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2006年02月27日 (月)
視界が滲んで揺れたと思ったときには、もう遅かった。あっという間に膨らんだ涙が落ちる。スカートのポケットから慌てて出したハンドタオルで目元を拭いて、でも止まらない。
三日間泣いて涙なんてもう枯れたと思ったのに。そう思ったからやっと会うことにしたのに。会う決心がついたのに。どうしよう、このまま涙が止まらなかったら。彼の前で泣いちゃったら。優しくされたら流されちゃいそう。
視線を伏せて目を鼻を乱暴にぬぐって、あたしは声を押し殺した。
泣かない。泣かないでちゃんとお別れして、これで終わりにして。でないと……。
「――千紗ちゃん?」
後ろから降ってきた声に、心臓が止まりそうになった。反射的に優しい笑顔を思い出して振り返ろうとして、でもあたしは動かなかった。振り向かなかった。
「千紗ちゃん……」
頭にそっと触れる、大きな手。ゆっくりと髪を撫ぜられる。手を振り払って怒ってもいいのにそうしたほうがいいと思うのに、でも嬉しい。彼があたしにさわってくれるのが嬉しい。
どうしよう。
好きなんだ。やっぱりあたし、ユーキさんのこと好きなんだ。
ユーキさんの誰にも言えないような性癖を知ったときも、あたしは揺らがなかった。そんなこと関係なかった。好きだった。どんなひどいことされてもひどい言葉を投げ付けられても、何をされても平気だった。
大好きだった。大好き。今も大好き。
――だけど。だから。
「千紗ちゃん、話って……」
「ユーキさんなんて、大っ嫌いっ!」
-つづく-
三日間泣いて涙なんてもう枯れたと思ったのに。そう思ったからやっと会うことにしたのに。会う決心がついたのに。どうしよう、このまま涙が止まらなかったら。彼の前で泣いちゃったら。優しくされたら流されちゃいそう。
視線を伏せて目を鼻を乱暴にぬぐって、あたしは声を押し殺した。
泣かない。泣かないでちゃんとお別れして、これで終わりにして。でないと……。
「――千紗ちゃん?」
後ろから降ってきた声に、心臓が止まりそうになった。反射的に優しい笑顔を思い出して振り返ろうとして、でもあたしは動かなかった。振り向かなかった。
「千紗ちゃん……」
頭にそっと触れる、大きな手。ゆっくりと髪を撫ぜられる。手を振り払って怒ってもいいのにそうしたほうがいいと思うのに、でも嬉しい。彼があたしにさわってくれるのが嬉しい。
どうしよう。
好きなんだ。やっぱりあたし、ユーキさんのこと好きなんだ。
ユーキさんの誰にも言えないような性癖を知ったときも、あたしは揺らがなかった。そんなこと関係なかった。好きだった。どんなひどいことされてもひどい言葉を投げ付けられても、何をされても平気だった。
大好きだった。大好き。今も大好き。
――だけど。だから。
「千紗ちゃん、話って……」
「ユーキさんなんて、大っ嫌いっ!」
-つづく-
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