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2006年07月23日 (日)
「ね、機嫌直して。本当にごめんって」
「……ふん」
ソファに座って、ホテルのロゴの入ったバスタオルで乱暴に濡れ髪をこすっていた千紗は、和真の言葉にぷいとそっぽを向いた。五度目の詫びをあっさり蹴られ、和真はまだ水滴の残った髪へと手をやり、ボリボリと掻きながら部屋の隅へと視線を走らせる。その先には簡易のハンガーラックがあった。そこには先ほどまで千紗が身にまとっていた浴衣がかけられている。
「また、新しいの買ってあげ――」
「あたしは、あれが気に入ってたの!」
叩きつけるように返ってきた言葉に、和真は思わず天を仰いだ。
ちょっと、やりすぎたか。
一時間近く続いた陵辱の末、新品だった筈の浴衣は有り得ないほどの無数の皺と濡れた跡でドロドロに汚れていた。薄いピンクで描かれた可憐な桜には、卑猥な粘液が糊のようにこびりついている。
「ごめん。本当にごめん。俺が悪かった。ちゃんとクリーニングしてくるから」
タオル地のバスローブを着た和真はぱちんと手のひらを合わせると、神棚に向かうような神妙な顔で頭を下げた。その様子をちらりと横目で見て、そして千紗は仕方ないなと呟く。どっちにしても許すしかないのだと、千紗にもわかっている。
だって、好きなんだもん。何をされても、好きなんだもん。
曖昧な笑みを浮かべた千紗に、和真が安堵の息をついた。首にかけていたタオルで髪を拭きながら壁際のラックに手を伸ばし、中のファイルを一つ抜き取る。
「じゃあ、食事にしよう。なにがいい?」
テーブルに階下のイタリアンレストランのメニュをいそいそと並べると、和真はにっこりと笑いかけた。どちらかと言うと大食気味な千紗にこの攻撃は効果的だということは、和真もよくわかっている。現に千紗の顔から不機嫌の影は消えていた。小首を傾げながらページをめくる様は、まるでおもちゃを選ぶ子どもだ。目が輝いている。
こういうところわかりやすくて、やっぱりちょっと、可愛い。
和真は笑い出したくなるのを堪えると千紗の隣に腰を降ろし、バスタオル越しの細い肩を抱き寄せた。
-おわり-
「……ふん」
ソファに座って、ホテルのロゴの入ったバスタオルで乱暴に濡れ髪をこすっていた千紗は、和真の言葉にぷいとそっぽを向いた。五度目の詫びをあっさり蹴られ、和真はまだ水滴の残った髪へと手をやり、ボリボリと掻きながら部屋の隅へと視線を走らせる。その先には簡易のハンガーラックがあった。そこには先ほどまで千紗が身にまとっていた浴衣がかけられている。
「また、新しいの買ってあげ――」
「あたしは、あれが気に入ってたの!」
叩きつけるように返ってきた言葉に、和真は思わず天を仰いだ。
ちょっと、やりすぎたか。
一時間近く続いた陵辱の末、新品だった筈の浴衣は有り得ないほどの無数の皺と濡れた跡でドロドロに汚れていた。薄いピンクで描かれた可憐な桜には、卑猥な粘液が糊のようにこびりついている。
「ごめん。本当にごめん。俺が悪かった。ちゃんとクリーニングしてくるから」
タオル地のバスローブを着た和真はぱちんと手のひらを合わせると、神棚に向かうような神妙な顔で頭を下げた。その様子をちらりと横目で見て、そして千紗は仕方ないなと呟く。どっちにしても許すしかないのだと、千紗にもわかっている。
だって、好きなんだもん。何をされても、好きなんだもん。
曖昧な笑みを浮かべた千紗に、和真が安堵の息をついた。首にかけていたタオルで髪を拭きながら壁際のラックに手を伸ばし、中のファイルを一つ抜き取る。
「じゃあ、食事にしよう。なにがいい?」
テーブルに階下のイタリアンレストランのメニュをいそいそと並べると、和真はにっこりと笑いかけた。どちらかと言うと大食気味な千紗にこの攻撃は効果的だということは、和真もよくわかっている。現に千紗の顔から不機嫌の影は消えていた。小首を傾げながらページをめくる様は、まるでおもちゃを選ぶ子どもだ。目が輝いている。
こういうところわかりやすくて、やっぱりちょっと、可愛い。
和真は笑い出したくなるのを堪えると千紗の隣に腰を降ろし、バスタオル越しの細い肩を抱き寄せた。
-おわり-
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この記事へのコメント
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2010/06/25(Fri) 18:04 | | #[ 編集]
コメントありがとうございます~♪
お話の男の人は、みーんなにゃおの理想の人なので
そういっていただけるとうれしいですねーっ☆
小説出版は、似たようなお話をちらっといただいたこともあるのですが
にゃおがその頃リアルで忙しくてきちんと対応できなかったので
立ち消えてしまいました。とほほ。
でも本を出すとネットでは書けなくなるという制限もあったので
どっちがよかったのかはちょっとわからないですね。
個人的には、記念として本が残るのもいいかなってちょっと思います☆
お話の男の人は、みーんなにゃおの理想の人なので
そういっていただけるとうれしいですねーっ☆
小説出版は、似たようなお話をちらっといただいたこともあるのですが
にゃおがその頃リアルで忙しくてきちんと対応できなかったので
立ち消えてしまいました。とほほ。
でも本を出すとネットでは書けなくなるという制限もあったので
どっちがよかったのかはちょっとわからないですね。
個人的には、記念として本が残るのもいいかなってちょっと思います☆
2010/06/30(Wed) 10:04 | URL | にゃお #-[ 編集]