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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド2-123
2010年11月18日 (木)
「な、春奈?」
 握りしめた手のひらと硬いカギ。温かいはずはないのに、あったかい。先生の言葉みたいに。先生の手みたいに。
「せんせ……」
「ん?」
 笑いかけようかどうしようか悩んでる顔で、それでも先生は笑ってくれた。そおっと前髪をかき上げてくれる指。優しい声、優しい目。太い首、広い胸、大きな肩。あたしは、この肩にもたれてもいいのかな。
「ごはん、食べさせてくれるの? 勉強も見てくれる?」
 なんとか受かった大学だから、難しかったらどうしようって今から心配なんだよって訴えると、先生は大きく頷いた。
「お、いいぞ。それくらい、いつでも言えよ」
 胸を張って言ってから、でも『わかんなかったらゴメンな』って、申し訳なさそうに大きな肩をすくめた。人文系は苦手なんだよなとか眉を寄せられても、あたしはその基準がわかんないんだけど。
「いつなら、行っていい?」
「別に、いつでもいいぞ。前もって連絡くれたら俺も帰るけど、別に勝手にきても……あ、部屋が汚いのは許せよ」
 男の一人暮らしだったら、それくらいは仕方ないよね。
「お部屋、片づけてあげようか?」
「おっ、そりゃ助かるっ」
 ぱっと目を輝かせた、子どもみたいな顔がかわいい。身を乗り出してまで訊いてくる先生に笑顔に頷き返した。
「まぁ、もうしばらくは窮屈かもしんねーけど、卒業しちまえば、特に問題ってワケじゃねぇしな。あとちょっと……っても、まだ半年もあんのか。なげーなー」
 深く溜息をつきながら先生はタバコの箱に手を伸ばした。抜き出した一本に火を点けてからソファにどてっともたれる。拗ねたような目のまま煙を吹き上げる横顔に笑ってしまう。
「我慢するしかねーか。ここでバレたりしたら、全部水の泡だからな」
「ん、そうだね」
 先生の本音ってどこにあるんだろう。本当はあたしのことをどんなふうに見てるんだろう。そんなことを絶えず考えてるあたしも確かにいるんだけど、あまりにもまっすぐな感情表現を向けられると、疑ってる自分が恥ずかしいような気さえすることもある。
 だって、部屋のカギなんて、誰にでも渡せるもんじゃない……じゃない?
 ぎゅうっと握ったままの左手を右手でそっと撫でた。じんわりした重みを感じる、手の中のカギ。先生の部屋のカギ。
 ――あたしは先生のそばにいても……いいの、かな。
「ありがと、せんせ」
「え、あ……お、おおっ」
 黙って煙を吹き上げていた先生はあたしを見て、なぜか驚いたような顔をした。ロボットみたいにカクカクと何度も頷く、真ん丸の目がかわいい。笑いながら先生の身体に手を回して、ぎゅうっと抱きついた。広い胸にこつんと額を押し当てる。
「ホントに、ありがと、ね。せんせ」

 ――とってもとっても、涙が出るくらい、嬉しい……。

 -つづく-
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