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R18 らぶえっち小説Blog
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花を召しませ・番外編3~ライクネスラブ~9
2007年05月22日 (火)
 何回か見たことのある、一工程を経るごとに料理本を確かめ直し、懸命に作る彼女の後ろ姿は微笑ましい。何より、俺のためにと頑張ってくれることが嬉しい。彼女に今以上を要求する気はない。彼女は彼女として存在してくれるだけで、こんな俺と付き合ってくれるだけで。
 けれど、俺の気持ちは彼女に伝わらなかったらしい。不服そうにぷっと頬を膨らませると、彼女は「何がよ」と言った。
「何がいいのよ。全然よくないよ。だって、わたし……」
 料理、ヘタなんだもの。
 呟くような小さな声に、思わずつきそうになった溜息をムリヤリ押し殺す。テーブルの上に両ひじをついて指を組み、背を丸めるようにして彼女の顔を覗き込んだ。真正面からその表情を見つめる。
「あのね、美雪さん」
 意識してゆっくりと言葉を紡ぐ。彼女がどこも聞き逃すことのないように。
「あのね、実際に何をするかってのはこの場合、あんまり重要じゃないんだ」
 返ってくる怪訝そうな顔。
 本当にわかってないんだ、この人は。そう思うとおかしくなる。
 俺はこれでも口に出してはっきり言う方なのに、それでもわからないなんて。他の男はここまで言葉にしないぞと思いかけて、今までに彼女に好意を寄せていた男は実は結構いるんだろうなと、ふと考える。全く気付いてもらえず脈なしと諦めた男は、二人や三人なんて数じゃないだろう。今だって会社の同僚の中に、彼女を狙っているヤツがいるかもしれない。
「美雪さんがそう思ってくれることが大切なの」
 だから俺はラッキーなんだろう。もしも彼女が、普通の女性と同じくらい察しがよければ、俺と出会うずっと前に他の男とくっついていたはずだ。
「料理でも何でもいいんだ。美雪さんが俺のことをそんな対象として考えてくれてるかどうかが一番問題なの」
「んー……」
 わかっているのかいないのか、彼女は眉をひそめたまま俺の視線から逃れるように目を伏せた。この場の雰囲気を持て余すように、皿に残った少量の鶏肉を突付き始める。腕を伸ばして穴だらけに成りかけた可哀相な鶏を救い出し、彼女の口元近くへと持って行く。一瞬驚いたように目を丸くして、けれど顔を突き出すように彼女は俺の箸からぱくりと食べてくれた。

 -つづく-
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