきてあたしの手をつかんだ。そのまま引っ張られる。そして彼は、あたしの手の甲に唇を押し付けた。
「あ、ちょ、ちょっ……」
 一瞬だったし、周囲はみんな自分たちの会話に夢中だし、誰も見てなかったと思う、けど。でも、こんなところで、いきなりなにを。
「カプチーノ代いただきました」
 慌てるあたしに彼は悪戯っぽく笑った。

  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま-19
2005年12月24日 (土)
「や、やだちょっと。は、恥ずかしい、じゃないですか……」
「ごめんごめん」
 くすくすと笑いながら、ユーキさんは自分のカップを取り上げた。真っ黒な液体が入っていた。多分、ブラックコーヒー。彼にそんなつもりはないんだろうけど、なんだか年齢の差を見せ付けられたような気がする。ミルクが入ってないと飲めないあたしと違って、そういうのが美味しいって思う人なんだろうな。ユーキさん、おとなだもんね。
 どうしよう。あたし、どうしよう。
「あの、ユーキさん」
 声をかけると、彼はカップから眼を上げてあたしを見た。
「あたし、その。ええと……」
 スカートのポケットから取り出したミニタオルで手のひらの汗を拭きながら、あたしは懸命に考えた。どう言っていいのかわからない。どう言おう。どんなふうに言ったらわかってもらえるんだろう。そっと視線を向けると、彼は軽く首を傾けたままあたしをじっと見てくれていた。優しく細まったまなざしがどうしたのと問い掛けてくれている。
「あの、あたしっ」
 手の中のミニタオルを握って、絞るように握りしめた。
「あたし、ユーキさんのこと、好きになっちゃった、みたい、なんです」
「そうなの? それはありがと」
 そう言うと、ユーキさんはくすくすと笑う。どう見ても本気に取られているようには思えない。
「違うんです。本気で聞いてください。あたし、ユーキさんが好きなんです。好きに、なっちゃったんです!」
 小声で、でも勇気を振り絞ってちゃんと言った途端、彼の口からカップが離れてがしゃんとテーブルに置かれた。何も言ってくれなかった。その沈黙に耐えられなくて、でもそれ以上は何を言うこともできなくて、あたしは俯いて手の中で可哀想なくらいに握りしめられたクマを見つめていた。
 唐突に何を言い出すんだろうと思ってるんだろうか。からかってると思われてるだろうか。
 じゃあ、前に綺麗だって言ってくれたのも可愛いって言ってくれたのも、好きだって何回も誘ってくれたのも、嘘だったんだろうか。それとも、高校生なんて子どもだと思ってからかっただけで、こないだのことも遊びで、ちょっと気が向いたからとかで一回えっちしただけだったんだろうか。もしそうだったら、どうしよう。
 もう好きになっちゃったのに。
「千紗ちゃん」
 数十秒か、それとも数秒か。長くて短い沈黙のあと、彼は低い声であたしの名前を呼んだ。あたしをじっと見ていた。言葉にできない不安を感じるような暗い目だった。
「ありがとう、千紗ちゃん」
 ぽつりと呟くように彼は言った。言葉は『ありがとう』だけど、でも喜んでくれているようには見えなかった。あたし、断られるんだろうか。
 どうしよう、涙が出そう。
「でも、千紗ちゃん。俺はね、普通じゃないんだ」
 聞き取れないくらい低い声で、彼は言った。
「深入りしないほうが、いいと思うよ」
 どういう意味?

  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま-20
2005年12月26日 (月)
 場所を替えようか。俺の部屋でもいい?
 そう言われてあたしは頷いた。彼は黙って立ち上がって、あたしの鞄を持ってくれた。エスコートするようにあたしの歩く速さに併せてくれる。こういうのって彼氏なんかは絶対にしてくれない。だから一緒に歩く場合は、いつもあたしが彼氏について行った。
 ユーキさんって優しい。誰にでもそうなのかもしれないけど、あたしが特別じゃないだろうけど、でも優しい。そういうのって大切にされているようで嬉しい。
 でも、あたし、ちょっとわかった。なんとなくわかった。
 ユーキさんは、あたしが思い込んでたような、欠点のまるでない誰にでも優しい人当たりのいい完璧な人じゃない。彼にも短所も長所もあって、コンプレックスも悩みもある。人間なんだからそんなの当たり前だけど、でもあたしはわかってなかったかもしれない。彼のこと、ちゃんと見てなかったのかもしれない。
 そんなことを考えながら、何度か乗ったことのある彼の車で彼の部屋に向かった。そこはごく普通の、というにはゴージャスすぎるマンションだった。
 大理石のエントランスホールにはガラス細工の噴水があって、うちのアパートなんか丸ごと入っちゃうんじゃないかと思うくらいに広くて高い。エレベータに向かう廊下の絨毯は、ベッドの替わりになりそうなくらいにふかふかで。
「ユーキさん……ここ……」
「ん、ああ。家から大学はちょっと遠かったから、引っ越したんだ。ここで独りで暮らしてる」
 ここ、ユーキさんの部屋? 家じゃなくて、部屋?
 彼はなんでもないように軽く言うけど、これって学生の住むとこじゃないよ。大企業の社長さんとか大臣とか芸能人とか、そういうあたしなんかと住む世界の違う人たちのいるような場所だよ。
 どうしよう、もしかしてこの人って超お金持ち?
 そう言えば、今まで気にも留めなかったけど、ユーキさんの車は高級車っぽかった。今つけてる腕時計だって、なんか高価そう。そう思って見れば、服も靴も、持っている鞄だってブランド品っぽい。でかでかとロゴのついたものじゃなくて、もっとスマートでお洒落な良い物を選んで身につけてる、って感じ。
 うわ、どうしよう、どうしよう!!

  -つづく-
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