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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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あなたは知らない-16
2011年12月10日 (土)
「ごめんね、美加ちゃん。お先です」
 六時ちょうど、定時就業時間。
 先約があるからと謝る同僚に、こう言うときはお互いさまですからと応えてマグカップを片手に席に戻った。携帯電話を片手にかばんを持ち上げる二人にちらりと視線を向けながら、スリープ状態に入っていたパソコンを再開させる。月末にはまだ少し間があるけれど、優秀な課員のおかげで締め切りに向けて事務量は増えてきている。それでも休日出勤も珍しくない課内全体の雰囲気から考えれば、月平均で二十時間を少し超える程度の残業と言う事務員の仕事は申し訳ないほどにのんびりだ。
「もうちょっとしたら主任が帰ってくると思うんで、よろしくね」
「はい、お疲れさまでしたー」
 拝むように片手を挙げた詫びに笑顔で手を振って、そそくさと帰っていく後ろ姿を見送った。
「また難儀なことで」
 濃く淹れた緑茶をずずっとすすりながら壁の時計を見上げた。
 本来ならば来月に決まるはずだった仕事が先方の決算の都合で急遽決定し、内勤予定だった主任が呼び出された。今回の資料が明日の会議で使われることに決まったため、今日中に入力しておかなければならない。
 急ぎの仕事に限って、今日中に明日中にと言われると目を回しそうなボリュームを持っていることが多い。今回も残念ながらそのケースだった。実際にどれくらいの分量があるのかはこの目で見てみなければわからないけれど、五枚六枚でないことだけは確かだ。もしかしたら主任は手伝ってくれるかもしれないが、内勤だったのを呼び出されたということは、そもそもほかにやるべきことがあったからだろうし、全部一人でやってと言われる可能性も低くはない。持ち帰られる資料が大量でないことを願うばかりだ。
「課長からは連絡ないし」
 誰もいないのを幸い、引き出しのチョコをつまみながら携帯の画面を確認したけれど、先ほどからまったく変化はない。三時過ぎに会社の電話に入った他人行儀な声での「遅くなるので本日は直帰します」の一言で課長の説明は終わったらしい。仕事が優先なのは当然だけれど、あの状況で置いて行かれたわたしの寂しさも少しは察して欲しいと思ってしまうのも事実だった。もやもやとしたなにかが、まだ身体中のそこここに熱を残しているような気がして、なんとなく落ち着かない。

 -つづく-
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