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2007年08月15日 (水)
「なんたる不覚っ!」
亮治が去り一人になった部屋で、理香は古風な言葉で自らを悔いた。カウチに横向きに寝そべったまま、身悶えるようにもぞもぞと全身を揺らす。
「あんなつまんない手に引っかかるなんてーっ」
ほんの一瞬とは言え、亮治の瞳に本気で見とれてしまった自分に腹が立つ。
「うーっ」
不機嫌な犬のように唸りながら、理香は目を閉じた。完璧に整えられた空気がこれ以上ないほど涼やかな風を運ぶ。暑くも寒くもないその流れに頬を撫でられ、理香は先ほどまで忘れかけていた急激な眠気が再び襲いかかってくるのを感じた。自分のほかには誰もいないと部屋と言う状況に、あごが外れそうなほどの油断しきった大あくびをふわぁと一つ吐き出し、すでにとろんとし始めた瞳をドアに向けた。
その向こうには亮治と仕事相手である中年の男がいる。難しい話をしているのだろう。自分が同席していたところで、どうせ何の役にも立たない。ならばここで眠っていても同じことだ。わずかな後ろめたさを感じつつも理香はそう自分に言い聞かせた。
「三十分はかかるって、言ってたよね……」
まだ時間は午前中だったが、理香は昼寝の気分だった。着慣れたとは言いがたいスーツを脱げばもっとすっきり眠れるのだろうが、袖の上から縛られていてはそういう訳にも行かない。
「ホント、縛るの好きよね。変態じゃないの」
こんな目に遭っているのだ、少しくらい息抜きをしても悪くはないだろう。
亮治の仕事とやらの内容は未ださっぱり理解はできないが、それでもその『仕事相手』である男が帰れば犯される。亮治のあの態度が何よりも明確に現していた。
おそらく亮治の言う三十分後には、部屋でこのカウチソファの上で、散々に弄ばれ貫かれ狂わされる。もしかしたら亮治は最初からそのつもりでアパートまで迎えに来たのかもしれない。昔から周到な亮治ならあり得ることだ。今のうちにできるだけ身体を休めておいたほうがいい。そう思い、理香は目を閉じ視界を闇に落とした。
これから行われるであろう陵辱行為を免罪符に、理香の結論は一箇所へ落ち着いた。昨日の記憶を反芻させながらの想像が、自分自身をひどく昂ぶらせていることには気付かないまま、奇妙な休息に身を委ねる。
「なんだってあたし、こんなことになっちゃってるんだろう……」
昨日から散々繰り返してきた嘆きの言葉の後半は、あくびに混じって溶けた。
-つづく-
亮治が去り一人になった部屋で、理香は古風な言葉で自らを悔いた。カウチに横向きに寝そべったまま、身悶えるようにもぞもぞと全身を揺らす。
「あんなつまんない手に引っかかるなんてーっ」
ほんの一瞬とは言え、亮治の瞳に本気で見とれてしまった自分に腹が立つ。
「うーっ」
不機嫌な犬のように唸りながら、理香は目を閉じた。完璧に整えられた空気がこれ以上ないほど涼やかな風を運ぶ。暑くも寒くもないその流れに頬を撫でられ、理香は先ほどまで忘れかけていた急激な眠気が再び襲いかかってくるのを感じた。自分のほかには誰もいないと部屋と言う状況に、あごが外れそうなほどの油断しきった大あくびをふわぁと一つ吐き出し、すでにとろんとし始めた瞳をドアに向けた。
その向こうには亮治と仕事相手である中年の男がいる。難しい話をしているのだろう。自分が同席していたところで、どうせ何の役にも立たない。ならばここで眠っていても同じことだ。わずかな後ろめたさを感じつつも理香はそう自分に言い聞かせた。
「三十分はかかるって、言ってたよね……」
まだ時間は午前中だったが、理香は昼寝の気分だった。着慣れたとは言いがたいスーツを脱げばもっとすっきり眠れるのだろうが、袖の上から縛られていてはそういう訳にも行かない。
「ホント、縛るの好きよね。変態じゃないの」
こんな目に遭っているのだ、少しくらい息抜きをしても悪くはないだろう。
亮治の仕事とやらの内容は未ださっぱり理解はできないが、それでもその『仕事相手』である男が帰れば犯される。亮治のあの態度が何よりも明確に現していた。
おそらく亮治の言う三十分後には、部屋でこのカウチソファの上で、散々に弄ばれ貫かれ狂わされる。もしかしたら亮治は最初からそのつもりでアパートまで迎えに来たのかもしれない。昔から周到な亮治ならあり得ることだ。今のうちにできるだけ身体を休めておいたほうがいい。そう思い、理香は目を閉じ視界を闇に落とした。
これから行われるであろう陵辱行為を免罪符に、理香の結論は一箇所へ落ち着いた。昨日の記憶を反芻させながらの想像が、自分自身をひどく昂ぶらせていることには気付かないまま、奇妙な休息に身を委ねる。
「なんだってあたし、こんなことになっちゃってるんだろう……」
昨日から散々繰り返してきた嘆きの言葉の後半は、あくびに混じって溶けた。
-つづく-
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