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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-93
2009年05月18日 (月)
「ああいう言い方、することないじゃないのよー!」
 昼三時に近づいたビジネス街を駅に向かって足音高く歩きながら、しかめっ面で理香は独り言を続けていた。
「そりゃあたしはなんにもできないけどさ、でも、だからってだからって!」
 ――じゃあ、今日はもう帰っていいぞ。おまえにできることはない。
 めんどくさそうに一瞬だけディスプレイから顔を上げた亮治を思い出して、理香はきゅっと下唇を噛んだ。
「なんなの、あの言い方あの態度っ。まったく、自分を何様だと思ってるのよ!」
 とは言え、亮治は昔からそうだった。外向きの紳士的な態度の反動のように理香にはぶっきらぼうで素っ気ない。それが理香に心を許した証だと理解はしていても、文句の一つも言いたくなる。愛想笑いしろとまでは言わないが、言葉にもう少し気を使ってくれてもいいはずだと理香は頬を膨らませた。
 あー、気分悪っ!
 このまま家に帰っても一人でこの気分を抱え続けるだけだ。料理を作るのがあまり得意ではないこともあって、部屋の冷蔵庫の中身は乏しい。買い置きのレトルト食品では虚しいと、理香は改札口に向かっていたかかとをぴたりと止めた。普段はあまり行くことのない、駅に隣接したデパートの入り口とその左右に広がるように立ち並ぶ飲食店へとパンプスのつま先を向ける。雑誌と友人から仕入れた店の評価を頭の中に並べながら、楽しげな足取りで歩を進めた。
「パスタもいいし、点心もおいしそうだし、和定食も捨てがたい。んー、迷うなー」
 昼食時が過ぎ店内は空いているが、不規則な就業時間で働く人たちに合わせて長くなったランチタイムには充分間に合う。混雑必至の超有名店にも並ばずに入れるからと、これくらいの時間に昼食を遅らせる人もいるくらいだ。
「でもここはやっぱりちょっと……高い、なー」
 有名産地から取り寄せた高級食材がウリのイタリア料理店の前で理香は立ち止まった。
 夜は予約でコースのみという、本場で修業してきたと三ツ星シェフが腕を振るう本店に比べれば、駅地下の姉妹店は基本の価格設定が安く本店と同じ素材を使ったメニュがあってお得なのだと食べ歩きが趣味の友人から聞いてはいたが、それでもパスタにサラダとドリンクを付ければ二千円を越える。おいしいのは間違いなくおいしいだろうが一人ランチでこの値段はちょっと、と理香は顔をしかめた。自分の財布の中身を考え、やっぱりコンビニで適当に何かを買って部屋に帰ろうかと溜息をついた肩を、後ろから伸びてきた手が軽くぽんと叩いた。

 -つづく-
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