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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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マスカレイド-終話
2007年11月21日 (水)
「やっぱメガネ男子は流行りだしー……どしたの、春奈?」
「ん、ちょっと」
 右手のケータイを軽く上げるとチカちゃんはすぐに意味がわかったみたいで、キレイにグロスを塗ったぽってり唇の端を歪めてにいっと笑った。並んだ椅子の隙間を抜けるようにみんなから離れてから、そっと通話ボタンを押す。
「はい、もしもし?」
「――芝口か?」
 探るような響きの混じったその声に、どくんと心臓が波打った。
「はい」
 なんでもない顔のままそう頷いた。それでも思わずぎゅうっとケータイを握りしめてしまう。
 名乗らなくてもわかる。聞き間違えるはずもない。一流のヘアメイクアーティストが描いたみたいな眉と、切れ長の目に浮かぶ物憂げでクールな表情、すうっと伸びた鼻筋。シャープな頬のラインと、嘘みたいにキレイな唇。
「武志から話は聞いた。今日の放課後は空いているか?」
「はい」
 バクバク震える心臓が、のどにまでせり上がってきたみたい。声がかすれる。どうしよう、手が震えそう。
「じゃあ、そのときに」
 会話はそれだけだった。ぷつんと途切れた手の中の小さな機器をポケットに戻す暇もなく、ガラリとドアが開く。
「はい、座れ! ショートホームルーム始めるぞーっ」
 いつもの大声を上げて藤元先生が大またで入ってくる。みんなが慌てて自分の席に向かう。あたしもケータイをポケットにしまいながら急いで席に戻った。スカートを直しながら座って教卓を見上げると、藤元先生と視線がカチリと合った。
 先生は一瞬だけ戸惑ったように眉をひそめかけて、でもあたしを見たままかすかに頷いた。別に合図を決めていたわけじゃないけど、だいたいわかる。誰にも見咎められない程度に軽く頷き返すと、先生は小脇に抱えていた出席簿を開いた。そこに書かれている名前をいつものように大きな声で辿り始める。もうあたしを見ない。でも痛いほどあたしを意識しているのはわかっている。先生はあたしを無視できない。
 順番に呼ばれる名前。響く声。いつもの朝、いつもの教室。
 でも。

 今日の放課後――。

 それでもみんな、表向きだけはいつもと同じ朝、同じ顔。



 -おわり-
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名乗ってもいいけど表には出さないでと言うかたは名前をカッコで閉じてください→例(にゃお)