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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド2-53
2010年02月05日 (金)
「どうした?」
「なんでもない。それ、貸して」
 不思議そうに首をひねる先生に曖昧に頷いて、冷やし中華のフタを指差した。
「ん? あ、いいけど」
 よくわからないって顔で、でもそれ以上は何も言わずに先生は八角形のプラスティックをくれた。ちらっとあたしの顔を見て、上にそっとフォークも置いてくれた。何か訊きたそうな、でも言いにくそうな顔。
 ウチ、お皿ないの。
 言っちゃえばいいのかもしれないけど、でもそう簡単に言える言葉じゃない。だって「どうして?」って返ってくるに決まってるんだもん。
 ――昔は、あったんだけど。
 そう、あたしが小学生の頃は、いっぱいあった。フリーマーケットが大好きだったママが、安いから可愛いからって、食器棚に入りきらないくらい買ってきてた。パパにどうやって使うんだってあきれられたりもしてたけど、仕事始めるようになってからケンカとかストレス解消とかって(主にママが)割っちゃって、あっという間になくなった。それでも誰も買い足したりしなかった。ママもパパも、そしてあたしも、なんか意地になってたのかもしれない。
 それでも一応ちょっとは残ってるんだけど。でも先生が言ってるような取り皿系じゃないし。ここでパスタ皿とか、さすがにちょっと違うし。そのほうが余計におかしいって思われるし。
「ほいよ」
「ん、ありがと」
 先生が取り分けてくれた冷やし中華にドレッシングをかけてから、麺をパスタの要領でフォークに絡ませた。先っぽにレタスをざくっと突き刺して、ごまマヨネーズが垂れないように一口で食べる。パリパリとレタスの音が鳴るのを意識しながらちらっと目を上げると、先生はポテトサラダを食べながら難しい顔をしていた。
 どうしよう、もう言っちゃおうか。
 ふたの中の冷やし中華を全部食べてから、ソーダに手を伸ばすふりでちらっと見ると、先生はもぐもぐしながら難しい顔を続けていた。あまりできの良くないあたしたちにわかりにくい公式を説明するときの、どう言ったらいいかなって悩んでる、授業中みたいな顔。
 やっぱり、なんか変だって思ってるのかな。

 -つづく-
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