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R18 らぶえっち小説Blog
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花を召しませ・番外編3~ライクネスラブ~7
2007年05月16日 (水)
「あのさ、美雪さん」
 彼女の手がコップに伸びたのを機に声を掛けてみると、わずかながら彼女は顔を上げてくれた。不満を表す、丸く膨らんだ頬と尖った唇と、そして拗ねたまなざし。
「どうしたの、なんかあったの。俺、なんか気に障るようなこと言った?」
 ううん。
 首を横に振るゼスチャーで、彼女は曖昧ながら否定の意を表してはくれたけれど、でも声を出してはくれない。言葉での説明をしてくれない。本当に、どうしたんだろう。
「――あのね」
 一瞬の沈黙のあと、食べかけのお皿に目を落としたまま彼女はぽつりと呟くようにそう言った。
「あ、うん。なに?」
 慌てて相槌を打つ。そんな俺に彼女はちろりと目だけを上げた。
「仕事の、後輩のコがね」
「うん」
「料理が得意なんだって。それで彼にお弁当とか、時々作ってあげてるんだって」
 特に珍しいことでもない。俺が美雪さんに作ってあげたいと思って作るように、女性だってそう思うだろうし実行もするだろう。
「そしたらね、みんなが――男の人がね、そんなコが理想だって言うの。やっぱり女は料理上手じゃなきゃって」
 なるほど、ね。
 単なる世間話だったのか、それとも哀れなほど切実でバカな男の理想論が熱く展開されたのか、その場に居なかった俺にはわからない。けれど、真面目な彼女はその言葉をまともに受け取ったのだろう。そして、それに自分を当てはめたのだろう。
「シズくんも、やっぱりそう思うの?」
 不安げな、すがるような瞳が俺に向けられる。
「料理ができない女はダメって、そう思ってるの?」
 確かに、美雪さんはあまり料理上手じゃない。だからと言って特別ヘタでもない。ただやり慣れていないことがわかるだけだ。包丁を持つ手は常に危なっかしいし、まな板を叩く音もゆっくりだ。
 けれど、そんなものはやり慣れれば簡単に解消する程度のものだし、恋愛の障害でもなければコンプレックスを持つほどの大問題でもない。彼女くらいの料理の腕の女性はどこにでもいる。もっと深刻な腕前の人だっていっぱいいる。勿論、それはそれでもいい。一日中パソコンに向かっているOLさんと、仕事でしょっちゅう何かを作っているバーテンダーを比べるのが、そもそもの間違いだ。

 -つづく-
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