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2007年03月02日 (金)
「う……ん……」
夢うつつのまま寝返りを打とうとして、どこか納得のできない違和感に理香はぼんやりと目を開けた。身体の節々が痛む。指先と、そして脚に奇妙な痺れが残っている。
「あ……あれぇっ?」
無意識に枕を抱え込もうとして、頭の下に何もないことに理香は慌てた。伸ばした手のひらに当たるのは、毎日使っている白地にチェックのテープで縁取りをした毛布でも淡いブルーのドルビー織のシーツでもなく、どこにでもあるような白いシーツを敷き詰めたマットレスの感触だった。
「え……っ?」
軋むような痛みを訴える身体をなだめながら半回転させて起き上がると、肩からブラウンの毛布が落ちた。理香のコンプレックスでもある、ややふくらみの足りない薄い胸元があらわになる。目の前の状況が理解できず、理香はパチパチとまばたきを繰り返しながら腹部から下肢を覆う毛布を見つめた。そこに広がるのは、クイーンメリーを思い起こすような透明感のある上品で複雑な色合いのなめらかなラインだったが、今の理香にそれに感心するような余裕はない。この状況を理解しようとするのだけで精一杯だった。
「えっ? ええっ? ええええっ?」
ちょ、ちょっと待って。ちょっと待ってちょっと待ってちょ……っ!
理香の脳裏をかすめたのは、快感と不快感の混じったものだった。それもひどく根の深い、暗い記憶に繋がったもの。忘れたかった、忘れていたかった記憶だった。
「やだ……。あんなの、違う……、あれはあたしじゃない……っ!」
呟くように言うと、三角座りをしたひざに額を押し付ける。ひりひりした痛みがぬるりとした感触がそこに残っていることだけでも証拠としては充分だと言うのに、それでも理香は事実を認めたくなくて別の理由を探そうとしていた。
「やだもう、誰か、助けて……」
「ああ、もうお目覚めでしたか」
かちゃりとドアが開く音と同時に掛けられた声に理香はびくっと全身を震わせた。
-つづく-
夢うつつのまま寝返りを打とうとして、どこか納得のできない違和感に理香はぼんやりと目を開けた。身体の節々が痛む。指先と、そして脚に奇妙な痺れが残っている。
「あ……あれぇっ?」
無意識に枕を抱え込もうとして、頭の下に何もないことに理香は慌てた。伸ばした手のひらに当たるのは、毎日使っている白地にチェックのテープで縁取りをした毛布でも淡いブルーのドルビー織のシーツでもなく、どこにでもあるような白いシーツを敷き詰めたマットレスの感触だった。
「え……っ?」
軋むような痛みを訴える身体をなだめながら半回転させて起き上がると、肩からブラウンの毛布が落ちた。理香のコンプレックスでもある、ややふくらみの足りない薄い胸元があらわになる。目の前の状況が理解できず、理香はパチパチとまばたきを繰り返しながら腹部から下肢を覆う毛布を見つめた。そこに広がるのは、クイーンメリーを思い起こすような透明感のある上品で複雑な色合いのなめらかなラインだったが、今の理香にそれに感心するような余裕はない。この状況を理解しようとするのだけで精一杯だった。
「えっ? ええっ? ええええっ?」
ちょ、ちょっと待って。ちょっと待ってちょっと待ってちょ……っ!
理香の脳裏をかすめたのは、快感と不快感の混じったものだった。それもひどく根の深い、暗い記憶に繋がったもの。忘れたかった、忘れていたかった記憶だった。
「やだ……。あんなの、違う……、あれはあたしじゃない……っ!」
呟くように言うと、三角座りをしたひざに額を押し付ける。ひりひりした痛みがぬるりとした感触がそこに残っていることだけでも証拠としては充分だと言うのに、それでも理香は事実を認めたくなくて別の理由を探そうとしていた。
「やだもう、誰か、助けて……」
「ああ、もうお目覚めでしたか」
かちゃりとドアが開く音と同時に掛けられた声に理香はびくっと全身を震わせた。
-つづく-
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