--年--月--日 (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
2010年08月14日 (土)
「はい、では、ご注文を確認いたします。トマトレタスサンドにタルタルソーストッピング。ポテトSのセットでフレーバーはチーズ、ドリンクはぶどうのソーダ。以上でよろしいですか?」
「はい」
「ありがとうございます。六百二十円になります……はい、おつり三百八十円です」
無言で差し出した千円札に小さく頷くと、茶色のサンバイザーをつけたお姉さんはレジからちゃらりんと音を立てて吐き出されたコインを、あたしの手の中に置いた。
「お席までお持ちします。こちら、八番の札をお持ちください」
マニュアル通りの丁寧語で疲れをごまかしながら、手帳くらいのサイズの赤いプラスティックの板を差し出してくる。
この人、大学生かな。こんな時間までバイトするんだ。まぁ明日は日曜だし、多少遅くなっても平気なのかもしれないけど、でも大変だなぁ。あたしも大学生になったらバイトしなきゃなんないのかな、とかなんとなく考えながら、白抜きされたポップ数字を受け取った。
「ありがとうございます。はい、では次のお客さま、お待たせいたしました。お決まりでしたらご注文をどうぞ」
あたしと入れ替わりにカウンターにへばり付いた二人組みの男の人が、『ダブルチーズバーガーとチリドックと、ポテトのLで』とか言ってるのを背中で聞きながら、お財布にコインを落とし込んだ。足元に置いていた紙袋を持ってから、ぐるりと店内を見渡してみる。確認もせずに店に入ったのはちょっと失敗だったのかもしれない。持ち帰りにしたほうがよかったかなって一瞬思っちゃうくらい、席はぎっしりと埋まっていた。
「うーわー。ちょっとムリ、かなぁ」
本来はバーガー屋だから、中学生だって来るけど、六時を過ぎるとそれっぽいメニューやアルコールが並んで、ぐんと年齢層が上がる。窓際に並んだテーブル席はカップルや同性同士二人がほとんどだけど、テーブル中央にピザやポテトの大盛りを広げて楽しそうにしてるお友だちグループも結構いる。あたしみたいに、一人でゴハンって感じの人も一応いるにはいるけど、無言で壁に向かって黙々と、って感じ。ビールやカクテル片手で週末満喫って笑顔が並んでる中、ぽつんと一人で食べてる背中を見ると、なんていうか、こう。
「……寂しくて、悪かったわね」
自分だって同じ立場のクセに上から目線しちゃった自分にイヤな気分になりながら、大きなゴミ箱の脇を通って、テラス席に続く木製のドアを押し開けた。涼しい店内から一転、もわっとした空気が顔を叩く。引きかけた汗がまた肌に浮き始めるのがわかったけど、でも仕方ない。
「ま、こっちのほうが、のんびりできていいかもね」
-つづく-
「はい」
「ありがとうございます。六百二十円になります……はい、おつり三百八十円です」
無言で差し出した千円札に小さく頷くと、茶色のサンバイザーをつけたお姉さんはレジからちゃらりんと音を立てて吐き出されたコインを、あたしの手の中に置いた。
「お席までお持ちします。こちら、八番の札をお持ちください」
マニュアル通りの丁寧語で疲れをごまかしながら、手帳くらいのサイズの赤いプラスティックの板を差し出してくる。
この人、大学生かな。こんな時間までバイトするんだ。まぁ明日は日曜だし、多少遅くなっても平気なのかもしれないけど、でも大変だなぁ。あたしも大学生になったらバイトしなきゃなんないのかな、とかなんとなく考えながら、白抜きされたポップ数字を受け取った。
「ありがとうございます。はい、では次のお客さま、お待たせいたしました。お決まりでしたらご注文をどうぞ」
あたしと入れ替わりにカウンターにへばり付いた二人組みの男の人が、『ダブルチーズバーガーとチリドックと、ポテトのLで』とか言ってるのを背中で聞きながら、お財布にコインを落とし込んだ。足元に置いていた紙袋を持ってから、ぐるりと店内を見渡してみる。確認もせずに店に入ったのはちょっと失敗だったのかもしれない。持ち帰りにしたほうがよかったかなって一瞬思っちゃうくらい、席はぎっしりと埋まっていた。
「うーわー。ちょっとムリ、かなぁ」
本来はバーガー屋だから、中学生だって来るけど、六時を過ぎるとそれっぽいメニューやアルコールが並んで、ぐんと年齢層が上がる。窓際に並んだテーブル席はカップルや同性同士二人がほとんどだけど、テーブル中央にピザやポテトの大盛りを広げて楽しそうにしてるお友だちグループも結構いる。あたしみたいに、一人でゴハンって感じの人も一応いるにはいるけど、無言で壁に向かって黙々と、って感じ。ビールやカクテル片手で週末満喫って笑顔が並んでる中、ぽつんと一人で食べてる背中を見ると、なんていうか、こう。
「……寂しくて、悪かったわね」
自分だって同じ立場のクセに上から目線しちゃった自分にイヤな気分になりながら、大きなゴミ箱の脇を通って、テラス席に続く木製のドアを押し開けた。涼しい店内から一転、もわっとした空気が顔を叩く。引きかけた汗がまた肌に浮き始めるのがわかったけど、でも仕方ない。
「ま、こっちのほうが、のんびりできていいかもね」
-つづく-
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++