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2010年02月16日 (火)
「そっか。なるほどな」
わかっているのかいないのか、お弁当に残っていた真っ赤なウィンナーを摘み上げながら、先生はまじめな顔をした。
「うん、まぁ、そんなカンジ」
意味のあるようなないような言葉を返しながら封を開けて、パッケージの間から出てきたおにぎりにぱくりとかじりつく。軽く何回か噛んだだけで、シャケのフレークが混ざったご飯が口の中でほろほろと崩れる。ぷちぷちのゴマとわかめの歯ごたえとイクラの甘み。しっとりとご飯にくっついたやわらかい海苔が好き。
「がんばってるんだな、春奈チャンは。えらいえらい」
角に残っていたご飯をがばっと一口で食べるとそれをお茶で流し込んで、先生はお箸を置いた。腕を伸ばすようにして頭を撫でてくれる。おっきな手のひら、太い指、短い爪。顔を上げると、ふざけた態度の割にはすごく優しい目があたしを見ていた。
「俺も、見習わなきゃな」
目が合うと笑いかけてくれる。何度も何度も頭を撫でながら小さく頷いてくれる。あたしのこと気遣ってくれてるんだなぁって思いながらじっと見返してると、その笑顔がじわっとにじんだ。あっと思う暇もなく、一気に涙がこぼれる。慌てうつむいてもごまかせるもんでもなくって。
「え? あ、おい」
先生がガタンと椅子を鳴らして立ち上がったのがわかった。ぐるっとテーブルを回ってすぐ横に来てくれる。手の甲を撫でられて力が抜けて、おにぎりがころりとテーブルに転がった。
「どうした春奈。どっか痛いか?」
笑っちゃうくらい間の抜けた質問だけど、でも。
「ありがと、せんせ……」
――本当は、ずっと前からわかってた。
あたしは寂しい。だから、優しくしてくれる人が欲しい。あたしを見てくれる人が欲しい。可愛がってくれる人が欲しい。
佐上先生は、見てるだけでうっとりするくらいキレイでカッコよくて、えっちな関係になれたのはホントに嬉しくて、今でも大好きだけど、でもあたしを見てくれてるわけじゃないから。あたしのことが好きなんじゃないから。だから。
だから……?
-つづく-
わかっているのかいないのか、お弁当に残っていた真っ赤なウィンナーを摘み上げながら、先生はまじめな顔をした。
「うん、まぁ、そんなカンジ」
意味のあるようなないような言葉を返しながら封を開けて、パッケージの間から出てきたおにぎりにぱくりとかじりつく。軽く何回か噛んだだけで、シャケのフレークが混ざったご飯が口の中でほろほろと崩れる。ぷちぷちのゴマとわかめの歯ごたえとイクラの甘み。しっとりとご飯にくっついたやわらかい海苔が好き。
「がんばってるんだな、春奈チャンは。えらいえらい」
角に残っていたご飯をがばっと一口で食べるとそれをお茶で流し込んで、先生はお箸を置いた。腕を伸ばすようにして頭を撫でてくれる。おっきな手のひら、太い指、短い爪。顔を上げると、ふざけた態度の割にはすごく優しい目があたしを見ていた。
「俺も、見習わなきゃな」
目が合うと笑いかけてくれる。何度も何度も頭を撫でながら小さく頷いてくれる。あたしのこと気遣ってくれてるんだなぁって思いながらじっと見返してると、その笑顔がじわっとにじんだ。あっと思う暇もなく、一気に涙がこぼれる。慌てうつむいてもごまかせるもんでもなくって。
「え? あ、おい」
先生がガタンと椅子を鳴らして立ち上がったのがわかった。ぐるっとテーブルを回ってすぐ横に来てくれる。手の甲を撫でられて力が抜けて、おにぎりがころりとテーブルに転がった。
「どうした春奈。どっか痛いか?」
笑っちゃうくらい間の抜けた質問だけど、でも。
「ありがと、せんせ……」
――本当は、ずっと前からわかってた。
あたしは寂しい。だから、優しくしてくれる人が欲しい。あたしを見てくれる人が欲しい。可愛がってくれる人が欲しい。
佐上先生は、見てるだけでうっとりするくらいキレイでカッコよくて、えっちな関係になれたのはホントに嬉しくて、今でも大好きだけど、でもあたしを見てくれてるわけじゃないから。あたしのことが好きなんじゃないから。だから。
だから……?
-つづく-
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