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2007年07月01日 (日)
「そんなもんじゃねーの?」
あっさりそう言うと、オーナーは軽く肩をすくめた。
「ひよこも、一番最初に見たものにくっついて回るって言うしなァ、俺らも似たようなモンなんじゃねーの」
言いながら彼は取り出したタバコを咥えた。左手に握ったままだったライターをタバコの先へ近づけて火を移すと、大きく一度吸い込んで火を定着させてから、あごを突き出すようにして軽く頭を下げてくれた。
「何をどう言い訳したって影響はゼロじゃないだろ、確実に」
ふわーっと昇って行く煙をしばし見送ると、彼は俺にちらりと視線を向けた。
「世間でも言ってンだろ、男はみんなマザコンだって。できりゃ否定してーけど、事実っちゃ事実だしなァ」
「え、あ、いやそれは……確かに、そうなんですけど」
彼の母親の、肝っ玉母ちゃんと言う表現が一番相応しいおばさんは、今も元気いっぱいらしい。だから、俺が彼女に抱く奇妙な罪悪感は、彼には伝わらないだろう。
それでも、自分で壁を作っても意味はない。否定から初めても何も変わらない。必要なのは全肯定でも全否定でもなく、取捨選択を間違えないことだ。他人の言葉は新しい思考経路を作るきっかけになる。
「あいつだってなァ、うちの母親に似てるぜ」
「有理さんがですか?」
訊き返すと、オーナーは頷きながら苦虫を噛み潰したように、眉をひそめて口をへの字に引き結んだ。
「特に、口うるさいところがそっくり――」
「あたしがなんだって?」
背後から聞こえてきた鋭い声にぎくりと身体が固まる。
慌てて振り返ると、足の甲に大振りのビーズが絡みついたデザインのサンダルからすらりと伸びたきれいな脚を惜しげもなく見せた女性が、いつのまにか大きく開いていたドアのすぐそばで、挑発的に腕を組んで俺たちを見おろしていた。
「有理さんっ」
-つづく-
あっさりそう言うと、オーナーは軽く肩をすくめた。
「ひよこも、一番最初に見たものにくっついて回るって言うしなァ、俺らも似たようなモンなんじゃねーの」
言いながら彼は取り出したタバコを咥えた。左手に握ったままだったライターをタバコの先へ近づけて火を移すと、大きく一度吸い込んで火を定着させてから、あごを突き出すようにして軽く頭を下げてくれた。
「何をどう言い訳したって影響はゼロじゃないだろ、確実に」
ふわーっと昇って行く煙をしばし見送ると、彼は俺にちらりと視線を向けた。
「世間でも言ってンだろ、男はみんなマザコンだって。できりゃ否定してーけど、事実っちゃ事実だしなァ」
「え、あ、いやそれは……確かに、そうなんですけど」
彼の母親の、肝っ玉母ちゃんと言う表現が一番相応しいおばさんは、今も元気いっぱいらしい。だから、俺が彼女に抱く奇妙な罪悪感は、彼には伝わらないだろう。
それでも、自分で壁を作っても意味はない。否定から初めても何も変わらない。必要なのは全肯定でも全否定でもなく、取捨選択を間違えないことだ。他人の言葉は新しい思考経路を作るきっかけになる。
「あいつだってなァ、うちの母親に似てるぜ」
「有理さんがですか?」
訊き返すと、オーナーは頷きながら苦虫を噛み潰したように、眉をひそめて口をへの字に引き結んだ。
「特に、口うるさいところがそっくり――」
「あたしがなんだって?」
背後から聞こえてきた鋭い声にぎくりと身体が固まる。
慌てて振り返ると、足の甲に大振りのビーズが絡みついたデザインのサンダルからすらりと伸びたきれいな脚を惜しげもなく見せた女性が、いつのまにか大きく開いていたドアのすぐそばで、挑発的に腕を組んで俺たちを見おろしていた。
「有理さんっ」
-つづく-
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