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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド2-106
2010年09月28日 (火)
 話していた人の輪郭が突然ふわっと揺れた。えって思うよりも早く、目の前のキレイな横顔がかすみの向こうへ遠くなる。ろうそくの炎を吹き消したのように、その人ごと世界が白くなる。重りを捨てたダイバーのように足が地面から浮いて、天井へと吸い込まれていく。
 やだ、行かないでっ!
 あたしはそう叫んだような気がする。そんな気もする、けど――。
「やぁっ!」
「でっ!」
 手が何かに当たった。ごち、と鈍い音と野太い悲鳴が聞こえた。どっかで聞いたことある声だなーなんて思いながら、あたしは目を開けて周囲を見渡した。床を照らす間接照明と天井からのスポットだけじゃちょっと光が足りなくて、すべて見えるってワケじゃないけど、それでもすぐ隣の人の顔くらいはわかる。
「えっ……、せん、せ……?」
「え、じゃねぇだろ。あー、いってーっ」
 それこそ手を伸ばせば簡単に届く超至近距離で、クッションを背にベッドに寝転んでテレビを見ていたとおぼしき先生が、あごを押さえながら涙目でうめいていた。右手に握ったままのライターと、真ん中から変な角度で曲がった火のついてないタバコ。その状況とあたしを責める目からするに、どうやらあたしの手がちょうどタバコを吸おうとしていた先生の顔を直撃した、みたい……?
「えーと。あたし、せんせ叩いちゃった……?」
「ああっ?」
 おそるおそる訊いたあたしを先生はギロリと睨みつけた。全然関係ない話だけど、本気でドキっとしちゃうから、そう言う状況じゃないときにそんな目をするのはやめて欲しい。
「そうだよ! 言っとくがな、ただ殴ったってんじゃねーぞ。こぶしで正確にあご先捉えやがって、格闘家かおまえは!」
「仕方ないよー。あたし、寝てたんだし」
 あははと笑うあたしに、先生はわざとらしいため息を一つついた。捻じ曲がったタバコを指先でまっすぐに直して、への字に曲がった唇の端に押し込んで火をつける。
「ったく、危うく脳しんとう起こすとこだったぜ。女子高生に一発で沈められたなんて、恥ずかしくて誰にも言えねぇ」
「え、そうなの?」
「おーよ。決まってンじゃねーか」
 まだ少しどこかが眠ったままで、回線の繋がり切ってないあたしのとろくさい反応に、先生はむっと頬をゆがめた。どう見ても俺は怒ってるぞアピールだけど、あごをマッサージしながら咥えたタバコから白い煙を吹き上げる横顔は、別にものすごく怒ってるってカンジでもない。

 -つづく-
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