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2006年05月29日 (月)
ホントに、困ったなあ。
この人の顔も声も体型も優しいところも、なんてユーキさんに似てるんだろう。
似てなかったら、よかったのに。
「どうしたの、どっか痛い? 大丈夫? 大丈夫なワケないか。そりゃそうだよな」
あたしの肩をさすりながら早口で言うと、司さんは溜息をついた。
「姉さん。彼女に謝ってください」
司さんだってこないだ似たようなことしたくせに、でも謝ったりしなかったくせに、ともちょっと思ったけど、口を開くのも面倒だったから黙っていた。葵さんがじっとあたしを見ていたのはわかったけど、目を上げることもしなかった。
二秒ほどの沈黙のあと、葵さんの上品でどこか色っぽい溜息が聞こえてきた。
「確かに、今回はあたくしが悪かったわ。この子があんまり可愛いから、つい魔が差したの。クスリを使ったのはひどかったわね」
やっぱり、あのカクテルだったんだ。変なクスリが入ってたんだ。でも葵さんもおんなじものを飲んだんだけど。あたしのと葵さんのとは中身が違ったのかな? あたしのにだけクスリが入ってたのかな?
「お詫びに、あなたの味方になって差し上げるわ。和真のことでもそれ以外のことでも、なんでも。と言っても、最初からそのつもりだったのよ、あたくし。お話する暇がなかっただけで」
言葉と一緒に、目の前に白いちいさな紙が差し出された。お洒落な金の縁取りをされた真ん中に、結城葵と書かれた文字と、ポールペンで書かれた手書きの細かな数字が並んでいた。ゆっくり顔を上げると、優しい目があたしを見ていた。穏やかであたたかいまなざしは、どことなくユーキさんに似た印象で。
「いつでも電話してきて。困ったことがあったら頼って欲しいの」
悪びれた風もなく軽くウィンクしてくる。悪戯っぽい目の可愛い攻撃を無視することもできずに、あたしはその紙片を受け取った。ゼロから始まるその数字は、おそらくは彼女の携帯電話の番号で、その下のアルファベットはメールアドレス。
-つづく-
この人の顔も声も体型も優しいところも、なんてユーキさんに似てるんだろう。
似てなかったら、よかったのに。
「どうしたの、どっか痛い? 大丈夫? 大丈夫なワケないか。そりゃそうだよな」
あたしの肩をさすりながら早口で言うと、司さんは溜息をついた。
「姉さん。彼女に謝ってください」
司さんだってこないだ似たようなことしたくせに、でも謝ったりしなかったくせに、ともちょっと思ったけど、口を開くのも面倒だったから黙っていた。葵さんがじっとあたしを見ていたのはわかったけど、目を上げることもしなかった。
二秒ほどの沈黙のあと、葵さんの上品でどこか色っぽい溜息が聞こえてきた。
「確かに、今回はあたくしが悪かったわ。この子があんまり可愛いから、つい魔が差したの。クスリを使ったのはひどかったわね」
やっぱり、あのカクテルだったんだ。変なクスリが入ってたんだ。でも葵さんもおんなじものを飲んだんだけど。あたしのと葵さんのとは中身が違ったのかな? あたしのにだけクスリが入ってたのかな?
「お詫びに、あなたの味方になって差し上げるわ。和真のことでもそれ以外のことでも、なんでも。と言っても、最初からそのつもりだったのよ、あたくし。お話する暇がなかっただけで」
言葉と一緒に、目の前に白いちいさな紙が差し出された。お洒落な金の縁取りをされた真ん中に、結城葵と書かれた文字と、ポールペンで書かれた手書きの細かな数字が並んでいた。ゆっくり顔を上げると、優しい目があたしを見ていた。穏やかであたたかいまなざしは、どことなくユーキさんに似た印象で。
「いつでも電話してきて。困ったことがあったら頼って欲しいの」
悪びれた風もなく軽くウィンクしてくる。悪戯っぽい目の可愛い攻撃を無視することもできずに、あたしはその紙片を受け取った。ゼロから始まるその数字は、おそらくは彼女の携帯電話の番号で、その下のアルファベットはメールアドレス。
-つづく-
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