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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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花を召しませ-60
2006年11月08日 (水)
「あ、こっちこっち」
 華やかな店内とは真逆の、どこかの事務所のような簡素な廊下の端で立ったままタバコを吸っていた有理は、わたしを見つけると手を振った。普段の五割増で動く心臓と呼吸を抑えつけるように、のどを手のひらで押さえながら、早足で彼女に駆け寄る。
「で、シズくんは?」
「あの部屋」
 声をひそめるようにという意味か、唇に立てた人差し指を押し当てる仕草をわたしに見せてから、彼女は廊下の突き当たりのドアを指した。
「中でオーナーとしゃべってるの。ちょっと待って」
 言いながら握ったままのケータイを開いて素早く操作して、誰かへ電話を掛ける。
「あ、もしもし? うん、着いた。始めて」
 それだけを言うと、有理はわたしを振り返ってにっと笑った。
「え、なに? 誰?」
 髪の上から押し当てられたケータイに慌てたけれど、わたしを押し留めるように肩に回った手と真摯なまなざしは、それなりの理由があるものなのだろう。そう判断して小さく呼びかけた。
「もしもし……?」
 相手は誰なのだろう。もしかして。そう考えただけで少し収まりかけていた鼓動が一気に早まった。まるで口の中で心臓が動いているかのように声が出にくい。
 けれど、ケータイの向こうから返ってきたのは。
『――で、彼女はなんて?』
『――も、黙って――――です。――電話――ですし、俺もう――』
 まるで通勤電車内でなんとなく人の話を聞いているときのような、そんな奇妙な違和感があった。誰が話しているのだろう。低いぼそぼそした声はひどく聞き取り難い。
『おまえバカだなぁ。なんでそのとき追っかけなかったんだよ?』
『――ホントですよね――でも、―――って……』
『納得してんじゃねえよ。彼女をあきらめるのか? あきらめられるのか?』
『それができりゃ、――――、ですけどね――、でも――』
『おいシズ。おまえ、俺を舐めてんのか?』
 えっ?

  -つづく-
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