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2006年05月11日 (木)
「随分と、可愛らしいお嬢さんだこと」
ビルの地下二階のその店の特別室の、芸術品みたいな長椅子に優雅に寝そべっていたその人は、あたしを見るとそう言って笑った。
今を盛りと咲き誇るバラを連想するような美女が身にまとっているのは、シンプルなドレスとひじまでの手袋とハイヒール。喪服のように黒一色だけど、それがなぜかゴージャスなドレスと同じくらいにあでやかに見える。大胆にカッティングされた胸元に紅い宝石が下がっていて、ちらちら見える胸の谷間とあいまって、一度見てしまうと目が離せなくなりそう。
「いきなり呼びつけてごめんなさいね。どうしてもお会いしたかったものだから」
「あ、いいえ。そんな、全然っ」
大きくカールした、黒というにも茶色というにも微妙な色合いの長い髪を、レースに包まれた指先で弄びながら、濡れたようなまなざしで彼女があたしをじっと見た。
「あの、あたし、千紗です」
慌ててペコリと頭を下げて、そしてあたしは俯いた。これ以上見ていると魂を吸い取られそうな気がする。
「そう固くならないで」
金髪の女の子が持ってきた銀のお盆に載ったグラスをあたしに勧めながら、彼女はにっこりと笑った。その笑顔にドキドキしてしまう。ひとつひとつの仕草が優雅で上品で、でもとても扇情的で、まるで魔力を持っているみたいなすごい美女。彼女に見られてると思うだけで落ち着かなくなってしまう。
あたしでこれなんだから、男の人なんか大変なんじゃないかな。そう思って、あたしの背後で黙って立っている筈の司さんに、内心でちょっとだけ同情した。
でも、この人と司さんってどう言う関係なんだろう。というより、ここ……。
「あたくしは葵。よろしくね、可愛いお嬢さん」
言いながらゆっくりと彼女は起き上がった。
「和真の姉よ」
うげっ。
-つづく-
ビルの地下二階のその店の特別室の、芸術品みたいな長椅子に優雅に寝そべっていたその人は、あたしを見るとそう言って笑った。
今を盛りと咲き誇るバラを連想するような美女が身にまとっているのは、シンプルなドレスとひじまでの手袋とハイヒール。喪服のように黒一色だけど、それがなぜかゴージャスなドレスと同じくらいにあでやかに見える。大胆にカッティングされた胸元に紅い宝石が下がっていて、ちらちら見える胸の谷間とあいまって、一度見てしまうと目が離せなくなりそう。
「いきなり呼びつけてごめんなさいね。どうしてもお会いしたかったものだから」
「あ、いいえ。そんな、全然っ」
大きくカールした、黒というにも茶色というにも微妙な色合いの長い髪を、レースに包まれた指先で弄びながら、濡れたようなまなざしで彼女があたしをじっと見た。
「あの、あたし、千紗です」
慌ててペコリと頭を下げて、そしてあたしは俯いた。これ以上見ていると魂を吸い取られそうな気がする。
「そう固くならないで」
金髪の女の子が持ってきた銀のお盆に載ったグラスをあたしに勧めながら、彼女はにっこりと笑った。その笑顔にドキドキしてしまう。ひとつひとつの仕草が優雅で上品で、でもとても扇情的で、まるで魔力を持っているみたいなすごい美女。彼女に見られてると思うだけで落ち着かなくなってしまう。
あたしでこれなんだから、男の人なんか大変なんじゃないかな。そう思って、あたしの背後で黙って立っている筈の司さんに、内心でちょっとだけ同情した。
でも、この人と司さんってどう言う関係なんだろう。というより、ここ……。
「あたくしは葵。よろしくね、可愛いお嬢さん」
言いながらゆっくりと彼女は起き上がった。
「和真の姉よ」
うげっ。
-つづく-
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