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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド2-87
2010年08月21日 (土)
「そいつは、俺のツレだ。置いてってもらう」
「やっ、ちがっ!」
 銀に光る大きなペンダントをちゃらりと鳴らしながら伸びてくる大きな手から逃げようとして、あたしは茶髪の男性に身を寄せた。桜吹雪に昇り竜なんて、そんないかついTシャツ着るような知り合いは、あたしにはいない。こんな人知らない。
「ふざけんな、コラ」
 あたしの行動に、キャップの下の影がいまいましげにちっと舌を鳴らす。威圧するような仕草で、ゆっくりと腕を肩の高さまで上げた。
「う、わぁっ」
 ぐうっと伸びてきた太い腕が、あたしの肩を抱いたままだった男の人の手の甲を弾き飛ばした。耳元でゴツっと鳴った痛そうな音に身体が固まる。体格差か、それとも迫力か、殴られた方は文句も言わず右手を抱きかかえて身体を丸めるようにして、背後に下がっていく。恐怖に誰も言えないような雰囲気の中、自分のしたことなんてまったく気にしてないふうで、大きな手は無遠慮にあたしの腕をつかんだ。
「オラ、さっさとこい!」
「やーっ、はなしてーっ!」
 肩のすぐ下を握って、そのまま引っ張られる。誰か助けて誘拐だぁって叫びかけて、えっと、あれ、あれれ……?
 残念ながら、ものすごく細いってわけじゃないあたしの二の腕に軽々と指をまわして握ってくる、大きな手のひら。王冠をかぶったドクロのシルバーリングに見覚えはないけど、黒にオレンジの数字が浮いたデザインの腕時計は、もしかして。いや、でも、そんな。まさか。
「おい、おまえ! 荷物!」
「はいっ」
 怒鳴り声に飲まれたのか、バンダナの人が床に転がっていたあたしの紙袋を拾って、両手で差し出した。それを乱暴にひったくると、くるりとかかとを廻してまだ揺れているドアをくぐる。階段を踏み抜いちゃうんじゃないかってくらい乱暴な足取りが、あたしを引っ張ったままテラスから通りへ出た。
「やっ、ちょっ、とぉ……っ!」
 イマドキの繁華街とちょっと古い繁華街と、やたら高いビルが立ち並ぶビジネス街と、そして昔ながらの街並みの境がちょうど重なる大きな交差点を、いかつい和柄のTシャツと都市迷彩のパンツのその人は、あたしを引きずったまま抜けた。
「ちょっと、待ってっ」
 アスファルトの隙間にサンダルのかかとが引っかかってこけそうになっても、先に立ってずんずん歩いて行く背中は聞く耳なんてないみたい。呼びかけても完全無視。何度か人にぶつかりながらも、スピードを緩めず早足でどんどん歩いていく。

 -つづく-
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