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2009年08月02日 (日)
「飲みすぎ、た……?」
身動さえせずじっと見返してくる理香に、高瀬は目元にわずかに苦笑を混ぜた。
「そんな感じだった。お酒弱いんだね」
「あ、はい……」
確かに調子に乗って何杯か飲んでしまったが、記憶を失くすほどグラスを空けたつもりはない。第一、それほど飲んだのならばこの程度の頭痛では済まないだろう。小さく口の中でうなりながら理香は額を押さえて周囲を見回した。
「あたしそんなに……? それに、ここは……?」
どうしてここにいるのかと考えると頭の片隅がちくりと痛む。それがパンプスの隙間から入り込みストッキングに張り付いた小石のように、理香をいらつかせ奇妙な不安を煽る。
「ああ、ここ? 駅の隣にホテルがあっただろう?」
「駅の隣の、ホテル?」
確かに、ビジネス街と繁華街の入り混じる地下鉄の駅周辺には、いくつかの宿泊施設があった。けれど駅に隣接しているのは、お世辞にも綺麗とは言えない室内とそれに見合う低廉な価格を誇るビジネスホテルのはずだった。この部屋はとてもそうは見えない。
これダブル……と言うか、キング?
一人で寝るには広すぎるベッドを手のひらで撫ぜて理香は顔をしかめた。
少し腕の位置を変えるとそれにあわせるようにゆっくりじわりと沈んで行くベッドは、どうやら最近流行りの低反発マットを取り入れているらしい。雑誌でちらりと見た、桁を一つ間違えたのではないかと言うような低反発マットの値段を思い出して、理香は顔をしかめた。ぐるりと周囲を見回せば、どう見てもビジネスホテル仕様とは思えないソファにカーテン、そしてドア。シャンデリアから下がる涙型の大きなガラスが、黄色がかったスポットライトを反射し、部屋中に光の粒をばら撒く。
「どうしてこんな……?」
具合の悪くなった元部下のためにホテルの部屋を用意するだけでも尋常ではないが、それ以上にこのような部屋はおかしい。
だって、この部屋、どう見てもデート用……。
自分の辿り着いた答えに、理香は思わず身をすくめた。
-つづく-
身動さえせずじっと見返してくる理香に、高瀬は目元にわずかに苦笑を混ぜた。
「そんな感じだった。お酒弱いんだね」
「あ、はい……」
確かに調子に乗って何杯か飲んでしまったが、記憶を失くすほどグラスを空けたつもりはない。第一、それほど飲んだのならばこの程度の頭痛では済まないだろう。小さく口の中でうなりながら理香は額を押さえて周囲を見回した。
「あたしそんなに……? それに、ここは……?」
どうしてここにいるのかと考えると頭の片隅がちくりと痛む。それがパンプスの隙間から入り込みストッキングに張り付いた小石のように、理香をいらつかせ奇妙な不安を煽る。
「ああ、ここ? 駅の隣にホテルがあっただろう?」
「駅の隣の、ホテル?」
確かに、ビジネス街と繁華街の入り混じる地下鉄の駅周辺には、いくつかの宿泊施設があった。けれど駅に隣接しているのは、お世辞にも綺麗とは言えない室内とそれに見合う低廉な価格を誇るビジネスホテルのはずだった。この部屋はとてもそうは見えない。
これダブル……と言うか、キング?
一人で寝るには広すぎるベッドを手のひらで撫ぜて理香は顔をしかめた。
少し腕の位置を変えるとそれにあわせるようにゆっくりじわりと沈んで行くベッドは、どうやら最近流行りの低反発マットを取り入れているらしい。雑誌でちらりと見た、桁を一つ間違えたのではないかと言うような低反発マットの値段を思い出して、理香は顔をしかめた。ぐるりと周囲を見回せば、どう見てもビジネスホテル仕様とは思えないソファにカーテン、そしてドア。シャンデリアから下がる涙型の大きなガラスが、黄色がかったスポットライトを反射し、部屋中に光の粒をばら撒く。
「どうしてこんな……?」
具合の悪くなった元部下のためにホテルの部屋を用意するだけでも尋常ではないが、それ以上にこのような部屋はおかしい。
だって、この部屋、どう見てもデート用……。
自分の辿り着いた答えに、理香は思わず身をすくめた。
-つづく-
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