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2010年11月09日 (火)
「えー、ちょっといいのー? 彼女サンに怒られない?」
「あっ? いねーよ、彼女なんて」
「えええっ? って、あぁっ!」
からかうような言葉を向けたあたしに、先生はあっさり頷いた。簡単に返ってきた返事にびっくりしすぎたあたしの手から、つかんだばかりのホットサンドが滑って逃げる。
「はーるなー。なーにやってんだよー」
「うううぅっ」
テーブルの下まで転げ落ちたホットサンドに思わず悲鳴を上げたあたしを、先生がケラケラ笑う。もともとは先生のせいなんだからねってちょっと睨んでから、ふちがぐるりとキレイに焦げた三角形を急いで拾い上げた。
「やー、もったいないー」
ええい、いいや。土の上に落ちたわけじゃないし、食べちゃえ。
意を決して、ってほど大げさなことじゃないけど、それなりに勢いをつけてぱくっとかじりつく。やっぱ捨てなくてよかったって心の底から思うような、とろーりチーズとベーコンの甘い脂がじゅわっと口の中いっぱいに広がった。先生じゃないけど、ホントにここのホテルのご飯はおいしい。おいしいってそれだけで幸せ――はいいけど、先生はホントに彼女いないのかな。ホントに? でも何回も訊き返したらまた怒られそうだし。でもちょっと突然すぎて信じられないよ。佐上先生ほどじゃないけど、藤元先生だって人気あるのに。絶対モテそうなのに。
もりもりステーキ丼をたいらげてる先生の様子を横目で伺いながらホットサンドを食べてると、唐突に『なぁ、春奈』って先生の声が聞こえた。
「なぁに、これ? 食べていいよ」
「いや、そうじゃなくって」
お皿に残ったもう一切れのホットサンドを目で差すと、先生はお財布をバッグにしまいながら苦笑した。コイツは子どもだなって言いたげな顔。そりゃまぁ、もともとは全部先生のだし、食べていいってあたしが言うことじゃないけどね。
「よっこいしょ、っと」
バッグを元通り床に放り投げるように置いて、眉を寄せながらふーっと大きく息をついて、先生は意を決したような顔であたしを見た。
-つづく-
「あっ? いねーよ、彼女なんて」
「えええっ? って、あぁっ!」
からかうような言葉を向けたあたしに、先生はあっさり頷いた。簡単に返ってきた返事にびっくりしすぎたあたしの手から、つかんだばかりのホットサンドが滑って逃げる。
「はーるなー。なーにやってんだよー」
「うううぅっ」
テーブルの下まで転げ落ちたホットサンドに思わず悲鳴を上げたあたしを、先生がケラケラ笑う。もともとは先生のせいなんだからねってちょっと睨んでから、ふちがぐるりとキレイに焦げた三角形を急いで拾い上げた。
「やー、もったいないー」
ええい、いいや。土の上に落ちたわけじゃないし、食べちゃえ。
意を決して、ってほど大げさなことじゃないけど、それなりに勢いをつけてぱくっとかじりつく。やっぱ捨てなくてよかったって心の底から思うような、とろーりチーズとベーコンの甘い脂がじゅわっと口の中いっぱいに広がった。先生じゃないけど、ホントにここのホテルのご飯はおいしい。おいしいってそれだけで幸せ――はいいけど、先生はホントに彼女いないのかな。ホントに? でも何回も訊き返したらまた怒られそうだし。でもちょっと突然すぎて信じられないよ。佐上先生ほどじゃないけど、藤元先生だって人気あるのに。絶対モテそうなのに。
もりもりステーキ丼をたいらげてる先生の様子を横目で伺いながらホットサンドを食べてると、唐突に『なぁ、春奈』って先生の声が聞こえた。
「なぁに、これ? 食べていいよ」
「いや、そうじゃなくって」
お皿に残ったもう一切れのホットサンドを目で差すと、先生はお財布をバッグにしまいながら苦笑した。コイツは子どもだなって言いたげな顔。そりゃまぁ、もともとは全部先生のだし、食べていいってあたしが言うことじゃないけどね。
「よっこいしょ、っと」
バッグを元通り床に放り投げるように置いて、眉を寄せながらふーっと大きく息をついて、先生は意を決したような顔であたしを見た。
-つづく-
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