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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド2-23
2008年03月29日 (土)
「あいつ、怒っていたか?」
 急に激しくなったきた雨の中、言われたとおり裏門の陰で待つこと五分。目の前に現れたシルバーグレイの見慣れた車の中には、涼しげな美貌がハンドルを握っていた。ほどけたようにひとすじ額に落ちた前髪が異様に色っぽい。ドアを開けて乗り込んで傘をたたむあたしに一つだけ頷いて、佐上先生は車を進ませた。何を言っていいかわからないからあたしも黙ったままだった。裏門からまっすぐ駅の反対側へ向かう窓の向こうは、しーんとした時間が積み重なるのと比例するかのようにどんどんと知らない光景になっていく。
 そんな重い空気に耐え切れなくなって口を開こうとした瞬間、先生は横顔のままそう言った。
「え?」
 言葉の意味がわからない。思わず眉を寄せると、先生も同じようにちょっとだけ眉をひそめた。
「怒ってなかったのか。電話ではえらく怒鳴っていたが」
 そう続けられてようやく藤元先生のことだと気付いた。テーブルの上に広がっていた問題集を鞄に放り込むあたしをわざと無視するように、お弁当の残りを黙々と食べる横顔を思い出した。確かにちょっと拗ねてたようなカンジはしたけど。
「えーっと、んーと」
「怒っていただろう?」
 確認するような響きにそっと視線を送ると、その唇の端が歪んでいた。ちょっとだけ細まった目は、いつものクールな表情とは随分イメージが違う。優しい目。優しい横顔。でもそのまなざしはあたしじゃなくて、藤元先生へ向けられたものだけど。
「あ、はい。えっと、その。怒ってた、と思います」
「そうか」
 楽しそうにくくっとのどの奥で笑いながら、佐上先生は額に落ちた髪を掻き上げた。白い指先が流れるように動く。すうっと伸びた人差し指の爪の形がきれい。
「俺のことがよっぽど気に入らないと見えるな」
「えっ。そんなことはないと思いますけど」
「そうか?」
「はい。先生たち、すごーく仲良さそうです」
「ふーん」
 気のなさそうな声で先生が頷くと、いったん撫で付けられたはずの前髪が元のようにほろりと額に落ちた。眉の端を半分ほど隠すその前髪がこそばいのか、先生がきゅっと目を細める。
 何気ない仕草ひとつひとつが嘘みたいにきれいで、そんな先生をこんな間近でじっと見ていられるなんて、それだけで奇跡みたいで。
「男と仲良しなんて言われても、嬉しくないな」
 呟くようにそう言うと、先生はきゅっと車を停めた。目的地に着いたのかなと雨で半分くらい隠れた窓を透かして見回しても、中央にラインの引かれていない平べったい田舎道はどこにでもありそうで、逆にどこだか全然わからない。

 -つづく-
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