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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-57
2007年07月14日 (土)
「一時間後って……違いますよ? 会社に着くのは九時前で、八時は家を出る時間……って、ちょ、もしもしっ? 先輩ーっ」
 受話口から返ってくる音声の変化に通話が途切れたことはわかっていたが、理香はそれでも言葉を続けた。耳から外して液晶画面に浮かんだ『通話終了』の文字を確認し、溜息をつく。
「もうーっ、違うって言ってんのに……」
 折り返し電話をしようかと一瞬迷ってから、おそらく亮治は一時間後と二時間後を言い間違えたのだろうと考え直す。今まで考えたこともなかったけれど、あの人は意外とそそっかしいところがあるのかもしれない。そんなことを思いながら、理香は静かになった携帯電話をぱちりとたたみ、ゆっくり立ち上がった。
「お腹空いたし、今日は先にご飯食べよっと。それから顔を洗ってコンタクト入れよ」
 いつもとは逆になった手順を口に出して確認しながら、理香は両開き扉の押入れを空けた。
 押し入れの下の段の半分には、今の時期には使わない一人用サイズの電気コタツの布団が、その手前には掃除機が、もう半分にはホームセンターで購入したすのこ敷き詰められていた。すのこの上に毛布と敷布団を三つ折りにして入れ、すぐ上に枕を置く。そのまま立ち上がり、理香は上の段に横に二つ縦に三つ並んだ押入れサイズのプラスティック製チェストの引き出しを開けた。
「えーと秘書って、やっぱりスーツとか、そんなちゃんとした格好しないといけないんだよねぇ……。あたし、スーツってあんまり持ってないんだけど……」
 ぶつぶつ呟きながら、理香は一番上の引き出しから下着を、二段目からはインナー用のホワイトシャツを手に取った。押し入れをぱたりと閉じると次は壁際のクローゼットを開け、前にいつ着たのかも覚えていない紺色のスーツを引っ張り出した。
「入らなかったらどうしよう。別に太ってない、と思うけど……」
 不安げに言いながら、理香は空いた右手でパジャマの上から自分のウェストを軽くつまんだ。


 目覚め方と時間が少し違ったものの、それ以外は理香にとって普段通りの朝だった。
 三年前、就職活動用に買ったスーツのウェストが心配したほどもなくするりと入ったこと、いつも苦手で失敗することが多く朝の不機嫌の元でもある眉がここ何日かでトップ三に入るほどきれいに書けたこともあって、気分よく出社へ意識を向けることができた。鼻歌混じりに、学生の頃から使っているキーホルダーを片手にドアに向き直り、カギをかける。
 その途端。
「おはよう、理香」
 背中へと飛びかかってきた聞き慣れてしまった声に硬直した。

 -つづく-
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