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2006年02月26日 (日)
ふうっと大きく息を吐いて、あたしは壁の丸い時計を見上げた。
いつだってあたしのほうが遅く着くから、というか、あたしが遅れたってわけじゃなくって、いや、そういうことも結構あったかな。でもそのことで何か言われたことなんか一回もなくって、だからなんにも思わなかったけど。あたし、今までずっと待たせてたんだなあ。悪いことしてたんだなあ。そんなことを考えながら、砂糖の入れすぎで甘ったるくて、しかもぬるくなったカフェラテにちょっとだけ口をつける。
天井近くのスピーカから、重なるハーモニーが特徴的な男性二人ユニットの優しい歌声が、控えめな音量で流れていた。高校を舞台にした、あたしたちとあまり変わらない年頃の男女が主人公のドラマ。その一番盛り上がるシーンで流される、とてもストレートな恋の言葉の歌。見るともなく何度か見て、聴くともなく聴いて、なんとなく覚えている。
何度抱きしめても何度キスしても、それでも不安になる。
本当にきみに伝わってるだろうか。
こんなに愛してると、ちゃんと伝わっているだろうか。
「あたしが悪いんじゃないもん」
あたしを騙したユーキさんが、婚約者がいることをあたしに黙ってたユーキさんが悪いんだ。大っ嫌い。顔も見たくない。
「婚約者だって。バッカみたい。いつの時代よ」
――心からそう思えたら、どんなに楽だろう。
-つづく-
いつだってあたしのほうが遅く着くから、というか、あたしが遅れたってわけじゃなくって、いや、そういうことも結構あったかな。でもそのことで何か言われたことなんか一回もなくって、だからなんにも思わなかったけど。あたし、今までずっと待たせてたんだなあ。悪いことしてたんだなあ。そんなことを考えながら、砂糖の入れすぎで甘ったるくて、しかもぬるくなったカフェラテにちょっとだけ口をつける。
天井近くのスピーカから、重なるハーモニーが特徴的な男性二人ユニットの優しい歌声が、控えめな音量で流れていた。高校を舞台にした、あたしたちとあまり変わらない年頃の男女が主人公のドラマ。その一番盛り上がるシーンで流される、とてもストレートな恋の言葉の歌。見るともなく何度か見て、聴くともなく聴いて、なんとなく覚えている。
何度抱きしめても何度キスしても、それでも不安になる。
本当にきみに伝わってるだろうか。
こんなに愛してると、ちゃんと伝わっているだろうか。
「あたしが悪いんじゃないもん」
あたしを騙したユーキさんが、婚約者がいることをあたしに黙ってたユーキさんが悪いんだ。大っ嫌い。顔も見たくない。
「婚約者だって。バッカみたい。いつの時代よ」
――心からそう思えたら、どんなに楽だろう。
-つづく-
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