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2006年05月12日 (金)
思わず硬直したあたしを見て、彼女はおかしそうにくすくす笑った。
「まあ、お座りなさいな」
そう言いながら長く伸ばしていた身体をまっすぐにして、空いた隣を軽く手で示す。こんなきれいな人の、しかもユーキさんのお姉さんの横に? なんか……気後れするんだけど。別の、そっちの小さい椅子でいいんだけど。
「遠慮しないで。あたくしがあなたにここに座って欲しいの。さあ」
「はい。じゃあ、失礼します」
再度促されて、あたしは仕方なく頷く。ちらりと視線を流すと、司さんが苦笑いしているのが見えた。かすかに『全く』と呟いたのも聞こえた。どういう意味?
「あの、姉さん」
「司。あたくし、このお嬢さんとお話があるの。席を外してて」
あたしが長椅子の端に座るのを溜息をつきながら見ていた司さんが強い口調でそう言った瞬間、ユーキさんのお姉さん……葵さんは顔を上げてにっこりと笑った。
「いや、でも、そういうわけにも……」
「司ちゃん」
優しくて穏やかだけれど、なんとなく逆らい難い雰囲気で彼女は笑う。威厳ってこういう感じをいうのかな、なんて考えながらあたしはその横顔を見た。
二重の大きな目は司さんに似てるかな。でも胸はおっきいけど身体つきが細いから、印象として全然違う。姉弟って言われてもちょっと首を傾げてしまう感じ。お母さんが違ってもやっぱり同性のほうが似るんだなあ、なんて埒もないことを考えながら、あたしは二人のやり取りを見ていた。
ちょっと妖しい笑みを浮かべた葵さんと困ったような顔をした司さんは、会話の流れから察するに、司さんのほうが分が悪いみたい。お姉さんの貫禄ってカンジなのかな。
「ほんのちょっとのあいだよ」
「わかりました」
渋々といった感じで頷いてドアノブに手をかけかけて、そして肩越しに振り返った。照明がメガネのレンズに反射して、その表情は読めないけど。
「でも言っときますけど、そのコは和真の……」
「わかってるわよ」
おかしそうにくすくす笑うと、彼女は軽く手を振った。
「あとで呼ぶわ」
謎の溜息一つを残して司さんは部屋を出て行った。
-つづく-
「まあ、お座りなさいな」
そう言いながら長く伸ばしていた身体をまっすぐにして、空いた隣を軽く手で示す。こんなきれいな人の、しかもユーキさんのお姉さんの横に? なんか……気後れするんだけど。別の、そっちの小さい椅子でいいんだけど。
「遠慮しないで。あたくしがあなたにここに座って欲しいの。さあ」
「はい。じゃあ、失礼します」
再度促されて、あたしは仕方なく頷く。ちらりと視線を流すと、司さんが苦笑いしているのが見えた。かすかに『全く』と呟いたのも聞こえた。どういう意味?
「あの、姉さん」
「司。あたくし、このお嬢さんとお話があるの。席を外してて」
あたしが長椅子の端に座るのを溜息をつきながら見ていた司さんが強い口調でそう言った瞬間、ユーキさんのお姉さん……葵さんは顔を上げてにっこりと笑った。
「いや、でも、そういうわけにも……」
「司ちゃん」
優しくて穏やかだけれど、なんとなく逆らい難い雰囲気で彼女は笑う。威厳ってこういう感じをいうのかな、なんて考えながらあたしはその横顔を見た。
二重の大きな目は司さんに似てるかな。でも胸はおっきいけど身体つきが細いから、印象として全然違う。姉弟って言われてもちょっと首を傾げてしまう感じ。お母さんが違ってもやっぱり同性のほうが似るんだなあ、なんて埒もないことを考えながら、あたしは二人のやり取りを見ていた。
ちょっと妖しい笑みを浮かべた葵さんと困ったような顔をした司さんは、会話の流れから察するに、司さんのほうが分が悪いみたい。お姉さんの貫禄ってカンジなのかな。
「ほんのちょっとのあいだよ」
「わかりました」
渋々といった感じで頷いてドアノブに手をかけかけて、そして肩越しに振り返った。照明がメガネのレンズに反射して、その表情は読めないけど。
「でも言っときますけど、そのコは和真の……」
「わかってるわよ」
おかしそうにくすくす笑うと、彼女は軽く手を振った。
「あとで呼ぶわ」
謎の溜息一つを残して司さんは部屋を出て行った。
-つづく-
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