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R18 らぶえっち小説Blog
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花を召しませ 番外編~White HESH -7
2008年05月12日 (月)
 彼もそんなわたしの気持ちを感じ取ってくれたのだろうか、それ以上は何も言わなかった。ひどく曖昧な沈黙の中、車はスピードを上げて行った。静かな空気を多少は居心地悪く思いながらも、わたしも口を閉じて夜闇に鮮やかに光り輝くイルミネーションを見つめ続けた。
 彼の今日の態度は明らかにおかしい。いつもと違う。何か原因があるのだろうけれど、問い詰めたところで彼が素直に答えてくれるとも思えない。こう言うとき、口下手な自分が歯がゆい。彼ほど言葉を巧く操れれば、簡単に真相を得ることができるのに。そう思うとなぜか悔しい。
 けれど考えてみれば、彼にもいろんな面がある。わたしの思う彼の姿が彼の全てではない。彼の一面だけを見て、すべてを知ったような気になるのは思い上がりというものだろう。彼がわたしに見せない部分だってたくさんある。それはわたし自身が彼に見せない部分があることを思い起こせば当然だと思う。
 いつも明るく振舞う彼が、ときおり人の視線から隠れるように顔を伏せてひどく暗い目をするのを知っている。昔の夢を見てうなされることがあるのも知っている。そこには彼の生きてきた道すじがある。
 おそらくは、わたしには想像もつかないほどのたくさんのできごとが起こって、その度に彼は苦しみながら乗り越えてきたのだろう。年齢はわたしのほうがいくつか上なのに、その重みは彼の半分ほどもないのだとも思う。
 わたしの人生は、紙に書き出してみればほんの数ページで終わってしまうような平凡なものだ。ごく普通の家庭に生まれてごく普通の学生として学校に通って、ごく普通に就職して、と自分の半生を振り返るとなぜか溜息が出てしまう。普通が悪いなどと思っているわけでは決してないのだけれど、彼の波乱万丈とも言えるような過去の話を聞くとき、どこかで奇妙なコンプレックスを感じているのも事実だった。
 そっと視線を右手に向けてみると、拗ねたような顔のままハンドルを握った彼が真正面を見つめていた。唇の端に咥えたままのタバコから細い煙がふわりと上がると、煙たそうに目を細める。そのひどく男っぽい表情にどきりとする。

 -つづく-
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