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2006年09月24日 (日)
壁面にいくつか取り付けられた、やや弱めのスポットライトが、彼の腕がリズミカルに鈍い金属音を立て続けるのをぼんやりと照らし出す。
わたしはそれをじっと見つめていた。時間すればおそらく一分もなかったと思う。最後にくるりと手の中のシェーカを上下に回して、そして彼はふっと軽く息を吐いた。小さなふたをきゅっとねじるように開けると、カウンタ上の複雑なカッティングの施されたグラスに向けて傾ける。縁からゆっくりと、ふわふわに泡立った中身が流し込まれて行く。
「はい、ギムレットね」
「わーい、らっき! ありがと!」
カウンタ内から伸びてきたグラスを手元に引き寄せると、有理はにっこり笑った。それに軽い苦笑で答えながら、彼は半分ほどになったタバコを灰皿から取り上げ、大きく息を吸い込んだ。咥えタバコのまま使い終わった道具を流しへ降ろし、洗い始める。
「で、美雪さんは? 何飲む?」
「もういいよ。作ってもらってもどうせ全部飲めないし。ジンジャエールで」
「えー、なんでー。せっかくなのに、何か作らせてよ」
「でもだって、わたしお酒弱いし」
そう言うと、彼は軽く眉を寄せた。
「んー、じゃあ軽めの作るから。発泡系でも平気だよね。シャンパンでも開ける?」
「ちょっと! あたしとえらく態度違うじゃないのよー」
「そんなことないでしょ。一緒一緒」
「どこがよ!」
有理がさっき作ってもらったカクテルを飲みながら、少し不満そうに笑う。けれど、どこがどう違うのか、わたしにはわからない。
「全くもう……。ま、いいわ。今日だけは許してあげる。ご馳走さま」
空になったグラスを置くと、彼女は肩をすくめながら笑った。
「じゃあね、美雪」
「あ、うん。またー」
軽く振ろうとした右手をぎゅっとつかまれた。
「あたし、今からメイク直しにここの奥のトイレ行くから。早めに来て」
低く抑えられた言葉と視線に、意味がわからないまま頷いた。
-つづく-
わたしはそれをじっと見つめていた。時間すればおそらく一分もなかったと思う。最後にくるりと手の中のシェーカを上下に回して、そして彼はふっと軽く息を吐いた。小さなふたをきゅっとねじるように開けると、カウンタ上の複雑なカッティングの施されたグラスに向けて傾ける。縁からゆっくりと、ふわふわに泡立った中身が流し込まれて行く。
「はい、ギムレットね」
「わーい、らっき! ありがと!」
カウンタ内から伸びてきたグラスを手元に引き寄せると、有理はにっこり笑った。それに軽い苦笑で答えながら、彼は半分ほどになったタバコを灰皿から取り上げ、大きく息を吸い込んだ。咥えタバコのまま使い終わった道具を流しへ降ろし、洗い始める。
「で、美雪さんは? 何飲む?」
「もういいよ。作ってもらってもどうせ全部飲めないし。ジンジャエールで」
「えー、なんでー。せっかくなのに、何か作らせてよ」
「でもだって、わたしお酒弱いし」
そう言うと、彼は軽く眉を寄せた。
「んー、じゃあ軽めの作るから。発泡系でも平気だよね。シャンパンでも開ける?」
「ちょっと! あたしとえらく態度違うじゃないのよー」
「そんなことないでしょ。一緒一緒」
「どこがよ!」
有理がさっき作ってもらったカクテルを飲みながら、少し不満そうに笑う。けれど、どこがどう違うのか、わたしにはわからない。
「全くもう……。ま、いいわ。今日だけは許してあげる。ご馳走さま」
空になったグラスを置くと、彼女は肩をすくめながら笑った。
「じゃあね、美雪」
「あ、うん。またー」
軽く振ろうとした右手をぎゅっとつかまれた。
「あたし、今からメイク直しにここの奥のトイレ行くから。早めに来て」
低く抑えられた言葉と視線に、意味がわからないまま頷いた。
-つづく-
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