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2010年04月16日 (金)
毎日勉強すれば、さすがのあたしでもちょっとずつわかるようになってくる。それも全部、なかなか理解できないあたしに根気よく何度も何度も公式を教えてくれた、藤元先生のおかげだけど。
「そうだな、俺のおかげだ。あがめろあがめろ」
「はいはい」
それでも、わざとらしく胸を張る先生には笑ってしまう。藤元先生がイマイチ『先生扱い』されないのは、こういうちょっと子どもっぽいところのせいなんだろうなって思うけど、それもきっと親しみのかたちの一つだし。
「そっか、四月から女子大生か。……芝口が、ねぇ」
「悪かったわねーっ」
こんな子どもがって言いたげなニヤニヤ笑いを真正面から睨んでも、返ってくるのは余裕の態度だけ。エラソーに腕組みしてふふんってあごを上げてから、でも先生はすぐにいつもみたいに笑ってくれた。
「いやいや、おまえなら大丈夫だろ。頑張ってたもんな」
「う、うん……」
伸びてきた手が、今度は優しく頭を撫でてくれる。覗き込んでくる目が笑みのカタチに細くなってて、なんか二人っきりのときに近いみたいな雰囲気。そういうの、ちょっとドキドキする。
「あたし、がんばってた?」
ちょっと甘えたい気分でそう言うと、先生はうんうんと大きく頷いてくれた。
「おお、すごく頑張ってたぞ」
「うん。ありがと」
まっすぐな褒め言葉はとっても嬉しいけど、でもホントは、頑張ろうと思ってたわけじゃない。先生が一所懸命に教えてくれるのを聞き流すことができなかっただけ。夏期休暇明け一斉テストの点数がウソみたいに上がってたのは、自分でもホントにびっくりしたけど。
「おまえ、メシは?」
「これから買いに行くー」
左手のおサイフを見せながら言うと、先生はいつもの顔で頷いた。
「じゃあその前に、これちょっと準備室に置いてきてくれ」
言いながら、小脇に挟んでいた教科書と実験レポートをあたしに向かって差し出してくる。
-つづく-
「そうだな、俺のおかげだ。あがめろあがめろ」
「はいはい」
それでも、わざとらしく胸を張る先生には笑ってしまう。藤元先生がイマイチ『先生扱い』されないのは、こういうちょっと子どもっぽいところのせいなんだろうなって思うけど、それもきっと親しみのかたちの一つだし。
「そっか、四月から女子大生か。……芝口が、ねぇ」
「悪かったわねーっ」
こんな子どもがって言いたげなニヤニヤ笑いを真正面から睨んでも、返ってくるのは余裕の態度だけ。エラソーに腕組みしてふふんってあごを上げてから、でも先生はすぐにいつもみたいに笑ってくれた。
「いやいや、おまえなら大丈夫だろ。頑張ってたもんな」
「う、うん……」
伸びてきた手が、今度は優しく頭を撫でてくれる。覗き込んでくる目が笑みのカタチに細くなってて、なんか二人っきりのときに近いみたいな雰囲気。そういうの、ちょっとドキドキする。
「あたし、がんばってた?」
ちょっと甘えたい気分でそう言うと、先生はうんうんと大きく頷いてくれた。
「おお、すごく頑張ってたぞ」
「うん。ありがと」
まっすぐな褒め言葉はとっても嬉しいけど、でもホントは、頑張ろうと思ってたわけじゃない。先生が一所懸命に教えてくれるのを聞き流すことができなかっただけ。夏期休暇明け一斉テストの点数がウソみたいに上がってたのは、自分でもホントにびっくりしたけど。
「おまえ、メシは?」
「これから買いに行くー」
左手のおサイフを見せながら言うと、先生はいつもの顔で頷いた。
「じゃあその前に、これちょっと準備室に置いてきてくれ」
言いながら、小脇に挟んでいた教科書と実験レポートをあたしに向かって差し出してくる。
-つづく-
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