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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド2-112
2010年10月20日 (水)
「んじゃ俺は、一人寂しく風呂入ってくっから」
 電話口に向かって、ミックスフライセット、ステーキ丼、唐揚げオードブル、ピザとホットサンド、あとビールとコーラ、なんて大量の注文をしてから、先生はソファから立ち上がった。わざとらしく哀しげに溜息をついて見せてから一人で大笑いして、のしのしとドアへ向かう。ムダに頑丈そうな後ろ姿を見送りながら髪を拭いていると、くるっと先生が振り返った。
「春奈。メシ来たら、先に食ってていいからな」
「え、あ、うん」
 先生は多分、あたしがお腹空いてるだろうからって気を使ってくれたんだろうけど、でもあたしが先生が上がってくるのを待ってるだろうってホントはわかってると思う。わかってて、それでも言ってくれてるんだと思う。もしあたしと先生のお風呂に入る順番が逆なら、先生は絶対に待ってくれてる。だって、わざわざお弁当抱えてマンションまで来てくれるような人だもん。
「いってらっしゃーい」
「お、おお」
 ひらひらと手を振って見せると、先生はちょっとびっくりした顔をして、それから笑ってドアを閉めた。
「ヘンなひとー」
 でも、わかってた。だいぶん前から、先生がそう言う人だってことはわかってた。先生はあたしのことを見てくれる。授業中もえっちのときも、それ以外のときも。それは多分、責任とか義務とか罪悪感とかそういうことで、あたしだからどうのってことじゃなくって、困ってる人がいたら親身になってしまうタイプの人なんだろうけど。だって、あたしが好きなのは佐上先生で、藤元先生じゃないし、そのことは藤元先生だってよく知ってるはずだし。
 どうしてパパと結婚したのって訊いた小学生のあたしに、主婦だったママはにっこり笑って、パパはとっても優しいのよ、春奈もよく知ってるでしょって言った。女は愛されるのが幸せなの、もうちょっと大きくなったら春奈もわかるわって、ちょっと恥ずかしそうに笑っていた。でもママはその数年後、優しいだけのパパを切り捨てた。
 愛されたから優しくしてくれたからその人を好きになったなんて、安易でバカな選択をしたわとまで言ってしまったママの気持ちはわからないけど、がんばって好きになってもどこかに軋みが出ちゃうものなのねって呟いたママの横顔はいつもと変わらなかったけど、でもやっぱりママはママで苦しんでたんだと思う。もちろん、言われたパパのほうがずーっと可哀相だったけど。
 だから、怖かった。先生がそんなつもりじゃなかったら、あたしの勘違いだったら、あたしは今度こそ本当にひとりになっちゃう。
 ――なのに。

 -つづく-
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