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2006年03月23日 (木)
あたしの手を解こうとするユーキさんのベルトをつかんで、全体重をかけて引きずり倒すようにむりやり座らせた。逃げないようにベルトはつかんだまま、真正面から向かい合う。
完璧に据わり切ったユーキさんの目があたしを睨みつける。ユーキさんのお兄さんより、今のユーキさんのほうが怖い。怖いけど、でも。
「なんであんなヤツ庇うんだよっ。おまえを犯したやつだぞ、殺してくれって頼むのがスジだろが!」
「む、ムチャクチャ言わないでよっ」
「何が無茶だ、畜生っ。俺の女に手を出すやつは全員ぶっ殺す!」
ユーキさんが怒鳴ってる。
ユーキさんが怒ってる。本気で怒ってる。あたしのことで、あたしのために、ユーキさんが怒ってるなんて……嘘みたい。
俺の女、だって。あたし、今でもユーキさんの彼女なんだ。ユーキさんはそう思ってくれてたんだ。あんなひどい別れ方したあたしを、何ヶ月もずっと思ってくれてたんだ。
なんか、嘘みたい。
視界がぐにゃりと曲がった。
嘘みたいだけど嘘じゃないよね? 本当だよね? 本当に……ユーキさんは……。
ボロボロと、どこかが壊れたみたいに涙が噴き出してくる。両手で顔を覆って、子どもみたいに声を上げてあたしは泣き出してしまった。
「ち、千紗、ちゃん……?」
ユーキさんの慌てた声。戸惑った腕に抱き寄せられる。
「ごめん。ホントにごめん」
大きな胸の中にすっぽりと包まれて、あたしは赤ちゃんコアラみたいにユーキさんに抱きついた。腕をつかんで、わざと爪を立てる。ぎゅうっと力を入れて握りしめる。ちょっとくらいは痛いかもしれないけど、でもユーキさんは文句なんて言わなかった。
「ごめん。千紗ちゃんに怒鳴ってどうすんだよ。違うよ、ごめんね、ホントに」
抱きしめてくれる強い力、大きな手。低くかすれる声が耳元で何度も謝ってくれる。謝って欲しいわけじゃないけど、何度も謝って欲しい。いつまでも声を聞いていたい。
-つづく-
完璧に据わり切ったユーキさんの目があたしを睨みつける。ユーキさんのお兄さんより、今のユーキさんのほうが怖い。怖いけど、でも。
「なんであんなヤツ庇うんだよっ。おまえを犯したやつだぞ、殺してくれって頼むのがスジだろが!」
「む、ムチャクチャ言わないでよっ」
「何が無茶だ、畜生っ。俺の女に手を出すやつは全員ぶっ殺す!」
ユーキさんが怒鳴ってる。
ユーキさんが怒ってる。本気で怒ってる。あたしのことで、あたしのために、ユーキさんが怒ってるなんて……嘘みたい。
俺の女、だって。あたし、今でもユーキさんの彼女なんだ。ユーキさんはそう思ってくれてたんだ。あんなひどい別れ方したあたしを、何ヶ月もずっと思ってくれてたんだ。
なんか、嘘みたい。
視界がぐにゃりと曲がった。
嘘みたいだけど嘘じゃないよね? 本当だよね? 本当に……ユーキさんは……。
ボロボロと、どこかが壊れたみたいに涙が噴き出してくる。両手で顔を覆って、子どもみたいに声を上げてあたしは泣き出してしまった。
「ち、千紗、ちゃん……?」
ユーキさんの慌てた声。戸惑った腕に抱き寄せられる。
「ごめん。ホントにごめん」
大きな胸の中にすっぽりと包まれて、あたしは赤ちゃんコアラみたいにユーキさんに抱きついた。腕をつかんで、わざと爪を立てる。ぎゅうっと力を入れて握りしめる。ちょっとくらいは痛いかもしれないけど、でもユーキさんは文句なんて言わなかった。
「ごめん。千紗ちゃんに怒鳴ってどうすんだよ。違うよ、ごめんね、ホントに」
抱きしめてくれる強い力、大きな手。低くかすれる声が耳元で何度も謝ってくれる。謝って欲しいわけじゃないけど、何度も謝って欲しい。いつまでも声を聞いていたい。
-つづく-
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