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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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花を召しませ-69
2006年11月22日 (水)
 この下? それに毛布? 内心で首を傾げながらも彼女の言葉に頷いた。
「ありがとう、有理。オーナーさんも、ありがとうございました」
「あ、いえいえ。こっちこそ。ウチのシズが面倒掛けてしまって」
 頬に落ちてきた髪を耳に掛けながらオーナーはわたしに軽く頭を下げた。
「そんな、とんでもないです」
 互いに頭を下げて、そしてゆっくり顔を上げた。
 彼の、わたしを見る目はとても優しかった。笑うと左の頬に小さなえくぼが浮かぶ。妙に新鮮な気分でわたしはそれを見た。
 身体つきが大きいことも、脱色しすぎたような色合いの髪も少し胸元が開いた服の感じも、何も知らずに街中で見かけたのなら視線を合わさないように努力してしまいそうなタイプだけれど、きっと素敵な男性なのだろう。有理が選んだ人なのだから、シズくんが慕う人なのだから、きっと。そう思うとなぜか嬉しくなる。 
 ――それでもわたしは、シズくんがいいけど。
「あ、シズ、もう今日は出なくていいから。あと、引出しの上から二番目な、好きなだけ使え。でも手は気をつけろよ。ムリすんな」
「はい、ありがとうございます。すみませんでした」
「んー、じゃあなー」
「頑張ってねー」
 それだけを言い残すと、異様なほどの性急さで二人はバタバタと部屋を出て行った。
「引き出しの二番目?」
「頑張ってね、って?」
 静かになった室内の取り残されたような空気の中で、わたしとシズくんは顔を見合わせる。
「引き出しってこれだよね」
 言いながら、彼は壁際に本棚と並んで置かれている木製のチェストに歩み寄った。彼の腰の高さより少し低いくらいのそれは、一番上の引き出しだけが鍵がついていた。一番上が一番薄くて、二段目から下は一つ下がるごとに順番に、厚みが増している。その二段目の引き出しのくぼみに左手の指先を掛けて、木がこすれる微かな音を立てながら引っ張り出して、そして彼の動きが止まった。
「どうしたの?」
 ソファに座りながら背中に声をかけると、彼はゆっくりと振り返った。困ったような呆れたような吹き出しそうなのを我慢しているような、そんなひどく曖昧な笑顔で、左手に握った薄い箱を振る。
「コンドーム、入ってた」

  -つづく-
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