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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-58
2007年07月17日 (火)
「せ……せんぱ、い……?」
 思わず棒立ちになった理香の肩と腰に背後から長い腕が巻きつく。布越しに感じる強い力に首だけで振り返ろうとした理香の頬に亮治の唇が押し当てられた。
「ちょ、ちょっせんぱ、こんなとこでやめて……うげっ」
 不意打ちのキスに驚いた理香は、上半身を拘束されるように抱きしめられた中で何とか自由になる腰から下をじたばたと動かすが、肺の中身を絞り出すかのような勢いで一気に強まった腕にささやかな抵抗も止まってしまう。
「こら、そんなに擦り付けるな。朝っぱらから俺を誘惑する気か?」
「ゆうわ……って、だ、誰がっ! 放してくださいっ!」
 覆い被さるように抱きしめられたまま、通勤用のバッグを振り回すように暴れる理香にくすりと笑うと、亮治はゆっくりと腕を解いた。
「やれやれ、相変わらずムードがないな、理香。上司がわざわざ迎えに来たんだ、もうちょっと歓迎してくれてもいいと思うが」
「頼んだ覚えはありません!」
 突き放すように叫ぶ理香を、三つ向こうのドアから顔を出した学生らしき男が胡乱な目を向けた。その視線に頬を赤らめ声を収めると、理香は俯くように玄関の施錠を確認し、カギをいつも通りバッグの内ポケットに入れたた。
「こんなことしてくれなくても、仕事くらい自分でちゃんと行きます。子どもじゃないんですから……」
「そうか。確かに、それはそうだな」
 軽い言葉で肯定する亮治を理香はちらりと見た。
「確かに子どもじゃなかったな。子どもはあんないやらしい声は出さない」
「そ、そんな意味じゃっ」
「違うのか?」
 からかうように口の端を歪めて笑う亮治に、理香は諦めの溜息をついた。一対一の場ならばらともかく、小さなドアの立ち並ぶアパートの廊下で言い争えば、耳を澄まさなくとも住人に丸聞こえだろう。学生の頃は周囲の目も気にせずにいられたが、議題がセクシャルな内容になるとわかっている今は、人目のある場所での亮治との口論は厳禁だった。そうでなくても、居住地周辺で噂の的になるような行動はできるだけ避けたい。
「まあ、それはいい。行くぞ、理香。話なら途中でもできる」
 言いながら亮治はさりげなく腰に手を廻し、理香を促した。一歩引いて手をかわしながら頭一つ分高い位置からの視線に眉を逆立てて見つめ返すが、返ってくるのはわずかに苦笑の混じった余裕の態度だけだった。
 誰にどんな目で見られようとも気にしない、悪びれた様子のない堂々とした姿は、昨日とはほとんど何も変わってはいなかった。オーダーメイドなのか、身体にぴったりと合ったダークグレイのスーツと一点の汚れもない真っ白なシャツ、顔が映りそうなほどに磨き上げられたビジネスシューズ。なめらかな艶を放つネクタイは落ち着いたベージュ地に点線のような細い黒のラインが斜めに入っていた。
 ――相変わらずのお坊ちゃまぶりで。
 せめてもの仕返しにと、理香は亮治に聞こえないほどの小声で呟いた。

 -つづく-
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