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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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メメント・アモル-4
2011年01月12日 (水)
「きれいだろう? こっちは二人の写真。きれいに撮れてる、さすがにプロだって、まゆはすごく喜んでたんだよ」
 白いドレスのあたしと、シルバーグレイのタキシードを着たヒロ兄ちゃん。手を握り合って指輪を見せるポーズをする、ちょっと照れた顔のあたし。
「これは新婚旅行のときの写真。まゆの希望でイタリアへ行ったんだよ。まゆはイタリア語学科だったから。あ、それも覚えてない?」
 意外なくらい明るく訊かれたから、逆に申し訳なくって。
「……ごめんなさい」
「謝ることはないさ。こっちはローマ。これはフィレンツェ、かな。それで、これがヴェネチア」
 笑顔を絶やさずに丁寧に説明をしてくれるヒロ兄ちゃんの顔を見る勇気がなくって、あたしは大きなコルクボードに何枚も貼り付けられた、写真を示す長い指を見つめた。絵葉書みたいな外国の風景をバックにして、見てるほうがちょっとイラっとするくらい幸せそうに笑っているあたしを指す左手の薬指には、シンプルな指輪が嵌っていた。
「そしてあれがね、記念にって買ってきたベネチアングラス」
 ちらっとヒロ兄ちゃんが目を向けたオープンラックの二段目。淡いブルーの上を金色のラインで複雑な模様を描いた、いかにも高そうな細長いグラスが二つ、胸を張るように誇らしげに並んでいた。
「工房を見に行ったときにまゆが気に入ってね。記念日にだけ使うから、普段はあそこに飾ってあるんだ」
 そう言うと、ヒロ兄ちゃんは手を戻しながらあたしの顔を覗き込んだ。レンズ越しの物問いげなまなざしがあたしをじっと見つめる。ヒロ兄ちゃんが何を考えているのか、あたしがどう応えれば一番いいのか、それは痛いくらいわかっていたけど、でも。
「ごめんなさい。あたしホントに全然、覚えてない……」
 お医者さんは退院が決まってからも、多分とおそらくはを困った顔で自信なさげに繰り返していた。お母さんはアクセルとブレーキを間違えるなんてと事故の相手にものすごく怒って、それでもまぁ無事でよかったじゃないかとなだめるお父さんに、全然無事じゃないわよと噛み付いていた。ほのぼのと言うにはちょっと騒がしい二人にちょっと苦笑いしながらヒロ兄ちゃんがあいだに入る様子はホントに普通すぎて、あたしはまだいろんなことが信じられない。わからない。あたしの記憶が七年分もなくなっちゃった、なんて。
 ホントに、あたしとヒロ兄ちゃんは結婚したの? だってお兄ちゃんなんてあたしのことを全然女の子扱いしてくれなかったのに。どんなきっかけがあったの? どんな言葉でプロポーズされたの?
 大好きなヒロ兄ちゃんとの結婚なんて、あたしはどれくらい嬉しかったんだろう……?

 -つづく-
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コメント
この記事へのコメント
 
あけましておめでとうございます。新連載が始まりとても楽しみです。ヒロインが記憶喪失ということですがあまり哀しい雰囲気ではない?明るめな感じに、お話が甘くなるのを楽しみに更新待っています。今年もよろしくお願いします。
2011/01/14(Fri) 08:11 | URL  | mimana #e2xIBKiE[ 編集]
 
わーい、おめでとうございますーっ
って、もう18日……v-12

こ、こちらこそ、どうぞよろしくおねがいします。


前からちょっと書いてみたいなぁって思ってたので、今回思い切って挑戦してみました!
すっかり語りつくされた感のある記憶喪失ものですが、にゃおなりにがんばってみたいと思います♪
まだもう少しえっちぃシーンは先で申し訳ないんですが、みなさんにもこの雰囲気を楽しんでもらえると嬉しいですっ☆
2011/01/18(Tue) 19:54 | URL  | にゃお #-[ 編集]
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