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2006年02月15日 (水)
「はじめまして、結城和真です。千紗さんとお付き合いさせていただいています」
玄関先でそう言うと、ユーキさんはママに頭を下げた。
ソフトシャツにノーネクタイ姿が多いユーキさんが、きちんとネクタイを締めてスーツを着た様子は、いつもよりちょっとかっこいい。よそ行き顔の爽やかな笑みも穏やかで余裕ありげで、そういうところもかっこいい。
ママは、まさかこんな人が来るとは思ってなかったんだろう。多分、同級生とかちょっと先輩とか、そういうタイプを予想してたんだと思う。ちょっと呆然とした様子で、ユーキさんをてっぺんからつま先までゆっくりと二往復くらい眺めて、そして慌てたように頭を下げた。
「はじめまして。千紗の母です」
つられたようにユーキさんはもう一回頭を下げた。二人はゆっくりと顔を上げて、そして目を合わせると笑った。
「驚いたわ。もっとこう……、学生さんがくると思ってたから」
「いえ、大学生です」
ユーキさんは落ち着いた口調でそう言った。落ち着きすぎてて、なんか逆に説得力がない。ママもそう思ったんだろう、真ん丸になった目を更にぱちくりさせて、そしてくすっと笑った。
「千紗とはどこで?」
「ぼくの後輩がお付き合いしていた人が千紗さんの友人で、その紹介で――」
ユーキさんの大学の後輩さんの彼女が、あたしの先輩。実際にはもうちょっとややこしい関係なのだけれど、あたしをコンパに連れて行った人がその人なのは本当だから、別に嘘はついてない。
「なるほどねえ」
尖らせた唇を指先で突付くと、ママは思い出したように頷いた。
「まあ、立ち話もなんですし、どうぞこちらへ。狭いところですけど」
「ありがとうございます。お邪魔します」
ママが背を向けて先に部屋に入って行くと、ユーキさんは俯いてふうっと息を吐いた。よく見ると、額にちょっとだけど汗が浮かんでいる。靴を脱ごうとしても靴紐がなかなか解けないみたいで、いらだったように小さく舌打ちしたりして。
もしかしてユーキさん、緊張してるの、かな?
-つづく-
玄関先でそう言うと、ユーキさんはママに頭を下げた。
ソフトシャツにノーネクタイ姿が多いユーキさんが、きちんとネクタイを締めてスーツを着た様子は、いつもよりちょっとかっこいい。よそ行き顔の爽やかな笑みも穏やかで余裕ありげで、そういうところもかっこいい。
ママは、まさかこんな人が来るとは思ってなかったんだろう。多分、同級生とかちょっと先輩とか、そういうタイプを予想してたんだと思う。ちょっと呆然とした様子で、ユーキさんをてっぺんからつま先までゆっくりと二往復くらい眺めて、そして慌てたように頭を下げた。
「はじめまして。千紗の母です」
つられたようにユーキさんはもう一回頭を下げた。二人はゆっくりと顔を上げて、そして目を合わせると笑った。
「驚いたわ。もっとこう……、学生さんがくると思ってたから」
「いえ、大学生です」
ユーキさんは落ち着いた口調でそう言った。落ち着きすぎてて、なんか逆に説得力がない。ママもそう思ったんだろう、真ん丸になった目を更にぱちくりさせて、そしてくすっと笑った。
「千紗とはどこで?」
「ぼくの後輩がお付き合いしていた人が千紗さんの友人で、その紹介で――」
ユーキさんの大学の後輩さんの彼女が、あたしの先輩。実際にはもうちょっとややこしい関係なのだけれど、あたしをコンパに連れて行った人がその人なのは本当だから、別に嘘はついてない。
「なるほどねえ」
尖らせた唇を指先で突付くと、ママは思い出したように頷いた。
「まあ、立ち話もなんですし、どうぞこちらへ。狭いところですけど」
「ありがとうございます。お邪魔します」
ママが背を向けて先に部屋に入って行くと、ユーキさんは俯いてふうっと息を吐いた。よく見ると、額にちょっとだけど汗が浮かんでいる。靴を脱ごうとしても靴紐がなかなか解けないみたいで、いらだったように小さく舌打ちしたりして。
もしかしてユーキさん、緊張してるの、かな?
-つづく-
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