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2006年03月24日 (金)
「ごめん、ひどい目に遭わせて。本当にごめんね」
オレンジと汗の混じった匂い。ユーキさんの匂い。
「あたし、ユーキさん好き。大好き。大好きだよ」
ぐしゃぐしゃに泣きながら、鼻水をだらだら流しながら、シャツに顔を埋めるみたいにぎゅっと抱きついて、あたしは何回も同じ言葉を繰り返した。それしか言葉を知らないみたいに、何度も何度も。
ユーキさんが好き。大好き。大好き。前から好き。今も好き。これからもずっと、大好き。
「俺も。俺も大好き。愛してる」
あご先にユーキさんの指がかかる。ぐちゃぐちゃの顔を見られるのがイヤで逃げようとしたけど、ユーキさんは許してくれなかった。
「やだー。ぶさいくだもん。鼻垂れてるもん」
しゃくりあげるように泣きながら訴えてもムダだった。むりやり上を向かされて、むりやりキスをされる。
「不細工じゃないよ、可愛いよ」
笑いながら彼は胸ポケットからハンカチを取り出して、あたしに差し出した。べちょべちょに濡れたハンカチをひったくってひざで二歩ほど歩いて逃げて、あたしは思いっきり鼻をかんだ。びーっと、すごい音を立ててデロデロの鼻水をなすりつける。
やっぱりぶさいくなんだ、ユーキさんはそう思ったんだ。ふんだ、別にいいもん。このハンカチもどうせブランド物だろうけど、ドロドロにしてやるっ!
「いや、不細工でもいいんだ。千紗ちゃんだったら、俺はなんだっていいんだ」
ハンカチから目を上げると、ユーキさんはバスマットの上であぐらをかいて座って笑っていた。あたしが一番よく知ってるユーキさんの顔をしていた。
あたしはユーキさんの目が好きだった。穏やかであたたかくてすごく優しくて、多分ユーキさんは嫌がると思うから言わないけど、パパみたいだと思っていた。初めて会った日からずっとそう思っていた。ずっと好きだった。
「千紗ちゃんは可愛いけど、でも俺は、顔が好きなんじゃないんだ。千紗ちゃんが好きなんだ」
「うん、あたしも。あたしも、ユーキさんが好き」
顔を見合わせて笑う。どちらからともなくそっと近づいて、抱きしめあって、キスをした。そのままゆっくりと優しく、あたしはバスマットの上に押し倒された。
-つづく-
オレンジと汗の混じった匂い。ユーキさんの匂い。
「あたし、ユーキさん好き。大好き。大好きだよ」
ぐしゃぐしゃに泣きながら、鼻水をだらだら流しながら、シャツに顔を埋めるみたいにぎゅっと抱きついて、あたしは何回も同じ言葉を繰り返した。それしか言葉を知らないみたいに、何度も何度も。
ユーキさんが好き。大好き。大好き。前から好き。今も好き。これからもずっと、大好き。
「俺も。俺も大好き。愛してる」
あご先にユーキさんの指がかかる。ぐちゃぐちゃの顔を見られるのがイヤで逃げようとしたけど、ユーキさんは許してくれなかった。
「やだー。ぶさいくだもん。鼻垂れてるもん」
しゃくりあげるように泣きながら訴えてもムダだった。むりやり上を向かされて、むりやりキスをされる。
「不細工じゃないよ、可愛いよ」
笑いながら彼は胸ポケットからハンカチを取り出して、あたしに差し出した。べちょべちょに濡れたハンカチをひったくってひざで二歩ほど歩いて逃げて、あたしは思いっきり鼻をかんだ。びーっと、すごい音を立ててデロデロの鼻水をなすりつける。
やっぱりぶさいくなんだ、ユーキさんはそう思ったんだ。ふんだ、別にいいもん。このハンカチもどうせブランド物だろうけど、ドロドロにしてやるっ!
「いや、不細工でもいいんだ。千紗ちゃんだったら、俺はなんだっていいんだ」
ハンカチから目を上げると、ユーキさんはバスマットの上であぐらをかいて座って笑っていた。あたしが一番よく知ってるユーキさんの顔をしていた。
あたしはユーキさんの目が好きだった。穏やかであたたかくてすごく優しくて、多分ユーキさんは嫌がると思うから言わないけど、パパみたいだと思っていた。初めて会った日からずっとそう思っていた。ずっと好きだった。
「千紗ちゃんは可愛いけど、でも俺は、顔が好きなんじゃないんだ。千紗ちゃんが好きなんだ」
「うん、あたしも。あたしも、ユーキさんが好き」
顔を見合わせて笑う。どちらからともなくそっと近づいて、抱きしめあって、キスをした。そのままゆっくりと優しく、あたしはバスマットの上に押し倒された。
-つづく-
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