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2006年11月19日 (日)
「俺、今でも充分頂いてますから」
シズくんの言葉にオーナーが困ったように溜息をつく。つられるようにシズくんと有理と、そしてなぜかわたしまでが溜息をつく。
「でも、借金あるんだろう? 俺、おまえは親父さんとは完全に切れてると思ってたから、その辺が結構意外でさ。――いや、悪い意味じゃないんだけど」
「あー、その……」
言い難そうに口ごもると、包帯に包まれた右手で頭を掻こうとしてから包帯に気がついたように眉をひそめて手を下ろして、そして彼は黙って俯いた。
「なんとかしてやりたいとは思うんだけどなー、でも、俺も借金だらけなんだよな、まだ」
「だから、独立なんてまだ早いって、あたし言ったのに」
「うー。今となってはおまえの言うこと聞いときゃよかったと思うこともある」
がっくりと肩を落とすオーナーを横目でちろりと見る有理に、そんな場合じゃないのにおかしくなる。それは、普段の姉御肌な性格と照らし合わせても全く違和感はなくて、納得はするけれど。
「あの……」
そのとき、おそるおそると言った様子でシズくんが声を出した。
「あ? 何?」
「い、いや、その。あの、ですね」
軽く肩をすくめながら彼はオーナーから有理へと視線を巡らせて、そしてわたしの上で止めた。
「俺のほうは今話したような、そういう事情なんですが」
「あ、そ、そうだった。うん」
慌てたように頷くオーナーは、どう見ても、途中からシズくんのことを忘れてて今言われて思い出したって感じだった。シズくんもそう思ったんだろう、少し胡乱な目でちらりと見て、そして軽く溜息をついた。それに対するように有理が曖昧に笑いながらわたしに目を向ける。
「とりあえずさ、美雪はどうするつもり?」
「どうって……?」
「だから、シズのことよ。借金持ちで、しかもパトロン付きの男よ。そんなんでいいの、って」
容赦のない有理の言葉に彼が申し訳なさそうに顔を伏せるのは、もうなんだか見慣れたような気がする。
-つづく-
シズくんの言葉にオーナーが困ったように溜息をつく。つられるようにシズくんと有理と、そしてなぜかわたしまでが溜息をつく。
「でも、借金あるんだろう? 俺、おまえは親父さんとは完全に切れてると思ってたから、その辺が結構意外でさ。――いや、悪い意味じゃないんだけど」
「あー、その……」
言い難そうに口ごもると、包帯に包まれた右手で頭を掻こうとしてから包帯に気がついたように眉をひそめて手を下ろして、そして彼は黙って俯いた。
「なんとかしてやりたいとは思うんだけどなー、でも、俺も借金だらけなんだよな、まだ」
「だから、独立なんてまだ早いって、あたし言ったのに」
「うー。今となってはおまえの言うこと聞いときゃよかったと思うこともある」
がっくりと肩を落とすオーナーを横目でちろりと見る有理に、そんな場合じゃないのにおかしくなる。それは、普段の姉御肌な性格と照らし合わせても全く違和感はなくて、納得はするけれど。
「あの……」
そのとき、おそるおそると言った様子でシズくんが声を出した。
「あ? 何?」
「い、いや、その。あの、ですね」
軽く肩をすくめながら彼はオーナーから有理へと視線を巡らせて、そしてわたしの上で止めた。
「俺のほうは今話したような、そういう事情なんですが」
「あ、そ、そうだった。うん」
慌てたように頷くオーナーは、どう見ても、途中からシズくんのことを忘れてて今言われて思い出したって感じだった。シズくんもそう思ったんだろう、少し胡乱な目でちらりと見て、そして軽く溜息をついた。それに対するように有理が曖昧に笑いながらわたしに目を向ける。
「とりあえずさ、美雪はどうするつもり?」
「どうって……?」
「だから、シズのことよ。借金持ちで、しかもパトロン付きの男よ。そんなんでいいの、って」
容赦のない有理の言葉に彼が申し訳なさそうに顔を伏せるのは、もうなんだか見慣れたような気がする。
-つづく-
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