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2010年02月10日 (水)
もしかしたら、もっと悪いことを想像して心配してるのかもしれない。言っちゃったほうがいいのかも。言っちゃう? 言っちゃう? でもいきなり自分からは言いにくいな。どうしよう、先生のほうから訊いてくれないかな。
そう思ったのが聞こえたかのように、先生はコップのお茶を一気に飲み干すと、真正面からあたしを見た。
「あ、その……今日、お母さんとかは?」
それでもちょっと迷っているみたいに言葉を選んでくれる。ときどき思うんだけど、やっぱりこの人は優しい人なんじゃないかな。
「ウチ、ママはいないの」
あ、言えた。
でも言えてよかったって思ったのはあたしだけで、先生は凍ったみたいにぴたっと止まった。その顔見ると、あ、だめだめ。誤解しちゃってる。ママはまだ生きてるよー。元気でパワフルですよー。勝手に殺したら怒られるよーっ!
「違う違う! ちゃんといるけど、ここには住んでないの。別居」
「べっ、きょ……?」
慌てて続けたけど、なんか余計に悪かったみたい。眉をぎゅっとひそめた表情にはおかしくなるくらいはっきりと『しまった』って書いてある。訊くんじゃなかったって超反省顔だけど、でも昨日から散々訊きたがってたのは先生だからね、あたしがムリヤリ聞かせたんじゃないんだからね、あたしのせいじゃないんだからね。とは思っても、なんかちょっと罪悪感。だからあたしは聞いた人が納得しやすい言葉をつなげる。
「うん。ママの仕事のカンケーでね。別居って言ってもたまには帰ってくるんだけど。昨日だって来てたし。でもここんとこ忙しいみたいで、すぐ帰っちゃったけど」
すぐ帰っちゃうのはいつもだけど、しかも仕事のせいじゃないんだけど、でもそれは言わないでおく。
「そっか」
難しい顔の先生。やっぱりちょっと悪かったかな。
「パパが全然家のことしてくんないからね、そこだけね。だから、それ見てたの。特売品確認しとかないとって。高校生だってのに、もう主婦よ、主婦」
テーブルの隅によけたチラシを視線で指しながら、パパとママの仲が悪いから別居してるんじゃないよって、仕事だから仕方ないんだよって、そんな嘘を含ませる。
-つづく-
そう思ったのが聞こえたかのように、先生はコップのお茶を一気に飲み干すと、真正面からあたしを見た。
「あ、その……今日、お母さんとかは?」
それでもちょっと迷っているみたいに言葉を選んでくれる。ときどき思うんだけど、やっぱりこの人は優しい人なんじゃないかな。
「ウチ、ママはいないの」
あ、言えた。
でも言えてよかったって思ったのはあたしだけで、先生は凍ったみたいにぴたっと止まった。その顔見ると、あ、だめだめ。誤解しちゃってる。ママはまだ生きてるよー。元気でパワフルですよー。勝手に殺したら怒られるよーっ!
「違う違う! ちゃんといるけど、ここには住んでないの。別居」
「べっ、きょ……?」
慌てて続けたけど、なんか余計に悪かったみたい。眉をぎゅっとひそめた表情にはおかしくなるくらいはっきりと『しまった』って書いてある。訊くんじゃなかったって超反省顔だけど、でも昨日から散々訊きたがってたのは先生だからね、あたしがムリヤリ聞かせたんじゃないんだからね、あたしのせいじゃないんだからね。とは思っても、なんかちょっと罪悪感。だからあたしは聞いた人が納得しやすい言葉をつなげる。
「うん。ママの仕事のカンケーでね。別居って言ってもたまには帰ってくるんだけど。昨日だって来てたし。でもここんとこ忙しいみたいで、すぐ帰っちゃったけど」
すぐ帰っちゃうのはいつもだけど、しかも仕事のせいじゃないんだけど、でもそれは言わないでおく。
「そっか」
難しい顔の先生。やっぱりちょっと悪かったかな。
「パパが全然家のことしてくんないからね、そこだけね。だから、それ見てたの。特売品確認しとかないとって。高校生だってのに、もう主婦よ、主婦」
テーブルの隅によけたチラシを視線で指しながら、パパとママの仲が悪いから別居してるんじゃないよって、仕事だから仕方ないんだよって、そんな嘘を含ませる。
-つづく-
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