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2010年08月17日 (火)
「ん、おいしい」
口の端にたっぷりとついたタルタルソースを指でぬぐって、それも舐めた。こりっと歯に当たるみじん切りのピクルスと、舌に反発するゆで卵の白身の感触が面白い。だからタルタルソースって好きだなって思いながら、指先でつまんだポテトをウサギみたいに咥えて、もぐもぐしながら少しずつ口の中に収めていった。お行儀悪いってわかってるけど、でもあたしにそんなことを言う人はいない。生活のすべてが自己管理。フリーダム。
――藤元先生だったら、言うかもしれないけど。
食べ方は肉食系で豪快だけど、でも意外なくらい食事マナーはいいから、きっと厳しくしつけられたんだろうなって思う。両親揃った温かい家庭で育ったんだろうな。あたしの気持ちはわかんないから、すごく気にして気にかけてくれてて、だから何回も電話してくるんだろうなって、そのこと自体は嬉しくないことは、ないんだけど。
「でもさすがに、もういいんじゃないの」
あれから三日。
翌日はベッドから起き上がる気さえなくて無断欠席をした。次の日は一応は起き上がったものの、朝は遅刻してホームルームをサボり、授業中は完璧無視、呼び止められた廊下はダッシュで振り切った。
あれからずっとマナーモードにしてるから、別にどこで鳴っても周囲に迷惑じゃないけど、でもだからって毎日毎日、一時間おきに掛けてくる? って言うか、あっちだってあたしが無視してるのはもうとっくにわかってると思うんだけど。だって三日だし。
「担任としての責任ってヤツなのかな」
最後の一口にはちょっと大きすぎたバーガーを、それでも頑張ってがばっと口の中に放り込んで、もぎゅもぎゅ噛む。一噛みごとにガシュガシュとレタスが鳴るのを聞きながら包みをぐしゃっと丸めて、空になった右手でソーダのカップを引き寄せる。
「あの人、バカだからねー」
超体育会系で熱血で肉食で、しかもエッチでサディストで。でも……佐上先生よりずっと優しい。あたしのことを心配してくれてる。わかってる。そんなことはわかってる、けど。
「……っ! やだなぁ、もう!」
ぽろってこぼれそうになった涙を指先でぎゅっと拭いて、そしてポテトに手を伸ばした。
泣いたってしょうがない。だって佐上先生はそう言う人だもん。わかってた。そのうち捨てられるってわかってた。それでもそのギリギリまでそばにいたいって思ってた。
でもきっと、先生は今頃はもう、あたしのことなんか……。
「一番バカなのは、あたしかぁ」
「かーのじょ。どうしたの? ひとり?」
ため息混じりに呟いた瞬間、後ろからぽんと肩を叩かれた。
-つづく-
口の端にたっぷりとついたタルタルソースを指でぬぐって、それも舐めた。こりっと歯に当たるみじん切りのピクルスと、舌に反発するゆで卵の白身の感触が面白い。だからタルタルソースって好きだなって思いながら、指先でつまんだポテトをウサギみたいに咥えて、もぐもぐしながら少しずつ口の中に収めていった。お行儀悪いってわかってるけど、でもあたしにそんなことを言う人はいない。生活のすべてが自己管理。フリーダム。
――藤元先生だったら、言うかもしれないけど。
食べ方は肉食系で豪快だけど、でも意外なくらい食事マナーはいいから、きっと厳しくしつけられたんだろうなって思う。両親揃った温かい家庭で育ったんだろうな。あたしの気持ちはわかんないから、すごく気にして気にかけてくれてて、だから何回も電話してくるんだろうなって、そのこと自体は嬉しくないことは、ないんだけど。
「でもさすがに、もういいんじゃないの」
あれから三日。
翌日はベッドから起き上がる気さえなくて無断欠席をした。次の日は一応は起き上がったものの、朝は遅刻してホームルームをサボり、授業中は完璧無視、呼び止められた廊下はダッシュで振り切った。
あれからずっとマナーモードにしてるから、別にどこで鳴っても周囲に迷惑じゃないけど、でもだからって毎日毎日、一時間おきに掛けてくる? って言うか、あっちだってあたしが無視してるのはもうとっくにわかってると思うんだけど。だって三日だし。
「担任としての責任ってヤツなのかな」
最後の一口にはちょっと大きすぎたバーガーを、それでも頑張ってがばっと口の中に放り込んで、もぎゅもぎゅ噛む。一噛みごとにガシュガシュとレタスが鳴るのを聞きながら包みをぐしゃっと丸めて、空になった右手でソーダのカップを引き寄せる。
「あの人、バカだからねー」
超体育会系で熱血で肉食で、しかもエッチでサディストで。でも……佐上先生よりずっと優しい。あたしのことを心配してくれてる。わかってる。そんなことはわかってる、けど。
「……っ! やだなぁ、もう!」
ぽろってこぼれそうになった涙を指先でぎゅっと拭いて、そしてポテトに手を伸ばした。
泣いたってしょうがない。だって佐上先生はそう言う人だもん。わかってた。そのうち捨てられるってわかってた。それでもそのギリギリまでそばにいたいって思ってた。
でもきっと、先生は今頃はもう、あたしのことなんか……。
「一番バカなのは、あたしかぁ」
「かーのじょ。どうしたの? ひとり?」
ため息混じりに呟いた瞬間、後ろからぽんと肩を叩かれた。
-つづく-
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