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R18 らぶえっち小説Blog
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メメント・アモル-5
2011年01月14日 (金)
「まぁ、いっぺんにあれこれ言ってもムリだよな」
 うつむくあたしに明るく頷くと、ヒロ兄ちゃんは手の中の写真を棚にそっと戻した。丁寧に角度を調節する様子に、この写真はヒロ兄ちゃんにとって大切なものなんだなってことがわかる。そこに映っているのはあたしなんだから、素直に喜んでもいいことだと思うけど、でも。
「焦っても仕方ない。普通にのんびりしていれば、きっとそのうち思い出すよ」
 がっかりしてるんだろうに、そんな素振りは全然見せずにヒロ兄ちゃんは笑ってくれる。返す言葉も見つからなくて、あたしは下唇を噛んだ。
「そんな顔しなくていいよ。まゆが悪いんじゃない。まゆは被害者なんだ」
 大きな手が頭をなでてくれる。そっと目を上げると、そこにあったのは、あたしの知ってるままの優しいヒロ兄ちゃんの笑顔。
「そうだ、疲れただろう? ちょっとゆっくりしよう。お茶でも淹れるよ。まゆの好きなローズヒップティがあるよ」
「え、あ……ありがと」
 キッチンへ向かった後ろ姿をぼーっと見送りかけて、慌てて後を追いかける。あたしに気付いたヒロ兄ちゃんが振り返った。冗談めかした顔で伸びてきた両手があたしの両肩にぽんと置かれる。真正面から抱き寄せられるようなカッコにドキッとした瞬間に、ヒロ兄ちゃんの腕の中で身体がくるっと回転した。百八十度方向転換して背中を押されて、元の場所まで戻されてしまった。
「いいからいいから。まゆはちょっと、そこで座って待ってな」
「え、あ……う、うん」
 そっか。手伝おうにも、あたしはどこにカップをしまってあるかすらわからないんだっけ。
 仕方なく、ムダにドキドキした胸を押さえながら言われたとおりおとなしく待つことにして、ソファの隅にちょこっと腰を下ろした。動くのに邪魔なのか汚れたら困るからか、脱いだ上着を椅子の背にかけてからキッチンに入る、すらっとしたヒロ兄ちゃんの後ろ姿を見送る。慣れた手つきでお茶っ葉やマグカップを用意する様子がカウンターの隙間から見えた。どこに何があるのか全部把握してるっぽい迷いのない動きからすると、どうやらあたしは普段から家事をかなり手伝ってもらってたみたい。ごめんなさいって謝ったあたしに、メープル色の木製のトレイを両手で持ってこっちに戻ってきたヒロ兄ちゃんは『それは違うよ』と笑った。
「家のことは二人でするのが当たり前だと思ってるよ。俺も一人暮らしはしてたから、別に苦にならないしね」
 言いながら、ヒロ兄ちゃんはソファー前の低いテーブルにトレイを置いた。行儀よく並んだお揃いのマグカップは、デザインと色使いが少しずつ違う。

 -つづく-
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