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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-92
2009年05月08日 (金)

 ――あんなに違うのに、仲よさそうなんだよねー。不思議。
 内心で呟きながら残った湯を急須に注ぎ、前所属先から勝手に運ばれてきていた荷物の隅から発見した、お気に入りのマグカップにたっぷりとお茶を淹れる。
 ――どっちも、おんなじくらいヘンな人だけど。
 視線をディプレイに落としたまま軽く持ち上げた湯飲みに口を付けるしかめっ面に、小さく笑みをこぼしながら、理香は重くなったマグカップを両手で支えるように持ち上げた。
 ――それに、エッチだし。
 抵抗しているはずなのになぜか相手のペースに巻き込まれ、なし崩しにセックスに持ち込まれた経緯を思い出して、理香は内心で唇を尖らせた。
 不本意だったにも関わらず、二人に対して嫌悪感を抱かずにいる自分が不思議だった。二人は互いにそのことを知っているのか、そしてこの関係をどう思っているのかと眉を寄せながら、マグカップに唇をつけた。甘味の奥にわずかに漂う独特の苦味は、二番茶でも十二分に美味しい。
「で、も、ひ、まーっ!」
 静かに殺気立つ二人の雰囲気に全く入れないまま、なみなみと注いだマグカップいっぱいのお茶を飲み干して、理香は口の中で小さく叫んだ。
 ――だいたい、ここにいてもすることないんだよね。
 最初から断言していたことではあるが、資格も経験もなく、庶務課でのごく普通の事務仕事でさえ人並みにこなすのが精一杯の自分に、秘書としての業務ができるはずもない。それはそれで寂しいことではあったが、理香は内心できっぱりと断言していた。この二日間の中でそれでもまだかろうじて仕事らしいことをしたのは、亮治の会談に二度同席したことと、先ほどお茶を淹れたことくらいだ。しかも、会談に理香は全く必要はなく、亮治の気晴らしのためにと辱められただけだった。このような現状では理香でなくとも自分はここに不要な人間だと思ってもなんの不思議もない。
 ――それに、ここの仕事内容もまだ知らないし。
 それが『まだ』なのか、知らされる予定はこの先もないのか、それさえ理香にはわからない。
「あのー」
「はい?」
 おそるおそる声を出した理香に達也はにこやかに応え、亮治が黙ったまま目を上げる。亮治の反応にわずかに落胆を覚えながら、理香は曖昧な笑顔を浮かべた。
「あの、お腹空いたんで、なんか食べてきていいですか?」

 -つづく-
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