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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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花を召しませ-78
2006年12月03日 (日)
 彼はきっと、わたしに接するときのように、その人にもちゃんとしてたと思う。彼女だって彼との関係はお金のことだけじゃなくって、セックスのことだけじゃなくって、きっと他の面でも大切なことだったのだろうと思う。会ったことはおろか、どんな人だかも詳しくは知らないけれど、同じ人を愛した者同士としてわかる。
 だから、彼女から彼を取り上げたことに対しての罪悪感が、わたしの中に少しだけある。心のどこかに刺さったトゲのようにチクチクした痛みを訴えてくる。でもそれは裏を返せば、彼女に自分が勝ったのだというエゴイスティックな優越感でしかなかったから、口には出さなかった。出せなかった。そんな女だと彼に思われたくはなかった。
「素敵な時間を過ごしたって思ってるよ、きっと」
「そう……かな?」
「うん。そうだって」
 それでも、恋愛ってそんなものだと思う。わたしは彼が欲しかった。たとえ彼が誰かのものであっても、その誰かから奪おうとしただろう。
「まあそれも全部、美雪さんのお陰だけどね。俺のことずっと信じてくれてたし」
「えっ……」
 彼の言葉に、思わず絶句した。
 この一年と三箇月の日々が全部が楽しいことだけだったわけでは決してなくて、それこそ山あり谷ありだったと言ってもいいと思う。それでも彼と一緒にやってこられたのは、ひとえに彼の努力の結果だった。
 恥ずかしげも人目があることも関係なく、彼はただひたすらにわたしを愛してくれた。愛していると言ってくれた。その素直でストレートな言葉にほだされた自分をあとから思い返して、騙されているのかもなんて疑心暗鬼になったり、そんな自分に嫌気がさして泣いたりもした。酔った弾みで有理に愚痴をこぼして、それならいっそ別れてしまえと怒られたことも、一度や二度ではなかったけれど。
「えーっと、えー……」
 彼の中ではわたしの言動も許容範囲内だったのだろうか。そんなわけはないと思う。

  -つづく-
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