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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド2-83
2010年08月15日 (日)
 気の毒なくらいガランとしたテラス席は、結構広い空間に格子戸を組み合わせた木の壁とすりガラスのランプに囲まれて木製の丸テーブルが並んでいた。腰までの高さしかない壁のせいで大通りからも見えるけど、でも丸見えになっちゃわないようにツタみたいな観葉植物が柱に沿って這っているから、それなりに落ち着ける。テーブルの中央に背の低い丸いキャンドルがほんわり揺れてて、スチールで作られた店内よりよっぽどデート向き。ただひとつ、殺人的なこの暑さを我慢しなきゃなんないんだけど。
「そこが致命的なんだろうなー」
 日が落ちたらそこそこ涼しくなってた昔と違って、うっかり打ち水なんてしようものなら不愉快なプチサウナができちゃう亜熱帯気候になったのは、五年ほど前に開通した地下鉄のせいらしい。あたしなんかが言っても説得力ないけど、文明ってもしかしたら本来目指してた方向じゃない方向へ全力疾走してるのかもって思う。別に頼んでないのにどんどん開発して便利な機能がついて、その替わりがこれですか、ってカンジ。まだ九月だから、もうあと一箇月は確実に暑いんだよねって思うとどんよりする。家に帰ってクーラー付ければ快適なのはわかってるけど、それでも一人っきりのリビングでつまんないテレビ見て頑張って笑うよりは、ジャングルみたいなここのほうが、まだずーっとマシ。
「お腹空いたなー、早くこないかなっ」
 前向きに納得して、大きな葉っぱで大通りから目隠しされた、一番奥の丸テーブルに両手の荷物をどさっと置いた。時間を確認しようとカバンからケータイを取り出して、ついうっかり、ペカペカ光る着信履歴を確認してしまった。
「あ……、やばっ」
 画面を覆いつくす勢いでずらっと並んだ、同じ名前に息が止まる。一番新しいのはほんの三分ほど前。その前は、一時間くらい前。せっかくずっとマナーモードにしてたのに。気づかなかったから出なかったのに。出ないぞって決めてたのに。
「八番のお客さま。お待たせしました」
「あ、ありがと」
 いきなり後ろからかけられた声にちょっとびくっとしながら、でもなんでもない顔でパタンとケータイを閉じた。あたしの反応なんて知ったこっちゃない店員さんは、無表情な笑顔でトレイを目の前に差し出してきた。
「こちらで、ご注文はよろしいでしょうか」
「あ、はい」
「どうぞ、ごゆっくり」
 うやうやしく一礼してから番号札を持ち去る後ろ姿を見送るなんてことはもちろんせず、トレイから取り上げたバーガーの包み紙をべりっとめくった。誰にもはばかることなく、大口開けてがぶっとかじりつく。

 -つづく-
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