--年--月--日 (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
2006年09月04日 (月)
「はい、もしもし。何? なんか用?」
いつもよりも不機嫌な彼の声を聞くともなしに聞きながらベッドの上に起き上がり、周囲を見渡した。素肌を晒したままというのはなんとなく落ち着かなくて、とりあえず手近に転がっていたブラウスを手に取って羽織る。
「――え、なんでそんな急に?」
急に大きくなった声に驚いて視線を向けた。完全にわたしに背を向けた体勢で座り込んでいる彼の手が、イライラとひざを叩くのが見えた。
「ちょっと待ってよ。そういうのは前もって連絡してくれてもいいでしょって。こっちにだって都合ってもんが――あ、そういうこと言うの? 俺だっていろいろと忙しいんだって……って、あーっ、畜生っ!」
投げつけられた携帯電話がベッドの上で二度弾んで、そして床へと消えた。憎々しげに舌打ちをしてから、彼はゆっくり腰を起こして片足を床についた。開いたままの携帯電話を拾い上げてぱちりと畳んで、もう一度舌打ちをする。
「くそー、なんだってこんな……」
ブツブツ呟きながら彼は頭を掻いて、そして顔を上げた。目が合った瞬間、怒りを含んだまなざしが照れ笑いに変わる。
「シズくん、どうしたの? 電話……」
誰から?
本当はそう続けたかったけど。
「ごめん、美雪さん。急用が入っちゃって。俺、行かないと」
奇妙なほど曖昧な彼の笑顔と早口の言葉に何も言えなくて、ただ頷いた。
「シャワー、使う?」
「先にいいの?」
「そりゃ、勿論」
開ききっていない眉のまま、彼はムリに笑った。
-つづく-
いつもよりも不機嫌な彼の声を聞くともなしに聞きながらベッドの上に起き上がり、周囲を見渡した。素肌を晒したままというのはなんとなく落ち着かなくて、とりあえず手近に転がっていたブラウスを手に取って羽織る。
「――え、なんでそんな急に?」
急に大きくなった声に驚いて視線を向けた。完全にわたしに背を向けた体勢で座り込んでいる彼の手が、イライラとひざを叩くのが見えた。
「ちょっと待ってよ。そういうのは前もって連絡してくれてもいいでしょって。こっちにだって都合ってもんが――あ、そういうこと言うの? 俺だっていろいろと忙しいんだって……って、あーっ、畜生っ!」
投げつけられた携帯電話がベッドの上で二度弾んで、そして床へと消えた。憎々しげに舌打ちをしてから、彼はゆっくり腰を起こして片足を床についた。開いたままの携帯電話を拾い上げてぱちりと畳んで、もう一度舌打ちをする。
「くそー、なんだってこんな……」
ブツブツ呟きながら彼は頭を掻いて、そして顔を上げた。目が合った瞬間、怒りを含んだまなざしが照れ笑いに変わる。
「シズくん、どうしたの? 電話……」
誰から?
本当はそう続けたかったけど。
「ごめん、美雪さん。急用が入っちゃって。俺、行かないと」
奇妙なほど曖昧な彼の笑顔と早口の言葉に何も言えなくて、ただ頷いた。
「シャワー、使う?」
「先にいいの?」
「そりゃ、勿論」
開ききっていない眉のまま、彼はムリに笑った。
-つづく-
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++