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2006年11月29日 (水)
「や、あっ……ぁ……っ!」
自分の服で両腕を拘束されて抵抗もできず、彼に圧し掛かられて責められる。愛の行為というには少し屈折した、今まで知ることのなかったこの状況に混乱してはいたけれど、でも、本当は。
それでも本当は、この状況をすでに受け入れていた。
「あっ! も、もう……もう、いやぁっ!」
内側から突き上げてきたその感覚に全身を震わせながら彼へ懇願するけれど、一方でわたしの願いが聞き入れられたことがこれまでただの一度もなかったという事実も認識していた。まるで無邪気に遊んでいる子どもに向けるような温かい笑顔を浮かべたまま、彼はわたしを卑猥な快楽の沼に突き落として、狂うように溺れる様を見て楽しむ。
「もうダメ! お願い、もうダメっ許してっ!!」
それでも請うてしまうのは、わたしに残った理性がもたらす羞恥か、彼の前で狂ってしまうことへの恐怖か。それとも、彼にその許可を得るためなのか――。
自分の行き着いた思考に身震いした。彼に教えられた行為で身体の純潔は失っていても、それでも自分の本質は何も変わっていないのだと思っていた。ずっと、そう思っていた。なのに。
「ん、いいよ。イって。いやらしい声上げてイって」
最後の堰が溢れてきそうになっているのがわかる。彼の優しい卑猥な囁きがそれを後押しする。
「やっ! やだやだぁっ! いやあっ」
「我慢しないでいいよ。気持ちいいって認めたほうがずっと気持ちいいよ」
肌に吐きかけられる息が乱れていることに安心する。それはなぜだろう。自分だけが溺れているのではないと、そう感じるからだろうか。彼もこのふしだらな行為に興奮しているだと、そう思うからだろうか。
「ほら、言ってみて。『イく』って言ってみて」
「や、やだぁっ! あ、く……!」
どんなに抵抗してもしきれない。嵐の海に巻き込まれた小舟のように、理性がもみくちゃにされて、壊れる。壊れて行く。壊されてしまう。ならば、いっそ。
「もうイく? イっちゃう?」
「や、ぁ……っ! あっ……ぃ、イく、イっちゃ……ううっ!」
大声で叫んでいるのか聞き取れないほどの小声なのか、それさえわからなかった。光に撃たれたように世界が白く染まって、永遠のような一瞬に思考が吹き飛んで、そして。
そして、全てが崩れ落ちた。
-つづく-
自分の服で両腕を拘束されて抵抗もできず、彼に圧し掛かられて責められる。愛の行為というには少し屈折した、今まで知ることのなかったこの状況に混乱してはいたけれど、でも、本当は。
それでも本当は、この状況をすでに受け入れていた。
「あっ! も、もう……もう、いやぁっ!」
内側から突き上げてきたその感覚に全身を震わせながら彼へ懇願するけれど、一方でわたしの願いが聞き入れられたことがこれまでただの一度もなかったという事実も認識していた。まるで無邪気に遊んでいる子どもに向けるような温かい笑顔を浮かべたまま、彼はわたしを卑猥な快楽の沼に突き落として、狂うように溺れる様を見て楽しむ。
「もうダメ! お願い、もうダメっ許してっ!!」
それでも請うてしまうのは、わたしに残った理性がもたらす羞恥か、彼の前で狂ってしまうことへの恐怖か。それとも、彼にその許可を得るためなのか――。
自分の行き着いた思考に身震いした。彼に教えられた行為で身体の純潔は失っていても、それでも自分の本質は何も変わっていないのだと思っていた。ずっと、そう思っていた。なのに。
「ん、いいよ。イって。いやらしい声上げてイって」
最後の堰が溢れてきそうになっているのがわかる。彼の優しい卑猥な囁きがそれを後押しする。
「やっ! やだやだぁっ! いやあっ」
「我慢しないでいいよ。気持ちいいって認めたほうがずっと気持ちいいよ」
肌に吐きかけられる息が乱れていることに安心する。それはなぜだろう。自分だけが溺れているのではないと、そう感じるからだろうか。彼もこのふしだらな行為に興奮しているだと、そう思うからだろうか。
「ほら、言ってみて。『イく』って言ってみて」
「や、やだぁっ! あ、く……!」
どんなに抵抗してもしきれない。嵐の海に巻き込まれた小舟のように、理性がもみくちゃにされて、壊れる。壊れて行く。壊されてしまう。ならば、いっそ。
「もうイく? イっちゃう?」
「や、ぁ……っ! あっ……ぃ、イく、イっちゃ……ううっ!」
大声で叫んでいるのか聞き取れないほどの小声なのか、それさえわからなかった。光に撃たれたように世界が白く染まって、永遠のような一瞬に思考が吹き飛んで、そして。
そして、全てが崩れ落ちた。
-つづく-
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