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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド2-終話
2010年12月03日 (金)
 卒業式の最後の最後、イスから立ち上がってくるっとかかとを回したそのとき、目の前にその人はいた。退場する卒業生のために無表情のまま手を叩く、キレイな立ち姿があった。ほんの一秒か二秒だったけど、確かに目が合った。そのキレイで冷たいまなざしは今もくっきりと心の奥底に焼きついてて、思い出すと息が苦しくなるけど、でも。
「だったらもう、それでいいよ」
「え、あ……でも、なぁ……」
 複雑な表情であたしを見下ろす大きな影に笑いかける。先生はへの字に曲がった口をもごもごさせてなんか言いたそうに何度か口を開けかけて、そしてあきらめたように大きく息を吐いた。
 ――ホントは、大好きだった。
 本当に心の底から大好きだったけど、でも今は「大好きだった」って言える。哀しいのは哀しいけど、つらいときだってあるけど、でもあたしは笑っていられる。
「ね、そうでしょ?」
 平気になったのはきっと、先生がいたから。先生がいてくれたから。
 ずっと先のことなんて今はまだわからないけど、でもこれからだって先生は一緒にいてくれるつもりみたいだし、だったら叶わない願いにいつまでも固執して、ひとりで傷つく必要なんてないはず。だってこんなにバカみたいなお人よしさんが、あたしのことを大切にしようとしてくれてるんだし。
 だから、これは妥協じゃない。ママと同じじゃない。ただほんの少し『好き』のかたちが違うだけ。だからもう、あの人は過去の人。とりあえずあたしはそう決めた。
 そして今のあたしにとって、大切な人は――。
「それよりも、さぁっ!」
 荷物を持ってないほうの先生の手を両手で握って、ぶんぶんと振り回した。突然のあたしの行動に固まった先生に、ぶーっと唇を尖らせて見せる。
「お腹空いたよ、もう一時だよ!」
 お昼はとっくに回っちゃってるんだからって訴える。先生のびっくりした顔がおかしくて真ん丸の目がかわいくて、あたしはケラケラ笑ってしまう。ぱちぱちと忙しくまばたきをして首をひねってから、先生は確かにそうだなって頷いてくれた。笑顔はまだもうちょっと引きつってるけど、でも物わかりのいいふりをするよりずっと先生らしくって、そういうところもあたしは結構好き。
「それじゃ、どこ行く? なに食う?」
「どこでもいいよ。コンビニでなんか買って、ピクニック行こ」
 もう桜は散っちゃったけど。
「またコンビニかよ。たまには贅沢しろよ」
「選び放題食べ放題なんだから、充分贅沢だよー。いいじゃん別に、楽しいんだから」
 手をつないで街を歩く。それだけで幸せなんだって、教えてくれた。
「ねー、せんせっ」


 ――人を好きになるって、そういうことじゃない?



 -おわり-
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